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“自分の気持ちには正直でありたいし、揺れ動くことや感じていることを蔑ろにはしたくないなって”

24. 大塚桃奈

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徳島県にある上勝ゼロ・ウェイストセンターWHYでChief Environmental Officerを務める桃奈ちゃん。
服に携わることが夢だった彼女は、在学時代にファストファッションの現状に衝撃を受け、消費や生産のあり方を見つめ直すようになります。

人口1500人、日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言を出した四国で1番小さな町、上勝町へ移住し、日々ごみと向き合い働く彼女が、今思っていることを伺いました
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■大塚桃奈(オオツカ モモナ)
上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHYのChief Environmental Officer。
学生時代はデザインコンペで金賞を取るほどファッションへの熱が強かったが、高校3年生の時のファッション留学を機にサスティナビリティや循環型経済というキーワードに出会い、本当の豊かさについて問うようになる。大学でヨーロッパ留学中に視察ツアーをコーディネートしたことをご縁に卒業後上勝町に移住、働くことを決める。趣味は掃除と料理、地域の人とちいさく集う「暮らしの発表会」。
Instagram: @be_curious_0

■上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHY
徳島県上勝町の公共複合施設で、ごみステーションおよびホテルなどがある。ごみ自体を出さない社会を目指す上勝町では、ごみを処理するのではなく資源として45分別に仕分けており、80%以上のリサイクル率を実現している。

施設は「?」の形をしており、曲線部には町民に開放されている分別所である「ゴミステーション」、直線部分には町民の中古品が置かれ誰でもリユースできる「くるくるショップ」とホテルの受付、「交流ホール」、「ラボラトリー」、そして点のところは宿泊体験施設「HOTEL WHY」となっており、町外からの宿泊者がゼロ・ウェイストについて学ぶ入り口となっている。
Instagram: @why.kamikatsu

Website: https://why-kamikatsu.jp/




▷桃奈ちゃんへの取材後のわたしの備忘録。肩書きやこれまでの経緯から彼女のことを勝手に「もう完成された人物」っていうふうに見てたところがどこか自分にはあって、でもいつもほんとは誰しもが揺れ動いていて、変化の中に常にいるもんなんだなって。その気づきをもらえたお話でした。
▷HOTEL WHYに宿泊しての備忘録。膨大なるごみの分別を実際にするのってめんどくさそう…と思っていたのは裏腹に、実際に経験してみるとほぼすべてのものはまだ使える資源なんだという気づき等がありました。何より、本当に居心地のいい場所だった。
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全部に興味がなくても「マガジン購読してるし読んでみたらめっちゃおもしろかった」なんていう偶然の出会いになったらいいな、って思ってます。

_今の仕事(や生き方)を始めたきっかけは?
もともとは幼い頃からファッションやデザインするのが大好きだったからデザイナーになりたいと思っていた。

けど、高校3年生の時にラナプラザの事故や『The True Cost』というファッションの生産過程を映したドキュメンタリーを観て衝撃を受けて。服は好きだけど、着てる服はファストファッションだし、それが何かの犠牲の上に成り立っているかもしれないなんて考えてこなかった。

その後、ヨーロッパの芸術大学で留学する機会をもらったんだけど、奨学金をもらうための質問事項の中に、「留学を通じて学んだことをどのように社会に貢献できますか」という質問があり、それを服に置き換えて考えたら私ができることはなんだろうと思って…。

常に新しいものを生み出すことやトレンドをつくり続けることはやっていける自信がなかったし、環境問題を知れば知るほど、どう取り組めばいいか悩んでいた。

大学時代を通じて、服づくりから服を取り巻くまちへと思いを馳せるようになり、地方を訪ねたり、スウェーデンへの留学、民藝の思想や暮らしに寄り添う手仕事に触れたことで、自分自身の暮らし方と働き方がつながった生き方をしたいと思うようになった。

そんなときに上勝町のことを知って、何度か訪ねた後、卒業後は上勝町ゼロ・ウェイストセンターのCEOにならないかと声をかけてもらい、今に至りますね。

_不安になることはありますか?その場合、どうしていますか?

私の立場って結構ユニークで、代表って語られるけど、その言葉と自分の現状にギャップも感じるし、まだ何もできてないって焦りや不安に駆られることは今もある。

けど、何が正解かなんて誰にも分からないことだから、自分と日々の暮らしの「心地よさ」に向き合い続けていくしかないなって思ってる。

自分の気持ちには正直でありたいし、揺れ動くことや感じていることを蔑ろにはしたくないなって。そうゆうのを積み重ねて、地に足をつけていきたいな…と思ってます。


_自分の決断や変化を恐れることはありますか?
上勝に来るかどうかは最後まで迷っていた。でも「仙人」と呼ばれている人との出会いは移住する決め手のひとつになったかも。

彼は山奥に自分で改装した小屋に住んでいて、お家に冷蔵庫がない代わりに畑で野菜やベリーを育て食べてる。冬はそこから採れる作物が少ないから、籠を背負って街へ歩いて降りていく。

彼みたいに自分が満たされる暮らしを、自分でつくっている人がいる上勝なら間違いないかもって思った。


_影響を受けたアドバイスや言葉はありますか?
「自分の心がスッと行く方向に行ったらいいよ」という言葉、「どの道も正解だよ」というアドバイス、それから「自分がその道を成功にしていくんだよ」という助言。

3つとも、大学卒業前の多感だったときにそれぞれ別の方から言ってもらった言葉なんだけど、どれも背中を押してもらったもので、今でも自分の指針にしている。


_ 働く中で、あるいは生きてる中で大切にしているキーワードを教えてください
ものごととの関わり方、かな。付き合い方と言ってもいいかもしれない。

WHYは公共の施設だし、多くの人が関わる場所だから、ここでやろうとしているのは、社会という大きな仕組みの中で「どう変わっていこうか」と、みんなで考えていくすごくパブリックなこと。

でもものをつくるとか、扱うことは、自分と自分の周りのことじゃないですか。とても小さかったり、儚かったり、プライベートなもの。

どちらも自分にとっても、社会にとっても必要なことで、だからどういう形で関わっていけるかは大事にしているし、まだ模索している感じかな…。

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