F F タールが重い君が好き
飲み屋で隣の席に座った女の子に両手で首を軽く抑えられて、細いねって消えちゃいそうな顔で笑われた、殺すぞって思った、夏。
そんなこと言うなよ、愛しちゃうだろ。
そんなこと言うなよ、壊しちゃうだろ。
ぼくよりぼくが怖いって知っていて近づいた君のこと、本当に馬鹿なんじゃないかと思う。
傷つきたかっただけ?
一瞬でもいい、そばにいて。
手を繋いで、やわらかいねって笑うから、なんで今笑うんだよ、おかしいだろって泣いてよ、ぐちゃぐちゃな顔して泣いてよ。望んでた、ずっと。ずっと、ずっとずっとずっとずっとずっとずっと。
芯のない優しさこそが本物の暴力で、芯のある傷つけ方こそが愛情だって、ドメスティックバイオレンスみたいな言い方やめてよ、花が咲いたんだ、ほら、よくふたりが歩いた道のすみにさ、白い花が咲いたんだ。そんなこと言いたくても言えないから、無限にスタンプを持っている君に「あ」とか送りまくっている。
青の先には白がある、それとも逆?って夏空を眺めて考える、信じることをやめたら楽になった。川に足を浸して、死との隣接地点を楽しんでいる馬鹿みたいに生命線が長いひとたちを嘲笑う。
壊れそうなものばかりに惹かれるきみの答え合わせをするために黒髪にしてみた。
ばれませんように、ぜんぶ、ぜんぶ。
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