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第115回:「物語」という箱を開ける短編集

こんにちは、あみのです!もう12月ですね~。
さて今回の本は、PHP文芸文庫の『ラストで君は「まさか!」と言う』シリーズ傑作選の「トパーズの誘惑」という巻です。このシリーズは初めて読みました。今作には数分で読める短編が36本も入っています。

先日、フォローしているPHP研究所のnote記事で存在を知った1冊。
最近この手の短編集にハマっているので、「これはぜひ読んでみたい!」と思って早速本屋で見つけてきました。宝石のようにキラキラしたカバーイラストも素敵ですね!

今作はいろんなジャンルの短編が読めるので、読み進めながら自分の好きな作風を見つけやすい点が大きな特徴ではないでしょうか。
1話ごとのページ数が凄く短いので、毎日1,2話のペースで読むのが私のおすすめ。日々の癒しに、今日を頑張ったご褒美に読むのにぴったりな1冊です。

あらすじ(カバーより)

パン職人のレンは恋人のリリィに十一月の誕生石であるトパーズを贈ろうと決心するが‥‥‥?(「誕生石」)、父の作った自分によく似たロボットが気に入らない少女は怒って‥‥‥(「そっくりロボット」)、売れない作家の元に守護霊を破格で貸すという男が現れて‥‥‥(「守護霊レンタルサービス」)。全ての話がどんでん返し!読み終わるまでの三分、あなたもきっと騙される――珠玉のショートショート三十六篇。

感想

ミステリーっぽい演出の話、ブラックユーモアが含まれた話、ゾクッとするエンディング、心温まる話etc…何が入っているのかわからない箱を開けていくようにドキドキしながら1話1話大切に読みました。
数分で読めて話もきちんと完結するので、寝る前とか電車での移動中にも気軽に楽しめました。

今作には簡単に願いを叶えてもらえる、時間を自由に操ることができるといった夢のような設定のお話がたくさんありました。

しかしこのようなお話では、楽をしたことで逆に不幸を招いてしまったり、本当に理想を実現したいのであれば地道な努力が必要なことを描いていたりと、教訓のような要素も含まれていたところがいいなと思いました。

時間を止めるアイテムを手に入れた少女を描いた『時のはざま』のエピソード、『望みの果て』のエピソードで描かれた簡単に願い事を叶えてしまうことの恐ろしさあたりは非常に心に刺さりました。毎日ちょっとの時間でも何かをコツコツと続けられる人が最終的に勝つんですね。

また「どんでん返し」を大きなテーマにしているというのもあり、「まさかこういうラストで来るのか!」と意外性のあるオチから刺激がもらえたエピソードもいくつかありました。

1番ゾクッとしたのは『未来日記』。引っ越しの最中、学生時代に手に入れた日記帳を見つけた主人公。ここに書かれていたのは、なぜか最近「いいこと」が続く自分自身の様子だった…。
わずか4ページのお話ですが、日記の日付が読み手までを追い詰めていく演出は見事でしたね!

他にも思わぬ恋の結末にきゅんとした『リセット・チョコレート』『二回目の中学生』、社長のために偽物の絵を描く看板職人の活躍に感動した『ニセモノの絵』といったエピソードも私は好きでした。

このシリーズはもともと児童書で展開しているそうなので、今度そちらの方も読んでみたいです。また、PHP文芸文庫の傑作選の2作目以降もぜひ発売してほしいなと思いました。私はもっとこの「物語」の箱を開けてみたい。

***

★今作に収録されている中で、私のおすすめの短編のひとつです。
こちらも数分で読めるので、この本に興味がある方はまず下記の記事を読んでみてください!

(PHP研究所のnoteでは、他の収録作品も何本か読めます!)


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