あお
誕プレもらいました。あお、生まれ変わりました。
背景 拝啓 気づけば夏です。 最近は「地球"沸騰化"」なんて言われていますが、本当にそうで、電気代にビクビクしている日々です。 調子はどうですか。 新しい会社には慣れましたか。 こちらは相変わらずです。 最近は早く起きて、30分くらい走っています。 あなたも来たことがあるので今更、ですが、僕が住んでいるのは典型的な港町で、坂ばかりです。アパートを左に出て、坂を登って、国道まで駆け上がります。国道沿いに走っていると左手に海が見えます。 太陽が徐々に顔をだすその時間が
雨が降ると僕らは電気を消して風呂に入る。 いつもよりぬるめにお湯を張って、水着に着替えて風呂に入る。 風呂に入る前に家の電気を全て消す。 タイル張りの浴室でかわりばんこに体を洗って、夜の海、もとい、湯船に入る。 築50年のボロアパート。 天井はダダダ、と強く雨に打たれる。 僕の脚の間に彼女が座って、僕は手を自分の頭にやる。 「触ってもいいんだぞ」と彼女はニヒヒと笑う。多分、意地悪い顔をして。 雨の夜、夜の海、淡々と流れるこの時間が好きだった。 やがて彼女は僕の方
何度も計算したけれど、やっぱり8年で。 学園ものの漫画を読んでいたときふと自分の高校時代を思い返した。 そして時の速さにドン引きした。 僕は2016年度入学だから、ちょうど8年。 ちなみに「君の名は。」が公開された年だそう。 16歳の僕は坊主頭ででかいリュックを背負って始発で登校していた。 憧れで入った野球部は練習と規則がキツすぎて早々に辞めたくなったし、授業中はずーっと寝ていた。 大人はよく「振り返るとあっという間だった」と言うけれど、当時の僕からしたら練習がキツ
会ったこともない人を好きになった。 声も、顔も、歳も、本名も知らない。 アイコンは真っ白で、アカウント名は中性的。 投稿に「#エッセイ」とついていても、 その人の「エッセイ」では一人称が「ぼく」だったり「私」だったり「うち」だったりする。「俺」の時もある。 僕も同じことするので「#エッセイ」は実質エッセイではない。 純粋に文章が好きだった。 起承転結がなくて、文体は独特で、ストーリーは曖昧。 つかみどころのない、その雰囲気に惹かれた。 その人の物語にはいつも、曖昧な
ご指名頂きました🎙️ テンパって意味不明なこと喋りそうですでにテンパってます。 そして藤本さんの声、まだ知りません。 https://note.com/syu_fujimoto105
ご卒業おめでとう、おれ。
目が覚めるとキッチンで。 左腕がビーンと痺れていた。 キッチンの窓から陽はなく、 代わりに向かいの部屋の灯りがかすかに差し込んでいた。 50cm先に放り出されたスマホまで這う。 21時。 確か僕はお昼ご飯を食べるはずだった。 それが最新の記憶。 その証拠に鍋には米がぶくぶくと膨れていた。 ああ、やってしまった。 ぼやけた頭で情報を整理する。 ・今は夜 ・米はぶくぶく ・左腕がビーン ・ついでに体のあちこちが痛い ・熱は?ない ・周囲に吐瀉物?ない ・床からツ
1個前で「実家がストレス!!!!」って書いたじゃないすか。 正直迷ったんすよ。 そういうのってよくないかなあって。 自分の中でどうしても「家族は仲良く」があって、 特に読んでくれている人のは家族を持っている方も多いですし。 でもまあ、そう感じている自分も事実なわけで。 別に殴られたり(ちょっとはあったけど)人格否定されたわけでも(ちょっとあったな)ないすけど、”なんとなく”嫌な場所。 ”なんとなく嫌な人や場所”って誰にでもありますよね。 僕の場合は、地元がそれで
実家に帰ってきた。 半年ぶりに。 こっちでやらないといけない用事があった。 10日ほど滞在した。 仕事道具を持って帰ってきた。 家には誰もいなかったので勝手に入った。 "勝手に"入ろうと思った自分がなんだかおかしかった。 かつての自分の部屋は殺風景。 換気のために開けられた小窓。 白いカーテンレースが風に揺られている。 隅には落書きだらけの学習机。 パソコンとノートを広げた。 メガネとマウスとキーボード、資料を横に置いた。 今夜は親戚の家に行く。 それまでに今
あおはさー、とキミが言った。 午前二時だった。 つまらない意味で優しいんだよ。 そう言いながらキミはゴソゴソと冷蔵庫を物色していた。 キッチンのテーブルで文章を書いていた。仕事が忙しいのでこの時間にひっそり書くのだ。賞に応募するための小説だった。受賞できるとは思っていない。他に上手い人はごまんといるから。 どういうこと?と聞いた。気になったので。 キミは言った。 誰も傷つけない奴は誰にも好かれないよ。と。 僕のパソコンを指さして「あおの文章ってさ、トゲがなさす
タクシーに乗った。 友人と飲んだのだ。彼とは3ヶ月に1度の頻度で会う。 互いの家の中間地点で会って、地元駅までは電車で帰った。 地元駅から家までは徒歩だと50分はかかる。田舎なのだ。 終バスはとっくに過ぎていたのでタクシーを使った。 彼には悪いが今日のメインはこっちだったりもする。 深夜のタクシーが好きだ。 現実とフィクションを彷徨う感じが好きだ。 酒でぼやけた意識がそれを加速させる。 寿命が近い街灯がエンドロールのように窓を流れる。 僕は後部座席で運転手さんに
時々ものすごくテンションが高くなって、 笑いながら泣いて、でも悲しくなくて、でも 笑い過ぎて出た涙じゃなくて、涙は涙で。 笑いながら、泣いて、笑いながら「あー死にてえ」って本気で思う時がある。 そういう「死にてえ」もあるんです。 感情というのはスッと簡潔なものではなく、矛盾を孕み、複雑極まりなくて、だからこそこういうことが起こるんだな、と。 そういうこと言うと「病んでる」と言われるのかもしれないが、そんなことは全くなく、生活は楽しいし、仕事も順調。通院してても最近は
バスはあった。 でもあえてタクシーを使った。 金はない。駅から家までタクシーで帰るとバスの10倍近くする。 タクシーに乗る金銭的余裕はないが、乗った。 それはとても暖かい冬の日で、サラサラと雨が吹いていた。
12,000字の短編できました。