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iPod nanoと深い関係にあったMac miniのデザインをみる

今回はMac miniの第1世代のデザインについて書きたいと思います。

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筐体を真上から見た形状は角丸の正方形です。もっとも基本的な幾何学的図形に基づいてデバイスの形状を定めている非常にシンプルなデザインです。

もともとノートブックからディスプレイ、キーボード、マウスを取り除いて最小限の要素だけを提供するデバイスですから、その外観がミニマルであるのは必然的かもしれません。

さて、今回、開発初期段階のものだとするデバイスが公開されました。


ちなみにこの試作品が公開されたのはこれが初めてではなく、すでに2013年の時点で一部のファンの間では知られていたようです。


言わずもがな、まず目につくのはiPod nanoを差し込むためのコネクターが上部に存在することです。

iPodとMacをつなぐのにケーブルが不要で、Macとの同期や充電を簡単に行えるというメリットがあるようです。
Mac mini本体に物理的な存在意義を持たせることに(部分的に)成功しているという点にデザイン的な価値があると思われます。

まあ、Mac miniがiPodのドックになることにどれほど価値があるのか疑問なので、製品化されなかったのも納得ですが。本来別々のデバイスで実現するべき役割を一つにまとめてしまうのは、シンプルさを狙ったのかもしれませんが、あまりAppleらしくない気がします。

さて、iPod nanoとMac miniをセットで使うことが想定されていたという事実から、このMac miniがiPod nanoのデザインを参照していたことが明確になったといえます。

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発売時期としてはiPod nanoの発売が2005年9月で、Mac miniの発売が2005年1月ですから、Mac miniの方が先に発売しています。しかし、iPod nano自体はそれ以前のiPod(classic)を参照していますし、発売の前後にかかわらず、開発段階では前後関係が異なる場合もあります。
ですから、Mac miniがiPod nanoを参照しているとみてもおかしくはありません。

あるいは、同時期のデスクトップであるiMac G5がiPod(classic)を参照しているので、同時期の全てのラインナップをiPod(classic)のデザインに揃えようとしていたのかもしれません。ただ、同時期のノートブックのiBook G4はそれほどiPodらしいわけでもないので、はっきりとはしませんが。

Mac miniのデザインに話を戻すと、透明と白の2層構造の天板と、アルミニウム製の枠の組み合わせでできています。
iPod nano(第1世代)と比べると、金属部分が鏡面仕上げのステンレススチールから、酸化被膜処理を施したアルミニウムに変わっています。

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どうやら、天板のデザインに着目するとiPod nano(第1世代)、側面の金属部分に着目すると第2世代のデザインに見えるようになっているようです。

第2世代のiPod nanoは、筒状の筐体の上下をポリカーボネートの板で塞いだ形状です。

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iPod nanoユーザーに売り込むことを真剣に考えていたのか、同時期の製品として違和感が生じないようにデザインしただけなのかは分かりません。

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