「絶対に今じゃなきゃいけない」 生きていく中で、そんなことを思う瞬間がある。 気温は低いのにどこか暖かい、そんな日のこと。 その瞬間は偶然訪れた。 恋から離れて…
僕は人前で笑わない。 僕は偽物だからだ。 僕は僕が4歳の時に死んだ父親によく似ている。 顔も、大人になって低くなった声も、背丈も。 「あの子が生きているみたい」 中3…
「エセ東京弁やな」 12月23日。5年ぶりに地元の駅に降りたった私を、隣の家で育った幼馴染が出迎えた。 「これは標準語って言うんですー」 「はよ帰ろや。みんな待っとる…
卒業式の日。大好きだったアイツに言われた言葉。 「大人になったら、お前にまた会いたいわ」 18の私にとってその言葉はエンジンだった。 早く大人になりたい、ならなき…
金曜日の19:36、帰り道。 電話を挟んで「明日出かけよう」と約束をした。 彼の声がすぐ横にいる気がした。 嬉しくって、ドラッグストアで少し高めのパックを買う。 若者…
酔った勢いで一緒に寝た。 朝起きてテーブルに残った飲みかけの酒を見て 色んな意味で頭を抱えるのはベッドを貸した僕で。 女はもぞもぞと起きてきて 「なにか味のある水分…
赤と白の味の違いなんて聞きたくなくて カブトムシの捕まえ方とか 好きなうまい棒のランキングとか 役に立たない話を楽しそうにする 笑顔の奥にあるあなたの過去を見たかっ…
milk
2023年1月28日 04:02
「絶対に今じゃなきゃいけない」生きていく中で、そんなことを思う瞬間がある。気温は低いのにどこか暖かい、そんな日のこと。その瞬間は偶然訪れた。恋から離れて仕事ばかりをしていたワタシの前に突然現れた恋の種は、煙草をくわえていた。友達の友達。俗に言うとそうなんだけど、それとは少し違う気もして。初めての感覚だった。特に何をしゃべるわけでもないのに「この人だ」と、そう思った。その人
2022年10月26日 21:38
僕は人前で笑わない。僕は偽物だからだ。僕は僕が4歳の時に死んだ父親によく似ている。顔も、大人になって低くなった声も、背丈も。「あの子が生きているみたい」中3の時、久しぶりに会ったばあちゃんがそう言って、僕の前で泣いた。その姿を母さんは睨みつけるように見ていた。どうやら母さんは僕のことが嫌いらしい。父さんが死んだ時、僕は母さんを元気づけようとできる限り笑って過ごしていた。「
2022年10月23日 02:06
「エセ東京弁やな」12月23日。5年ぶりに地元の駅に降りたった私を、隣の家で育った幼馴染が出迎えた。「これは標準語って言うんですー」「はよ帰ろや。みんな待っとるで。」そう言いながら雑に私のボストンバッグを持ってくれた。私はコイツのことが好きだ。20年前の今日の日からずっと。12月23日生まれの私と25日生まれのコイツの合同誕生日会兼クリスマスパーティーが毎年2家族揃ってクリ
2022年10月23日 01:01
卒業式の日。大好きだったアイツに言われた言葉。「大人になったら、お前にまた会いたいわ」18の私にとってその言葉はエンジンだった。早く大人になりたい、ならなきゃと大学の4年間は一丁前に化粧を覚えてバイトで貯めたお金で買った一丁前のブランド服を着飾った。26の冬。私はまだ、アイツに会えていない。大学を卒業してもうすぐ4年が経つ。大人になろうと頑張ることはもうなくなった。あの
2022年10月23日 00:54
金曜日の19:36、帰り道。電話を挟んで「明日出かけよう」と約束をした。彼の声がすぐ横にいる気がした。嬉しくって、ドラッグストアで少し高めのパックを買う。若者の明日は輝くね。そして、明日を楽しみに思う今日も輝く。
2022年10月23日 00:52
酔った勢いで一緒に寝た。朝起きてテーブルに残った飲みかけの酒を見て色んな意味で頭を抱えるのはベッドを貸した僕で。女はもぞもぞと起きてきて「なにか味のある水分をくれぬか」と。何もなかったかのように、いや私たちはこの家で数時間前までお酒を飲んでいただけよという顔で笑いながらオーダーをする。5分ウエイトレスの僕はテーブルにあるコップと同じだけど別物のコップに並々にオレンジジュースを注い
2022年10月23日 00:49
赤と白の味の違いなんて聞きたくなくてカブトムシの捕まえ方とか好きなうまい棒のランキングとか役に立たない話を楽しそうにする笑顔の奥にあるあなたの過去を見たかったの。