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沈黙がすべて (カフェ4分33秒)

何も言わないの?
これでもうお別れかもしれないのに。


やっぱり君は、僕のことには興味が無いんだね。もうずっと前から。


君は知っていたんだろう?
僕が他の人と……


知っていて黙っていたんだろう。
僕にはそれが耐えられない。
知っていながら、一度も咎められないことは苦しいことだ。
君が、黙っていることが。


許してほしい。
いや、許さなくていい。
だけどせめて最後は、目を開けて
僕を見て。
そして別れの言葉を言ってくれ。


「4分33秒」


ああ、貴方と出会ったのは、神田にあるカフェではなく、神保町にあるカフェだった。


あの頃の貴方と、今の貴方は違う。


少しずつ私から遠ざかる貴方。
その寂しく切ない音を
誰も居ない部屋の中で一人、聞いていた。


「4分33秒」


貴方が別れ話を切り出してから、私が口を開くまでの時間。


でも違う。


私が沈黙していた時間は、きっとあのカフェで貴方と出会った頃から始まったのだから。


ねぇ、貴方。
少しはこの沈黙を楽しんでよ。


私が堕ちた、この暗い沈黙を
最後に味わって欲しいの。



[完]


#毎週ショートショートnote
に参加させていただきます。
今週のお題【カフェ】×【4分33秒】で書きました。


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