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推しがそこにいれば、それだけで

現実的な話をすると、
来年のオリンピックの開催はかなり難しい状況である、と個人的に感じている。
他国が数年間かかりで、このウイルスに立ち向かう方法を考えている中で、仮に日本がここから奇跡的にウイルスの封じ込め・ワクチンの開発に成功したとしても、来年の7月頃までにワクチンが全世界に行き渡ることはそう容易いことではなく、全世界から人が集まるオリンピックはウイルスにとって格好の餌だ。

私は箱根駅伝が好きですが、
箱根駅伝の開催もかなり危ういと感じている。
箱根駅伝には予選会があり、10月の半ばころに毎年開催されている。
陸上関係では今年3月の東京マラソンでまだその危険性を今より浅く考えていた人が多かったこともあり、自粛を呼びかけたにも関わらず沿道には多くのファンが押しかけていたし、例年12月に開催されている福岡国際マラソンの中止も決定している。
10月の予選会は20校以上の大学は12人を走らせる上、そのサポート、OBやファンで今となっては「密です」としかいいようがないほど、人が集まる。
そしてこの予選会を経ずに、本選が始まる可能性はとても低い。


現実的な、冷静な頭で考えれば、そんなことはずっと分かっている。


けれど、アイドルが好きな人が、武道館、そして東京ドームに立つ推しを見たいと考えるように、
駅伝が好きな人の多くは、推しが箱根駅伝を走っているところを見たいし、
スポーツが好きな人の多くは、推しが4年に1度しかないオリンピックの舞台に立っているところが見たいだけだ。

理不尽でしかなかった突然のマラソンの札幌開催に当たって、ようやく一ファンである私も気持ちを切り替えて、札幌まで行こうかな、と考え始めたところだったのに、出場が決まっている選手たちの気持ちはいかばかりだったのか、到底測り知ることはできない。

あの、MGCの盛り上がりに戻りたい、とずっと考えている。
あちこちに選手の旗が立てられて、声援が飛び交って、あの新国立競技場へ向かう道で気持ちを抑えきれず走っていく多くの人たちの背中。
あの日の熱狂は、もちろん大会自体が素晴らしいものであったもので、けれど確実にあの新国立競技場を超えた先にあるオリンピックを、あそこにいた全員が見ていた。

もう、戻れないけど、あの時の景色はずっと忘れない。
誰にも公言せずに、あの日あそこで、選手の名前を繰り返し叫び続け、ブレブレの動画を撮影してたことも、ずっと忘れられない。


オリンピックは政治とも周知のように関連性が深く、どうしたって、ただ推しが立っているのを見たい、という気持ちだけでは多くの批判に立ち向かうことができなくて、でも、本当にただ見たくて、
順位が伴えばもちろん最高だけど、でも、ただそこに立ってくれるだけで、きっと純粋に、生きててよかったな、と思えるだろうって。

父がオリンピックのためにと買った大きすぎる4Kテレビで連日コロナのことが流れて、息が詰まりそうになる。せめて父に東京でやるオリンピックをこのテレビで観てほしい、叶うなら


ただ、ただ、純粋に推しを見たいファンがスポーツの世界にもいることを、どうか、簡単に批判するまえに、心に留めてください。家にいる選択ができるなら、ぜひ家にいてください。


そしてもしオリンピックが、箱根駅伝が開催されなくても、
もうすでに発表されているように全中やインターハイが開催されなくても、
選手のみなさんを推しにしている人は絶対にどこかにいて、私と同じようにひっそりと、あるいは大きな声でがっつりと、
あなたがその競技を続けてくれる限り、ずっと応援し続けているはずです。
よそ見をすることがあったとしても、一度推した人のことは忘れないです。
だから、もし、まだ続けようって少しでも思えるなら、お願いだから続けてください。

冷静になんて、いられないよ

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