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第108回:星占いも京都も、想像以上に奥が深い。

こんにちは、あみのです!
今回の本は、望月麻衣さんの『京都船岡山アストロロジー』(講談社文庫)という作品です。

望月さんの作品は、京都の魅力をミステリーやファンタジー要素を交えて描いているところが大きな魅力だと思います。今作は「船岡山」を舞台に、「星占い」というテーマをミステリー要素も取り入れて描いた物語でした。

有名な観光地とはひと味違う京都を知ることができる1冊。
星占いを巡る物語や素敵な登場人物たちに癒されるのはもちろん、京都を観光している気分も同時に味わうことができます。遠出したいけど、どこへ行きたいか考え中…って人にもおすすめです。

あらすじ(カバーより)

憧れの耕書こうしょ出版に就職した高屋誠は、中高生向け占い雑誌に配属される。編集部は大阪支社で、住まいも未定。占い嫌いの高屋は、船岡山珈琲店にいる正体不明の占い師への取材中にぶち切れ、星読みと大喧嘩。和解の流れでなぜか店の二階に住むことになり、不本意ながら星の世界に触れ、その奥深さを知っていく。

感想

母親による”天才少女占星術師”「ヒミコ様」の崇拝が原因で、家庭崩壊してしまった過去から占いを嫌っていた高屋。大手出版社に勤める彼は、担当する雑誌の取材で「船岡山珈琲店」にいる占い師に出会います。その正体は、桜子という小説家志望の女子高生でした。

占いを嫌う高屋と、本と占いをこよなく愛する桜子。高屋と桜子の出会いは最悪なものだったけど、船岡山珈琲店・書店の個性豊かな仲間たちから星占いのことを学んだり、星占いの結果に救われた人々の姿を見たりしながら高屋は占いに対するイメージを少しずつ変えていきます。

星座を通して、本当の自分のことを知る。
占い師の言葉から自分を変えるヒントを見つける。
占い結果の良い悪いを判断するのは、その後の行動次第。

星占いってテレビや雑誌でもよく取り上げられる身近な占いではありますが、今作を読むと想像以上に奥の深い世界であることがわかります。ちょっと難しい話もありましたが、私も高屋と同じように「本当の星占いの面白さ」を感じることができたのは確かでした!

テーマだけ見ると『満月珈琲店の星詠み』シリーズに似ていますが、今作は講談社文庫らしく?ミステリー色が強めな内容にもなっていました。
物語の後半では、船岡山珈琲店・書店の仲間の秘密が次々と明らかになっていきます。

高屋の占い嫌いの原因となった「ヒミコ様」騒動の真実、謎の恋愛小説家「美弥」の正体。彼の身近に潜んでいた数々の謎には、この物語のキャラクターがもっと好きになる要素がたくさん詰まっていました。中でも渋くてかっこいい印象…かと思いきや、意外な一面も見せるマスター、凄くいいキャラだと思います。

今作には星占いの面白さだけでなく、主な舞台である船岡山周辺の魅力ももちろんたっぷり詰まっていました。
京都の中でも星が綺麗に見える船岡山。きっとここでは神社仏閣とはまた違う「非日常感」が味わえるんだろうなと思いました。船岡山珈琲店のモデルになったお店をはじめ、周辺にはおしゃれなお店も多いそうなので、京都に行った際はぜひ立ち寄ってみたい場所です。

最後に今作の主人公は高屋ではありますが、作中で描かれたそれぞれの謎の真相を知ると、桜子をはじめとするすべてのキャラクターのことを応援していきたい!と思えてくるような作品でした。「星占い」を通してこれから高屋たちにはどのような出会いや成長が待ち受けているのか、続編の発売にもとても期待が高まりますね。

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