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バカ野郎!ひとりにしないでよ。アメリカで夫に先立たれた妻のバイブル (3)

  • そもそも突然死とは?

バイブルとは英語でbibleと書き、意味は「聖書」「転じて、特定の分野において権威のある書物」のことだ。

神聖な名を私のようなものが軽々しく使うことに……神様、どうかお許しを。
でも……バイブルと名付けたのは、私なりの理由(へりくつ?)があるのです。

そもそも、突然死した人は、世界中に何人いるのか?

一般社団法人日本循環器学会 参考人提出資料(2021年10月1日)によると突然死の発生率は人口の0.1~0.2%,総死亡の10~20%であり,原因は不整脈、虚血性心疾患等の脳心血管病が殆どであると書かれている。

WHO(世界保健機関)およびUNFPA(国連人口基金)が発表した2022年版の世界人口白書(State of World Population)によると、世界の総人口は約79億5400万人。日本の人口は約1億2647万人で世界11位。  男女別では、男性が約6175万人、女性が約6472万人となっており、女性の方が300万人ほど多い。

厚生労働省の2020年の統計第1-27表
死亡数・死亡率(人口10万対)性・年次×年齢階級別によると
   1〜39歳=     5,701
40〜49歳=  8,075
50〜59歳= 16,152
60〜69歳= 34,469
70〜79歳= 96,969 
これらの統計には、既婚か単身かの記載はない。

循環器学会統計での突然死は総人口の10〜20%とある。事故死などによる突然死を加えると相当な割合になるはずだ。しかし、亡くなった遺族のグリーフケア・故人家族の心のケアという面での情報は絶対的に少ない。

グリーフケアという言葉も一般的に浸透してきてはいるが、ホスピスや入院患者家族が亡くなる時に残され(る)た家族への対応を意味することがほとんどであり、突然死をした家族へのケアは、なかなか浸透していないのが現状ではないだろうか。闘病記や看護についてなどはブログで見かけて悲観を共有することも多いように思うが、突然死がこれほど多いにも関わらず残された家族の苦しさやケアは、どこにも示されていない。

心が弱っている遺族を狙う悪徳宗教や占い師、偽スピリチュアル指導者も多い。

カウンセリングを受けても、カウンセラー自身がこの稀な状況を心から理解出来ず教科書の枠の中に押し込みカウンセリングをする。グリーフケア専門カウンセラーですら、それぞれが経験した悲観しか共有できないのだ。子供を亡くした親は、その経験しか理解出来ない。大切なパートナーを突然死で失った辛さは、やはり同じ経験者しか理解出来ない。私がカウンセリングから感じた率直な意見だ。

また、悲観によりうつになってしまったのではないかと自己分析し、精神科へ診察に行く。当然、お薬を処方される。病院であり、医師の診断は病気なのだから仕方ないが、望んでいるのはそのような事ではない。

色々な書物やブログを読む。それぞれの経験が書かれているが、やはり最愛のパートナーを突然亡くした人と病気で亡くした人では、少しだけ心のあり方が違う。大切なパートナーや家族を亡くしたという意味では悲しみは同じである。しかし、突然死されたこの悲観は、孤立感が強い。

情報が少ないということは、孤立感をさらに強くする。情報源として突然死でパートナーや大切な人を亡くした心に寄り添えないか。

自分の死ではない、大切な人の死。
愛する人の死を看取った残された者の苦しさや切なさ。

『時間が解決するよ』『いつかはみんなが通る道だから』『心に生きてるよ』

どこか冷めた気持ちで頷きながら
『ありがとうございます』とお礼を伝える。

言った本人は、満足そうに『大丈夫だよ…乗り越えられるから』と私を抱きしめる。

何が大丈夫なの?
『心に生きてる』ってどう言う事?
彼は死んじゃったんだよ。

誰が大丈夫なの?大丈夫な訳ないじゃん。
葬儀終了と共に私の心までわかったふりして、勝手に完結しないでよ。

心の中の声が叫んでいました。

大切な人を亡くした者だけがこの苦しさを経験する。教科書や友人の話では、絶対にわからないこの苦しみ。こんな経験などシェアしたくない。いや、こんな経験は私だけでよい。そう願っていても、現実は無常です。

私のように苦しむ人がいたら、少しでも理論的に楽になる方法を共に探し、共有していけたらと思っています。