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“人生の中で失敗することはもちろんあるけど、失敗した人生はないから。そんな基準ありません”

28.中里虎鉄 / フォトグラファー・エディター・アーティスト


フォトグラファー、エディター、アーティストなど、多岐に渡って表現活動をしている中里虎鉄さん。ご自身の性をノンバイナリー(男女二元論の中で属さない性)としており、すべての活動は求めている社会を実現するための手段でしかないという。

虎鉄さんが大切にされていることや活動源について伺いました。

■中里虎鉄(ナカザトコテツ)
フォトグラファー、エディターであり、アーティスト。肩書きにとらわれず多岐に渡って表現活動をしている。
自身の性をノンバイナリーと位置付けており、ジェンダーやセクシュアリティについての考えや経験を発信している。
Creative Studio REINGから刊行された雑誌『IWAKAN』を立ち上げ、現在は編集の1人。2021年より東京と宮城県気仙沼市で2拠点生活を始め、ジェンダー平等を目指した地域づくりに取り組んでいる。

Instagram: @kotetsunakazato

▶︎虎鉄さんのインタビュー後に書いた私の備忘録です。無意識に自分の中で形成された概念は、「本当にそうだっけ?」って確かめて、どんどん流動的に変わっていけたらいいなって、お話を聞かせてもらってそう思いました。

_今の仕事(や生き方)を始めたきっかけは?
もともと雑誌を創りたかったんだよね。
書店に並んでる雑誌って男女二元論でしか構成されてなくって、もっと多様なジェンダーアイデンティティとかセクシュアリティが前提の雑誌を見たかった。

それで、たまたま出版社が編集のアルバイトを募集してたから、応募して働き始めたの。

けど、そこの雑誌の内容と、虎鉄が普段伝えてることが真逆だったんだよね。

女性が男性に求める年収を聞かなきゃいけなかったり、納得できない企画でも、バイトだから取材しに行かないといけなかった。

結局、自分が伝えたいことと、やってることのギャップが大きすぎて、そこはやめたんだけど、雑誌の創り方を全然知らなかったから、スキルを学ぶことはできたかな。行ってよかったと思ってる。

① 身体的性(Sex:からだの性): 人間の体の特徴に基づいて割り当てられる性別
②性自認(Gender Identity:こころの性): 「自分は女性/男性/どちらでもない」といった、自分自身の性別に対する認識。
③性表現(Gender Orientation:ふるまう性): 自身がどの性として振舞うのか。男性・女性・中性・無性などが考えられる。
④性的指向(Sexuality:好きになる性): 好きになる人の対象がどのような人であるか。

_今の仕事を始めるのに不安はありましたか?また、それはいつ乗り越えましたか?
不安はなかったけど、クライアント側からしたら仕事や依頼をしづらいだろうなっていうのは感じてた。何をメインにしてるのかが不明だから(笑)

正直、フォトグラファーを目指したこともないし、編集もバイトしてた編集社でのやり方しか知らないから、肩書きとして名乗るのはおこがましいなって思ってる。スキル不足だなって感じることもたくさんあるし。

でも全部、伝えたいことを伝えるための手段としか思ってない。

だから、虎鉄に依頼してくれる人たちは虎鉄の考えを欲してくれていたり、共感してくれている人たちがほとんどで、スキルだけを求められるような案件は、あんまりこないんだよね。

それ以上に、どんな想いを持った人に関わってもらうか。そこを大切にしてくれてる人がいるから、虎鉄は仕事させてもらえてるなって思う。だから虎鉄も同じ想いで力を出せる人や場所で働きたいと思ってる。

_発想やクリエイティビティの源泉は?
虎鉄、幸せになりたいんだよね。
幸せが何かは分からないけど、恐怖や不安を抱えず、社会から強制もされないで、自分のやりたいことを選べる状態になりたい。
それがすべての活動に共通してる根源。

今の社会は、虎鉄が求めるその「幸せ」とはかけ離れているんだよね。
じゃあどの部分を変えれば「幸せ」に近づけるんだろうって考えたら、虎鉄が密接に関わっている問題はジェンダーやセクシュアリティによって不平等を被られていると言うことだから、そこを変えたいと思って写真を撮ってるし、文も編集してる。

_仕事をやり続ける原動力は?
それも自分が幸せになりたいからっていうのもあるけど、それ以上に虎鉄が今してる活動とか社会運動を自分がやめることは、現状の有毒な社会の再生産に加担してしまうことだと思ってしまうんだよ。

虎鉄が10代のときに自分のジェンダーアイデンティティやセクシュアリティに気づいて揺らいで感じた、すごく大きな不安や恐怖を、次世代の子たちにさせたくない。その使命感で続けてる部分もある。

長期的な目で見た時に、休んだりする可能性も全然あるけどね。でも今の社会はどんな生き方をしていても、必ず自分たちの選択肢や行き場を潰してくるから、一生関わり続けていくことだと思ってる。

_影響を受けたアドバイスや言葉はありますか?
アーティスト活動を始めて1番最初、『ダンセーカイホー(Men’s Liberation)』っていうZineを作ったんだけど、その作品を出した時に、

「この作品はすごく素敵だし、虎鉄さんの想いが100%詰まっているものだから、この作品が虎鉄さんをいろんな場所に連れて行ってくれるし、いろんな人に合わせてくれるよ」

ってメッセージをくれた人がいたの。

その人とは会った事もなかったし、正直言われた時はあんまりパッと来なかった。

けど、そのZineをきっかけに、自分の活動範囲や関わる人がすごく広がって、あの時の言葉ってこういうことだったんだって感じたし、『IWAKAN』を創ってる今も感じてる。

_自分自身をいい状態に保つためにしていることや、習慣はありますか?
アップダウンが激しい方だから、自分をいい状態に保つことはできない。気分が落ちることもあるけど、それはそれでしょうがないかなって。悪いことだとは思ってない。

でも何かに傷ついたときは、その時の自分の心を優先させてる。自分が1番自分の味方でいたいんだよね。

他者のことってやっぱり分かるわけないんだよ。100%分からないから、嫌なことをするし、いろんなことを言ってくる。

それは相手が知識や歴史を学べば減ることだけど、今はその学ぶ機会そのものが多くないから、相手を傷つけてしまうシュチュエーションってよくある。

だから傷つけられた時に、自分が自分のことを守ってあげないと。
そこで笑って受け流す行為は、また自分で自分のことを傷つけてしまうんだよね。

闘うときは闘うし、闘えないと思ったら逃げる。その相手に加担して自分のことを傷つけることだけはしたくない。自分が1番自分のことを甘やかそって思ってる。

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