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日本語あなうつくしや〜
私の父は、「美しい日本人女性らしく育ちますように」という思いを込めて、私を葵と名付けた。
2000年の女の子の名前ランキング1位だし、源氏物語の葵の上は夫の浮気相手の生き霊に殺されるし、海外の人には発音が難しい名前だから自己紹介の度に英語名使ってるけど、それでも私は自分の名前が大好きだ。
名前の由来を知ってからはもっと日本が好きになった。
特に外国語を勉強すればするほど、日本語の美しさに感動してしまう。
私は本を読む時、良い表現や心がときめく表現を見つけた時には手帳に書き残している。いつか自分の気持ちを伝えたい時、納得がいく表現ができるようになりたいからだ。
読書好きな友達に最近読んだ本の説明をしていた時、改めて「日本語独自の感性って美しいな」と感じたので紹介したい。
川のほとりに立つ者は
寒い時は誰でもみんな、早足で下を向いて歩いています。でもその木の下を通る時だけ、みんな顔をあげていました。それがなんだか、とてもすてきなことのように思いました。
『川のほとりに立つ者は』に出てくる登場人物の1人が、好きな人との文通で書いた一節。「好き」という言葉を一言も使ってないのに、好きって気持ちが伝わって来る。
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夏目漱石がI love youを「月が綺麗ですね」と訳したように、これが好きな人への言葉だと分かるのは日本人独特の感性なのかもしれない、と思った。
百人一首
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住の江の岸による波 よるさへや
夢の通ひ路 人めよくらむ
「夢の中なら会っても誰にも分からないのにあなたは夢の中にも出て来てくれない。そんなに人の目が気になるの?」
台湾に着いた直後の隔離中、「冬まで夢の中でしかもう家族にも恋人にも友達にも会えないんだ」と思ったら辛くて、10日間授業の時間以外、文字通り寝て過ごした。夢の中に出て来るのも辛くて、起きてから寝るまでずっと泣いてた。
昔の人の、「あの人が私の夢に出て来たのは、あの人が自分のことを想って自分に念を飛ばしてるから」っていう感覚ほんと好き。ポジティブすぎる。
私も会いたい人がいる時は「夢で逢えたら」を聴きながら寝るから、形は違えど1000年以上前の人が「夢でもいいから会いたい」って同じことを考えてるんだなって思うと嬉しい。
忘らるる 身をば思はず ちかひてし
人の命の をしくもあるかな
「あなたが私を忘れても平気よ。でもあなたは永遠の愛の誓いを破るから罰があたって死ぬかもね。残念だわ」
5年近く付き合った元カレは自分が台湾で頑張ってる間に新しい人と良い感じになっていたという境遇の私に刺さりまくった一首。
現代人よりお淑やかで慎ましい貴族が、元恋人に対して「別れるなら死ね」って言い切っちゃうの、好き。
わがそでは 潮干に見えぬ 沖の石の
人こそ知らね 乾く間もなし
「私の恋は人には言えないから海の底に隠してあるの。海の中だからどれだけ泣いても人には分からないのよ」
海の水が自分の涙を隠してくれる、っていう発想がすごい好き。日本語は超ハイコンテクスト言語だから、これこそ日本語にしか表現できない歌って感じ。英語とかローコンテクストの言語だと、海に繋げるために自分の袖が濡れている理由を説明しないといけない気がする。無理やり外国語に訳せたとしても、日本人以外がこのコンテクストを読み取るのは難しいと思う。
毎週日曜日に台湾の方と食事をしながら日本語を教えているのだけれども、母国語が日本語でも日本語ってとっても難しいなって思う。特に助詞。その方曰く、「日本語は中国語にも英語にも訳せない言葉が多いし、日本人は相手の面子を気にするから私が間違えた日本語を話していても訂正してくれないから学ぶのが難しい」とのこと。
日本語は確かに難しい言語だが、奥ゆかしさみたいなものが日本語をより美しいものにしていると思う。
もっと美しい言葉に触れて感性を豊かにしていきたいな
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