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第24回:最強ヒロインと一緒に、社会の「ストレス」ぶっ飛ばしませんか?

おはようございます、あみのです。今回の本は、香坂マトさんのライトノベル作品『ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います』(電撃文庫)です。タイトル長っ!

今作は、個人的に毎年楽しみにしている電撃小説大賞の受賞作のひとつです。ラノベの新人賞もいろいろありますが、電撃大賞の作品は圧倒的に当たり作品が多いなと毎年思います。

今作は、今の自分の働き方に不満がある人や仕事先の人間関係に悩んでいる人に凄く読んで頂きたいです!物語の舞台はゲームの世界観のような異世界ですが、世間の印象とは違うブラックな労働環境に悩むヒロインの姿は現実世界と重なって見えるかもしれません。

あらすじ(カバーからの引用)

 内勤だから安全、公務だから超安定!理想の職業「ギルドの受付嬢」となったアリナを待っていたのは、理想とは程遠い残業三昧の日々だった。すべてはダンジョンの攻略が滞っているせい!限界を迎えたアリナは隠し持つ一級冒険者ライセンスと銀に輝く大鎚(ウォーハンマー)を手に、自らボス討伐に向かう――そう、何を隠そう彼女こそ、行き詰ったダンジョンに現れ、単身ボスを倒していくと巷で噂される正体不明の凄腕冒険者「処刑人」なのだ…!
 でもそれは絶対にヒミツ。なぜなら受付嬢は「副業禁止」だからだ!!!それなのに、ボス討伐の際に居合わせたギルド最強の盾役(タンク)に正体がバレてしまい――??

感想

まず、読後感がめっちゃくちゃに清々しい作品です!超ブラックな労働環境から抜け出すために、「処刑人」という冒険者を名乗って強敵をボコっていくアリナの活躍にはとても元気が出ました。ヒロインが強い作品は結構好きですね。

アリナは序盤から受付嬢の仕事に影響を及ぼしている強敵を瞬殺しますが、次から次へと新たな強敵が出現するため、彼女の理想の生活はまだまだ遠いです。更にはジェイドという冒険者に処刑人としての姿を見られたことを機に、彼のギルドの前衛役(トップアタッカー)にスカウトされる羽目になってしまいます。

この作品、とにかくキャラクター同士のやりとりが凄く面白いです。アリナの強さに惹かれたジェイドが一生懸命彼女にアプローチを続けるも、一蹴されてしまうところとか、「白銀の剣」(ジェイドが所属するギルド名です)の面々の個性的なキャラクターとか活字だけで表現するにはもったいない面白さでした。個人的にはアニメで見てみたいタイプの作品ですね!

もちろん、「お仕事小説」としての魅力もたくさん詰まった1冊です。日々アリナをイライラさせる冒険者や同僚、ダンジョン攻略の進捗状況で増えていく残業etc…先ほども述べたように今作は異世界が舞台ではありますが、現代社会における問題とファンタジーの世界観を重ねた設定は凄く斬新で見事だと思います。

「安定した仕事」と昔から言われながらも、実は超ブラックな受付嬢の仕事。現実への理不尽さに怒りを抱えるアリナが選んだ手段こそが、「処刑人」という正体不明の冒険者となって、他の冒険者の代わりに敵を倒すことでした。

作中では何度もアリナとバラエティ豊かな強敵との戦闘が描かれていますが、どの戦闘シーンでも単純な言葉に込められた彼女の仕事へのストレスをよく感じられます。アリナ、めちゃくちゃ応援したくなるヒロインでした。

ヒロインと住んでいる次元は違っても、現実世界と同じような悩みに思わず共感してしまう作品。私も先日、アルバイトにて嫌な思いをしたばかりでしたが、アリナの活躍を見ていたら、彼女と悩みを共有しているみたいでとても勇気を貰いました。読んでいる時の気持ちに近い感情が描かれた物語と出会うと特に嬉しくなりますね。

アリナのように働きやすい社会に期待している人はきっと多いと思います。だからこそこの作品を読んで、アリナと一緒に日々のストレスを発散してみませんか?

おまけ

作品の面白さが短時間で表現された公式のPVも良かったら合わせてご覧ください。


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