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#恋愛小説
雨の夜、夜の海とダダダ。
雨が降ると僕らは電気を消して風呂に入る。
いつもよりぬるめにお湯を張って、水着に着替えて風呂に入る。
風呂に入る前に家の電気を全て消す。
タイル張りの浴室でかわりばんこに体を洗って、夜の海、もとい、湯船に入る。
築50年のボロアパート。
天井はダダダ、と強く雨に打たれる。
僕の脚の間に彼女が座って、僕は手を自分の頭にやる。
「触ってもいいんだぞ」と彼女はニヒヒと笑う。多分、意地悪い顔をし
ないものはなく、狼。
動物で例えると、キツネとか狼で。
切れ長の大きな三白眼と肩まで伸びた黒髪、鼻がちょっぴり高くて、背は低い。フレアスカートに真っ白なスニーカーを履いていて、いつもツーサイズ大きいパーカーを着ていた。
低い声と乱暴な口調で、そこに「彼氏の前でだけ甘える」なんてギャップがあればモテるのだろうけれど、そんなものはなく、ずっと、淡々と口が悪かった。
手なんか繋がないし、そもそも繋ぎたいとか、くっつきた