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自分で選ばなければ掴めない「幸せ」もある(凪良ゆう:『汝、星のごとく』)
こんにちは、あみのです!
今回の本は、凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』という作品です。
私は凪良さんの作品で描かれる「少し変わった人間関係の形」がとても好きで、作品を読むたびに「世の中にはいろいろな考えがあっていいんだな」と気付かされます。
今作は遠距離恋愛を描いた物語なだけでなく、これまで凪良さんが既刊で描いてきた「少し変わった人間関係の形」に対するひとつの「答え」のようにも私は感じられました。「普通」から少し離れた人々が掴む「幸せ」をぜひ読んで感じてもらいたい1冊です!
![](https://assets.st-note.com/img/1666703365149-6FVEqA8aJq.jpg?width=1200)
あらすじ
――わたしは愛する男のために人生を誤りたい。
風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。
――まともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。
感想
地元に残った暁海と漫画原作者の夢を叶えるために上京した櫂ですが、高校卒業後の彼らには、まったく想像していなかった未来が待っていました。
櫂はネットで知り合った作画担当の尚人くんと一緒にヒット作を生み出していくのかと思いきや、尚人くんの恋愛事情が公にされてしまったことによって、2人はすべてを失ってしまいます。
一方の暁海は、現在も昔ながらの考えが残る島の風潮に呆れつつも、趣味の刺繍を仕事にしながら彼女らしい日々を過ごしていました。
目まぐるしい2人の生活の変化からは、人生って本当に何が起こるかわからないことを痛感します。
少しレールを外れただけで何か言われる理不尽な世の中ですが、それでも負けずに自分で決めた道を進んでいく暁海に私はとても勇気をもらいました。
作中にて「自分を縛る鎖は自分で選ぶ」(p294)という言葉があったのですが、これまで歪な人間関係を何度も描いてきた凪良さんらしい言葉だなと私は思いました。
既婚者であるにもかかわらず、櫂の最期を共に過ごすことを決意した暁海の選択のように、一般的には許容できない人間関係も山ほどある。世間が何を言おうとも、それに負けないように自分たちにとっての「幸せ」を守っていく。私は凪良ゆうさんのそのような物語が本当に大好きなんだ!
遠距離恋愛中だった櫂と暁海が最終的には復縁するお話なのかと思っていましたが、実際はそんな甘くない物語でした。
切なさが残るラストでしたが、暁海はこれからも櫂との思い出を胸に、自分が決めた道を歩んでいくのだろうなと思いました。
人の数だけ異なる生き方・考えがある。「普通」が人によっては「生きづらさ」に繋がってしまう場合もある。だからこそ、自分で進みたい方向を選ばないと掴めない「幸せ」もあることを強く感じられた作品でした!
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