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いかれた僕のベイビー

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完結 恋を忘れたボーカリストと恋を知らない新人マネージャーのいかれたバンド×恋愛ストーリー
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#バンド

【小説】いかれた僕のベイビー #46 最終話

【小説】いかれた僕のベイビー #46 最終話

 二年ぶりのフェスを思いっきり楽しもうと早めに会場入りしたので、まずは先にステージ登場する杉浦のバンドをアミちゃん、玉田、そして潮音ちゃんと一緒に観に行く。
 前から思っていたけど、杉浦のバンドはギターボーカルの杉浦を中心に、リードギター、ベース、キーボード、ドラムと五人編成なので音のスケールも大きくジャンルも多彩でとにかく自由で、特にこういういろんなバンドが集まるフェスだと他のバンドとの違いを上

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【小説】いかれた僕のベイビー #45

【小説】いかれた僕のベイビー #45

 その後の話を、少しだけ……。

 潮音ちゃんはオレと晴れて付き合い始めたことをさすがに周囲には隠しておきたかったようだけど、即バレた。
 原因は、オレじゃない、はず。
 オレはこれまでと変わりなくみんなの前でも普通に話しかけるしデートにもごはんにも誘うしみんなの反応も、“あーまたやってる”くらいだったけど、そんなオレに潮音ちゃんはまったく冷静に対処出来なくなった。
 オレが側に近寄るだけで顔を真

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【小説】いかれた僕のベイビー #44

【小説】いかれた僕のベイビー #44

 今、……それ言う?

「ほんと今更だね、この状態のオレにお預け食らわせて今度手加減無しで無茶苦茶に抱かれるのと今おとなしく抱かれるの、どっちがいい?」

 せっかく優しくしてあげようと思ったのに、両腕を押さえ付けたまま手首にキスをし、そのまま強く吸って赤い痕を付ける。
 以前、向井さんに付けられた両手首の縛られた痕はもうすっかり綺麗に消えていた。
 もう片方の手首にもオレの印を刻み付けてから耳か

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【小説】いかれた僕のベイビー #43

【小説】いかれた僕のベイビー #43

「……あー、やばい、……嬉しすぎる」

 感動に打ち震えるオレに対して潮音ちゃんは状況に頭が追いついていないのか放心状態だ。
 ここぞとばかりに気になっていた事を問い掛ける。

「ねぇ、潮音ちゃん、いつからオレの事好きだった?」

 こんな事、多分今のタイミングでしか教えてくれそうにない。

「それは……、何となく気になり始めたのは、今思えば、事務所で藤原さんと昭仁さんが話しているのを聞いてしまっ

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【小説】いかれた僕のベイビー #42

【小説】いかれた僕のベイビー #42

「コーヒー、もう一杯入れようか?」

「……いえ、大丈夫です」

 もう一度潮音ちゃんをソファに座らせてさっきまでと同じようにテーブルを挟んで潮音ちゃんの正面に座る。
 いつまでも逃げていられないけど、嫌だな。
 正直、まだ聞きたくない。
 オレの心が定まらない内に、潮音ちゃんはゆっくりと話し始めた。

「あの、……藤原さんの私に対するお気持ちは、本当だとして……」

 ……ん?

「え、なに、ま

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【小説】いかれた僕のベイビー #41

【小説】いかれた僕のベイビー #41

「めっちゃ出てたよ」

「……そうですか」

「あの一瞬で、それから多分スーパー行ってからもどうしようって悩みながらこのオムライス作ってくれたんだね、マジでありがとう」

 自分の分はとっくに完食しているので潮音ちゃんの前にある残りのオムライスにスプーンを伸ばす。

「前もって言ってくれたら、もうちょっとマシなもの作れたのに」

「充分美味しいけど、前もって言ったら、また作ってくれるの?」

 頬

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【小説】いかれた僕のベイビー #40

【小説】いかれた僕のベイビー #40

 向井さんの部屋を訪れ二人で話をした日の翌日から、オレは自宅に籠って曲作りに没頭していた。
 これまでは仕事の合間に無理矢理曲を作ってきたけど、実験的に楽曲制作のための期間をスケジュールに組んでもらいまずは五日間、ひたすら新曲を考えていた。
 一日目、二日目は順調でこのやり方が自分には合っているかもなぁなんて、調子に乗っていたんだけど、今日三日目の夕方、問題が起きた。
 まずは、食事。籠るためにあ

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【小説】いかれた僕のベイビー #39

【小説】いかれた僕のベイビー #39

 潮音ちゃんもそう言っていた。本当に全部わかった上でずっと受け入れ続けていたのか。

「潮音が大人しくて人見知りで引っ込み思案な性格に育ったのは全部あいつの母親と俺のせいだよ、あいつの母親が甥の俺を可愛がって褒めちぎって、それに比べて自分の娘は駄目な子供だと言う。子供心におかしいと思いつつもそれで潮音が俺を尊敬の眼差しで見て俺を頼りにしてくれるのが、自分が必要とされている事が嬉しかった。ガキの頃は

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【小説】いかれた僕のベイビー #38

【小説】いかれた僕のベイビー #38

 潮音ちゃんとオレの部屋で朝まで過ごしたあの日から三週間程経ったある日、オレは呼び出しを受けて指定の場所へ一人で向かった。
 タクシーを降りて見上げた先に目的のマンションがある。
 うちのマンションとは明らかに違う高級な造り、飛ぶ鳥を落とす勢いでシーンを席巻中とはいえ、メジャーデビューから一年でこんなにも違うのか。

 今日オレを呼び出したのは、他でもない、向井さんだ。

「すごい良いとこ住んでる

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【小説】いかれた僕のベイビー #37

【小説】いかれた僕のベイビー #37

 腕の中の彼女が動く気配で目を覚ます。
 ベッドサイドに置いてあるデジタル時計を起き上がる事なく確認するとAM6:52を表示していた。

「……いつも早起きだなぁ、オフなんだからまだ寝てられるでしょ」

「私は休みでも何かとやる事が、そんな事より、起きたのならもういい加減離してください」

「んー、……やだ、もうちょっと」

 抱き締める腕に力を込める。

「藤原さん!そもそもなんでまた、一緒に寝

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【小説】いかれた僕のベイビー #36

【小説】いかれた僕のベイビー #36

「はい。……幼い頃は、憧れのような感情はありましたが、異性として、特別な感情は一度も抱いた事はありません。……むしろ、そう思えた方が楽だったのかもしれませんが」

「それは、多分もっと辛かったと思うよ」

 それに、そんなのオレが嫌だ。

「そうですかね、……どっちにしても、私にはやっぱり、人を好きになる気持ちや基準がいまいちよくわかりません」

「本当に一度も恋した事ないの?」

「はい、……た

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【小説】いかれた僕のベイビー #35

【小説】いかれた僕のベイビー #35

 潮音ちゃんが落ち着きを取り戻すまでオレはずっと彼女の背中を摩っていた。
 そして二人でソファに少し間を開けて座ったまま潮音ちゃんは二度大きく息を吐き、ゆっくりと話し始めた。

「……私と昭仁さ、……向井さんとは母親同士が姉妹の従兄妹で、」

「……別に気にしなくていいよ、名前もいつも通りの呼び方で」

「……はい。……お互いの母親が珍しいくらい仲の良い姉妹で、私が生まれる前からずっと近所に住んで

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【小説】いかれた僕のベイビー #34

【小説】いかれた僕のベイビー #34

「………!!」

 オレの叫び声にはっとして潮音ちゃんが急ブレーキを踏み車が急停止する。

「すみません!」

「大丈夫だから、落ち着いて」

 深夜なので交通量も少なく、横断歩道を渡ろうとしていた歩行者もいなかったので事なきを得た。
 それでも潮音ちゃんの震えは止まらない。

「運転代わるから」

 幸い後続車もないのでそのまま潮音ちゃんに助手席に移動してもらい、運転席に座るとオレは何事もなかっ

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【小説】いかれた僕のベイビー #33

【小説】いかれた僕のベイビー #33

 オレの問いかけに答えず潮音ちゃんは玄関へ向かおうとする。

「潮音ちゃん!待ってよ」

 腕を掴んで引き留め、壁際に追いやる。

「……離してください」

「ダメ、答えるまで離さない」

 困ったようにオレの顔を見上げる。

「……正直、自分でもよくわかりません。藤原さんの事が心配で、見た目を気にする余裕も無く家を出て来た事実は認めます。……ですが、イライラしていた理由は、自分でもほんとによくわ

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