死にたい

いつからか、自ら死にたいと思うようになった。
私自身の命を絶ちたいと、強く思うようになった。

きっかけは、分からない。
ただどんどん無意識に蓄積されていく負の感情を全て無視して生きていたら、いつの間にか自然と笑えなくなったことに気がついた。
楽しい時も、楽しいはずなのに、そう思えなくなってしまっていた。

そしていつも泣いている事が多くなった。
悲しいわけじゃないのに涙が溢れて、辛いわけじゃないのに胸の奥が苦しくて、もう訳が分からなかった。
ただじわじわと私を飲み込んでいった。

本当に気がついたのはずっと後だった。
朝、学校に行こうとすると不思議と起き上がれなかった。
学校に行かなきゃ、また怒られる、はやく。
頭で必死に考えているはずなのに体は動かない。
私の体は言うことを聞かなくなった。
それが体からのSOSだった。

でも父や母は何も知らない。
私が何も言わないから、いつも通り学校に行くと思い込んで無理矢理起こしに来る。

「学校は?行かんの?」

最初はそれだけだった。体調が悪いと伝えれば自然と休ませてくれたしその時は良い親を持ったものだと思った。
でも、それがしばらく続くとそう上手くはいかなくなった。

「あんかけ、学校は?また行かんの?あんたもうずっと行ってないやん」
「いい加減にしろよ?甘えてるんじゃないよ、はよ行け」

私が学校に行かない日は決まってぐちぐちぐちぐちと私の暴言が止まらなくなっていった。
これの何が良い親だ?私が伝えなかったのがいけないのか?そうか…私が全部悪いんだ。
もう自分を責めることしか考えていなかった。
私が何もかも悪いんだ。私のせいだ。

私の、せいだ……。

しに…たい……。

学校も家も何処にも私の居場所は無いのだと知った。どこに居ても出来るだけ気配を消して、誰にも気づかれないようにした。その方が少しは気持ちが楽だった。もう、私は存在する意味が無いのだと感じた。

楽しいこと、嬉しいこと、それら全て私の心にはなかった。昔はどうやって楽しんでたんだろう。どうやって笑ってた?私…どこに居たんだろ。
もう、分からない。思い出せない。

友達も親もみんな信用できない…。
きっと私の事なんか嫌いなんだ。誰も私を好きじゃない。そんな人達に相談することなんて、何も…ない…。

そうして私は自ら1人になった。信用出来ないのなら1人で居た方がいい。誰にも知られず、ただ1人で抱え込んでいた方がいい。誰かに迷惑をかけるくらいなら自害した方がマシだ。

本当は何度も自殺しかけた。
ただ全部自殺未遂で終わっている。
誰かに止められた、とかそんな事はなかったけど、ただ私の勇気がなかった。
リストカットも首吊りも飛び降りも試した。
でもできないんだ。怖くて怖くて、あと一歩なのにそれが出来なくて、結局私は生きてしまった。
ほんの少しの勇気で私が居なくなればみんな幸せになるのに。邪魔な私が消えれば全部幸せになるのに…。

こんな事も出来ないのか、と情けなくて、惨めで…生きることも死ぬことも許されないのかと思った。

それから約1年ぐらい経った今、相変わらずだ。
この気持ちは変わらないし、なんなら今でもどうにかして死のうと思っているくらいだ。

ただ、少しだけ変わった。大切な友達は数人出来た。この人なら信用してもいいかなと思えるようになった。それに私の病気の事を話しても笑わなかった。これが普通なのかもしれないけど、私にとってはとても不思議な体験で、凄く嬉しかった。

あと、笑う時間が増えた。本当につまらない事でも面白くて、笑うようになった。
特に、大切な友達の中の1人で、その子とは一緒に居ても負の感情はあまりない気がする。
幸せで、笑い疲れて、また一緒に居たいと思えるような友達。

少し、本当に少しだけど、まだ生きてもいいのかもしれないなと思う。

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