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アート×旅小説『ユリイカの宝箱』がめちゃくちゃ面白い

一色さゆりさんの『ユリイカの宝箱』という作品を読みました!個人的に関心の強いアートと旅をテーマにした作品とのことで、あらすじの時点で絶対に面白いだろうな〜と予感しました。

今作は職を失った主人公・優彩ゆあが、どうやら幼少期に面識があるらしい桐子という女性に導かれ、各地の美術館を巡る「アート旅」の魅力に出会うストーリーとなっていました。アートに特化した旅行会社で働く桐子に、優彩は次第に興味を持ちだしていきます。

まず今作は、美術館に足を運んで実物を見て初めて味わえる感動を印象的に描いていました。

アート作品も本やネットで画像はいくらでも見ることができますが、本物の感動は実際に自分の感性で確かめてみないとわからないと、ところどころのシーンにて感じられました。私も美術館に限らず、旅では見た景色をなるべく自分の目に焼き付けることを大切にしているので、作中での考えには共感した箇所も多かったです。

アートというと、作品や作者の知識がないと楽しめないイメージもありますが、この本を読むと実はそうではないことに気付きます。

アート作品を見ての感動は作品そのものに対する好みはもちろんのこと、その時の自分の気持ちだとか天候だとか、誰と一緒に行ったかによって生まれることもあると痛感しました。また一度見たアート作品も何年かして改めて見ると、感じるものが違うなんてこともこれから先、私にもありそうだと楽しみになりました。

読み終えた時、次は読者の私が各地の「ユリイカ」を見つけに行く番だとこの物語に言われたような気がしました。

1話目の直島は前から行ってみたい場所のひとつですが、地中美術館をはじめとする島のアートスポットの魅力が行ったことのない人にも伝わるよう描かれていて、「行きたい」が「めちゃくちゃ行きたい」に変わりました。確かに現代アートは実物を見ないとわからない感動が多そう。

内容として特に好きだった3話目の安曇野は、作中で描かれた切ない恋のエピソードを踏まえて碌山美術館に行ったら、今作を読んだ人しか味わえない発見もありそうで新たな興味がまた増えました。アートを楽しむことを中心とした旅も心を美しく磨く時間を作るようで、いつか実践してみたいと思いました。

今回は4つの地域が登場しましたが、読んでいて優彩&桐子の案内で読みたい美術館がいくつか思い浮かび、今作で彼女たちの物語を終わらせてしまうのは非常にもったいない!と思ったので、いつか続編が出るようなら歓喜します。

今回の本

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