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続・全くの素人が彫塑で藤井風フィギュアに挑戦する<第10回>

「まだ続いてたの! 」


「しかも風さん以外に2人増えてる」

風さんのみカツラで植毛 後の二人は頭髪も粘土


2022年も立春を過ぎ、やっと第10回目の記事です。

義母には、久しぶりにフィギュアを見てもらいました。
もう飽きて放置しているのかと思っていたそう。年末年始をまたぎ、前回から約2ヵ月も間が空いています。無理もないですね。


実は時間が掛かったのには理由があります(と言い訳)

まずは企画を
「続・全くの素人が藤井風フィギュアに挑戦する」
から
「えいっと!私に、風が吹く!に挑戦する」

にマイナーチェンジしたことです。

風さん以外に、小林私さんと瑛人さんも作ることになりました。人数が増えたぶんだけ、物理的に手間がかかります。

併せて塗装の方法も模索していました。水性塗料やアクリルガッシュを使い、美しく仕上げるテクニックが知りたい。
エアブラシではなく筆塗りだけで、どこまでできるのか。本やネットの情報を参考に試行錯誤していました。

下地材にジェッソを使って水性塗料を筆塗り、植毛したカツラをつけた状態


正面から

1回目の塗装の際はジェッソを筆塗りしたところ、表面が粗くなってしまいました。彫像本体の研磨が不十分だったのも原因です。


下地材に水性サーフェイサー(白色)を使い、アクリルガッシュで2回目の筆塗りをした状態


正面から

二回目の塗装の前には、スポンジ付サンドペーパーでていねいに研磨。
ジェッソで凸凹になっていた表面を、できるだけなめらかに整えました。サーフェイサーを吹くと、かなりつるつるに。

ここまで仕上げるのに、1人につき平均4回ほど塗装をやり直しています。
眼球や眉毛、唇など細かいパーツの修正は数えきれないほど。
ヘッドルーペを付けてTAMIYA製の極細面相筆を使い、息を止めるようにして描きこみます。

眼球は虹彩が2. 5ミリ、瞳孔は1.5ミリ


100均のタッパーとスポンジ、クッキングシートで作ったウェットパレットが便利で大活躍


サーフェイサー(下地材)から保護するために風さんの頭髪とまつ毛をマスキング まるでエステ中(笑)



水性サーフェイサーを吹くとジェッソの筆塗りよりもなめらかに仕上がる

瑛人さんはかなりツルンとした感じになりました。

スッキリした優しい顔立ちの瑛人さん



小林私さんは女性的な美しい顔立ちだが、よく見ると骨格は男性



塗装すると、うっすら広瀬すずさん入っているような


「彫塑と塗装のテクニックは、すごく上達したと思うよ。あとはやっぱり造形ね。

解剖学的に違和感を感じないように仕上げるのが一番かな」



「やっぱり人間らしいフォルムが大切なんですね」

「そうそう。首から肩への角度とか、背中の筋肉の付き方とか。服を着せてもシルエットがきれいに出るから、手を抜くともったいないよ」

「あ、ちょっぴり手を抜いてるかも!塗装教室に行ったときの先生も同じことを言っておられました」

「まずは骨格と筋肉、でしょ」

「そうなんですよ。鎖骨の出かたとか。

『解剖学的に美しいかを見る』

らしいです。それが美しければ『やるな』と思うらしく」

「絵を描く時も同じだもんね。ただ立体だとパターンをたたき込むまでは本当に難しいね」

「たたき込むまで、ですか……(遠い目)」

「そうそう、こればかりは数をこなすのも必要かも」


最終形としてどういう作品を作りたいのか


「で、あんこさんは最終的に生き人形みたいなのを作りたいの?」

「んん?生き人形とは?」

「とにかく、そっくり人形を作れれば、それで満足かってこと」

「うーん、どうだろう。もちろん似ていることは目標です。でもそれだけじゃなくて。息づかいを感じるような温もりとか、例えば後ろ姿からも、その人の人間性が感じ取れるようなものを作ってみたいんです」

「そうね。そっくりに描けたり、彫刻できるようになるのもすごいよ。たくさん練習すればできると思う。

でも私はそれだけだったら写真でいいわ」


「ああ、塗装教室の先生にも同じこと、言われてました。写真みたいに描けたり、そっくりに作れたところで、

『あなたは何を表現したいんだ』

と」

「画像を取り込んでソフトで編集加工したり、3Dプリンターで複製すれば、誰でもそっくり同じものが作れるじゃない。結局、それだったら大量生産される工業製品と同じ」

「うーん、確かに」

「なんのために我々(美術業界人)が、クロッキーやデッサンを描くと思う? 

モノの形を正確に見られるようになるためよ」


「見ているようで、実はちゃんと見てないから描けない……」

「それだけ練習を繰り返して同じモノを見て描いても、みんなちょっとずつ違う。それはそこに作り手の感性が出るから」


「よく観察して手を動かすことで感性も磨かれるんですね。造形も3Dソフトでは作れても、実際に粘土を触った経験がないと上手になれないと言われました」

「そりゃそうだ。デジタルでやるにしてもアナログがベースにないとね。それにアナログだとコピーできないから、二度と同じものが作れない。それが、おもしろいの」

「そうですね。同じように作ったつもりでも微妙に違ってくる」

「そのひとつひとつの絶妙な手くせとかが個性、作品の味ってもんじゃない?


「うーん、なるほど。音楽で言うと打ち込みではなく、即興演奏みたいなもんですかね?」

「え?あんこさんの例え、さっぱりわかんないわ(笑)」

「あー、ちょっと違うか。自分でも何言ってんだか、よくわかんなくなってきた」

一生勉強


音楽と美術は、近いようで知らないことだらけです。
ただ、どちらも芸術を突き詰めることは自分との戦いであり、一生勉強という点は同じなんですね。
は~、お義母さま、毎回勉強になります。


最近、「スイッチインタビュー達人達」でミュージシャンのYOSHIKIが同じようなことを言っていたのを思い出しました。

勉強って簡単じゃない?
勉強すればそれだけ進歩があるんだからわかりやすい
芸術ってどんなに打ち込んだって結果が出ない時があるじゃない 
だから芸術に向かう自分のほうがぜんぜん大変で
勉強なんてって言っちゃいけないけど何でも習得する自信ある

引用:NHK SWITCH INTERVIEW 達人達


努力の成果が見え、進歩が実感できる勉強。

一般的に勉強は正しく努力すれば、具体的な結果が出ます。
語学であれば、相手の話が理解できるようになり、次第に自分の意思が伝えられるようになる。
努力の結果を身をもって実感できるのです。

しかし、芸術には終わりがありません。
「これでもう満足」と思えることは、一生ないかもしれない。永遠に続く旅のようなものです。


音楽学生の頃は、いくら登っても頂上が見えない高い山に挑み続けているようでした。わたしは「勉強が簡単」だとはとても言えませんが「芸術はどんなに打ち込んだって結果が出ない時がある」と感じたことは何度もあります。

「芸術に向かうほうがぜんぜん大変」
「何でも習得する自信はある」



この言葉は芸術と真剣に向き合ってきたYOSHIKI氏ならではの発言だと感じました。



この石粉ねんどでの彫刻と塗装は一応、これで完成とします。早くグレースカルピーを使った造形にトライしたくてたまりません。
仕上げに風さんのヘアスタイリングと、3人の衣装をどうするか考えます。

衣装デザイン後、型紙を作り苦手なアイロンがけ(我が家のアイロンはほぼ休眠中)とソーイングをする予定。
胸像なので前回の全身フィギュアより、ずっと負担は少ないはずですが、どうなることやら。

まだまだ学びは続きます。




画像引用:藤井風Twitter/ photo by 上山陽介


これからの藤井風フィギュア、続編を綴ります


藤井風フィギュア、第一作の制作過程、全22回の記録はこちら



藤井風さんのこと、いろいろ書いてます



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画像引用:藤井風Twitter / photo by上山陽介

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