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第96回:noterさんの記事で気になった本を読んでみた

こんにちは、あみのです。
今回の本は、中村航さんの『鬼ガール!!』(角川つばさ文庫)という作品です。この作品は先日、フォローしている「南・奥河内から情報発信」さんの記事を読んで知りました。

南・奥河内から情報発信さんは大阪府河内長野市にまつわるネタを得意とするnoterさんで、様々なアイデアで河内長野市の愛と魅力を伝える記事の数々は、読んでいて好奇心が高まります。

そんな河内長野市を舞台にした小説があると南・奥河内から情報発信さんの記事にて知り、「鬼と女優ってどんな組み合わせなんだ!?ぜひ読んでみたい!」と思った私は早速『鬼ガール!!』を図書館で借りて読んでみました。(児童書なのでサクッと読めました!)

あらすじ(カバーより)

あたし、鬼瓦ももか。鬼と人間の子ども。そのせいで幼い頃にイジメられたのが心の傷トラウマ。だから新しく入学する奥河内高校では、ツノを隠してフツーの女子のふりをすることに。初日から映画部の王子様岬先輩に「女優にならない?」と誘われて一目ボレ!恋して青春するでえ!ともりあがっていたら、映画部にはかつてのイジメっ子蓮がいた。こいつに鬼バレ=社会的死!ドキドキするとツノが出ちゃうのに、女優なんてできんのかい!?

感想

児童文庫ならではの可愛いイラストと、青春味溢れるパワフルなストーリーがとても魅力的な作品でした。また河内長野市の実在するスポットも登場するので、作中のネタも詳しく調べてみたくなりました。

「鬼」が主人公の話とのことだったので、ファンタジー色が強めなのかな?と思っていましたが、ファンタジーというよりは青春小説やラブコメの読み味に近かったです。

👹🎀👹🎀👹

ももかは幼い頃のトラウマによって、まわりに自分の正体がバレることを恐れながらも、「普通の女の子」に憧れて高校に通い始めます。
そこで彼女は岬先輩と出会い、彼に導かれて女優を目指すことになります。

発声練習(「ブラジル人のミラクルビラ配り」など独特過ぎる言葉のチョイスよ笑)をはじめ、女優に必要なスキルを身につけていくももか。彼女が努力を重ねていく姿からは、岬先輩への想いは誰にも負けない!という女の子らしい気持ちを存分に感じられました。

しかし、岬先輩の映画のオーディションにてももかの努力は残念ながら報われず、彼女は「補欠の補欠の補欠」となってしまいショックを受けます…。

ショックから立ち直れないももかですが、彼女の努力は意外な人物も見ていました。それはももかがトラウマの原因となった人物として嫌っていた蓮です。ももかの一生懸命な演技を気に入った蓮は、自分が作る映画のヒロインにどうしても彼女が必要であるとももかをスカウトします。

蓮がももかの努力を認めるシーンからは、「日々の努力は何らかの形で必ず報われること」「努力は必ず誰かが見ていること」を実感しました。
自分では努力をしているつもりでも、なかなか報われないな~と思うことが私にはあるので、このあたりのくだりは読んでいて凄く元気が出てきました。

そんなことで蓮の映画に参加することになったももか。でも2人だけでは1本の映画を作ることはできません。そのため役者をはじめ、映画を作るのに必要なスタッフ集めをももかも手伝うことになります。

このときにももかは、メイクが得意な星愛姫ティアラをメイク係にスカウトしようとします。しかし気が強いティアラのことをももかは苦手に感じていました。

これまでは会うだけでバチバチしていたももかとティアラですが、ももかは勇気を出してティアラが映画に必要な存在であることを伝え、スカウトに成功します。(スカウトに成功したのはティアラが好きな蓮が関わっていたというのも半分あったのですが…)

映画の制作を通し、これまで敵対していた者同士がそれぞれの「得意」を活かして絆を深めていく。こういう関係性の作り方って私は凄く好きだし、何よりも人それぞれの「得意」によってひとつの「作品」が作られていく様子を描いた後半の展開にはとても胸が熱くなりました。

また蓮が作ろうとした映画は狼男と鬼の恋愛を描いた作品でしたが、この作品とももかの家族との意外なつながりも明かされていきます。家族の秘密にも触れながら「コンプレックス」を「強力な個性」へと価値観を変化させていくももかの成長ぶりも印象的でした。

ももかや蓮をはじめとするキャラクターひとりひとりに「強力な個性」があって、嫌いになるキャラクターが誰ひとりもいなかったです。
特に岬先輩は、前半はみんなが憧れる王子様キャラとして描かれていたけど、後半はかなりギャグっぽい扱いをされていたので笑ってしまいました。(でも彼も個性を活かした活躍を最後までしっかりとします!)

児童書らしいツッコミどころ満載な世界観が楽しいかつ、人それぞれの「個性」に対する深いメッセージに心打たれる良作でもありました。児童文庫、何年かぶりに読んだけどめちゃくちゃに面白かった!

最後に南・奥河内から情報発信さん、note記事を通してこの作品を知ることができて本当に良かったです。ありがとうございました!

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