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読書まとめ『ニュータイプの時代』→執着を捨てて、流動する世界を生き抜く

『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式』山口 周

一言でいうと

執着を捨てて、流動する世界を生き抜く

どんな人にオススメしたいか

・自分の仕事が社会に何を生み出しているか不安になる人
・過去に成功事例があると安心する人
・問題解決を仕事にしている人

概要

新時代をうまく乗りこなす「ニュータイプ」と、前時代的な成功体験に縛られる「オールドタイプ」とを対比して、どう行動するべきかを説いた本。

新時代の大前提は、将来が予測できないVUCAの時代であること。その原因としては、20世紀を通した問題解決・生産性向上によってモノが過剰・意味が希薄になったことと、21世紀の情報化によってテクノロジー・物事の発達が加速して変化が激しくなったことが挙げられる。

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特に前者の「モノ(価値)が過剰・意味が希薄」な状況に対して、さまざまな概念が対比されている。供給過剰になっている価値の市場ではなく、代替が利きにくい意味の市場で戦うのがニュータイプの戦略。

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コンビニの品ぞろえの例えがわかりやすかったので紹介すると、文房具に求められるのは使用する価値(ハサミなら、紙が切れること)なので、各1~2種類しか置かれない。一方でタバコは、数多くの銘柄が販売されている。なぜなら、それぞれの銘柄が持つ意味(○○のタバコを吸うことが自分のライフスタイル)が重要視され、ある銘柄を愛用する人にとっては他の銘柄では代用できないため。

価値の市場で戦うと値下げ競争や性能向上になりがちで、わずかな勝者と数多くの敗者が生まれるが、意味の市場は多様化しやすく後発の不利も少ない。

意味の市場で戦うのがニュータイプの戦略になるが、そのために求められるスキルは価値の市場とは大きく異なる。24の思考・行動様式の中から、今の自分に必要だと感じたことを3点に絞ってまとめた。

① 未来を構想して問題を発見する

・モノが足りず多くの問題が表面化していた時代には、問題解決型の人材が求められていた。今はモノにあふれ問題が希薄になっているので、問題発見型の人材が有用。

・未来予測は原理的に不可能。予測しえないことが起きるおそれがあるから予測しようとする、というパラドックス。1980年台前半にマッキンゼーが予測した、2000年の携帯電話の市場規模は90万台だったが、実際は1億台超え。サブプライムローン問題も誰も気づいていなかった。

・ありたい未来を構想する。問題発見(gap)ができないのは、構想力が不足していて、ありたい姿(to be)が定義できていないから。

・問題発見には、論理・サイエンスよりも直感・リベラルアーツが役に立つ。様々な価値観に触れることで、思い込みや当たり前を疑う目を養う。

② たくさん試して、すばやくやめる

・未来予測が不可能なので、どんな事業がヒットするかも予測が難しい。とにかく試してみないとわからない。試すコストは下がっている。

・Amazonのすごさは、色々な事業に挑戦すること以上に、撤退の判断が早いこと。見込みがなければ1年程度であっさり撤退して他の事業に挑戦する。

・新しいことを始められないのではなく、既存のことや失敗したことをやめられずに、リソース不足になっているケースが多い。

・個人の学習も同じ。環境が変化すると、経験が役に立たなくなっていく。ラーニングアジリティとは、新しいことをすばやく得ることと合わせて、過去に学んだことをすばやく手放す(アンラーン)こと。

③ 意味を与えて動機づけるリーダーになる

・意味を与えると、人は変わる。新約聖書の使途は、イエス生前は頼りなかったが、イエスの死によって各々が意味を見つけて熱心な伝道者になった。

・内発的動機を持った弱者が、外発的動機しか持たない強者に勝つ。ex)冒険家アムンセンと軍人スコットの南極到達競争。ベンチャー大企業国家プロジェクトの検索エンジン開発。

・内発的動機=モチベーションをマネジメントし、発揮できる場を選ぶ・与えることが重要。リーダーが伝えるべきは、Howよりも、WhatとWhy。共感できるビジョンを示す。

・権威ではなく、問題意識をもとに行動する。問題意識の高さは、問題発見につながる。経営層やリーダーは問題発見を主業務とし、問題解決は下位に委譲するべきだが、自分で問題解決までやろうとしてしまう人が多い。

・どんなに優れたリーダーでも、仲間と議論して意思決定するべき。ex)副操縦士が操縦しているとき(機長と2人体制)よりも、機長が操縦しているとき(副操縦士がいても実質1人体制のことも)のほうが墜落事故が多い。

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いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。