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「SNS断食」12日間やってみた

0日目

ある日、息が吸えなくなった。
胸や胃をグーで押されているような感覚で痛く、苦しく、息がまともに吸えない。
最初は分からず、変なものを食べてお腹が痛くなってるだけかと思っていた。
でも何食べた? 当たるような生ものも、重い肉も食べてない。

急いでYouTubeで「息 深く吸う」と調べ、
息を6秒吸って、7秒止めて、8秒吐いてみた。
見てみれば、この呼吸法はパニック発作対策だった。

パニック発作? 私何にパニックになってるんやろ。

あれって乗り物に乗ってるときになるもんちゃうの?
満員電車とか、あるいは上司にしこたま叱られたとか。
衝撃的なことがあってからじゃないん?

特に思い当たるふしがなく、いちど横になってみた。
だいぶ楽になったかな。ふとSNSを流し見していると、「ドン!」と心臓を叩かれたような感覚がした。

これだ。「文字」だ。

車椅子の人が映画館で映画をゆっくり見れないこと、
お年寄りのアクセルとブレーキの踏み間違い、
保育園落ちた、旦那が子育ての協力をしない、
名字が別々だと家族の絆が薄れる・・・

事件や事故の記事と、その記事に対するコメントを見て
心臓が痛くなっていたんだ。

他にも、人が困っていたらアドバイスしたくなる衝動に駆られるようで、
考えたアドバイスを必死に140字に収めて送り、
返事がないと、「なんでお礼がないねん!」と勝手にキレてる。

SNSだけに留まらずビジネスメールでも、
「、。」が多いと「この人怒ってる? 私なにか言った?」など
いちいち気にしていたことが分かった。

この感情の浮き沈みで、心が毎分毎秒ジェットコースターになっていたんだ。
これが朝から始まっていた。
朝起きてすぐSNSをチェックするのが日課だった。

そういえば、SNS断食の動画で
「起きてすぐ人の人生から始まる朝なんて嫌だなと思った」
と言ったYouTuberを思い出した。

実は前回、
「スマホに時間を奪われて他の本来やりたいことに集中できてない」
のを脱却するためにSNS断食をしたことがあったのだけど、すぐに元に戻ってしまった。
今回は体調不良を起こしているため、ガッツリやめることにする。

呼吸を戻そう。思考を戻そう。他人よりも自分をちゃんと見よう。
「SNS断食12日間」を始めることにした。


1日目


私の仕事は、SNSで環境保護団体の活動を紹介をする「広報」をしていた。
基本は家にいながらパソコンで仕事をする「リモートワーク」なので、
会話はテキスト文字でのやりとり。

仕事の連絡が来ていないか、問い合わせがないか、チェックのためにスマホやパソコンをいじっていると、
環境破壊のニュースが目に止まり傷つき、自分が環境保護出来ていないことに落ち込み。

また、困っている現状から新たな解決策のアイディアが浮かぶ。
自分や団体のキャパを無視したアイディアが・・・

ひとつの刺激を見つけるとそこに反応して、その反応にまた反応する。
1個事件があれば、10個被害妄想が膨らむ。
1個アイディアがあれば、そこからまた10個アイディアが浮かぶ。

そんなことを朝からやるので、
元々脳内メモリが少ない私が朝から脳がパンパンになり、
午後にはもう頭が働かなくなっていた。

いつも異様な眠気が襲ってくるため必ず昼寝をするのだけど、
「朝のうちに体力を消耗しているから昼寝で回復しようとしてるのか?」
と思った。鬼滅の刃の禰豆子のようだなと思った。

SNS断食すれば、あの眠気はなくなるかも?

今、LINEの連絡先を知らず、DMでやりとりしているしている案件があったため、
完全にSNSを削除するのは難しいと判断し、まずはスマホからアプリだけ消すことにした。
チェックするのはお昼に1回、パソコンでのみ。さっそくやってみると、なんなく出来た。
まったくSNSを見たい衝動に駆られない。

前回のSNS断食の目的は、
「スマホに時間を奪われて他の本来やりたいことに集中できてない」のを脱却するためだったけど、
今回は体調が悪い現状をなんとかせねばという強い意思があるからかもしれない。

すんなりスタートの1日目だった。


2日目

仕事のために一瞬SNSを開く。
やはり情報が流れてくると興奮してくる感じがある。
心拍数が上がる。息がしづらく、目眩がする。

今の広報の仕事はSNSの発信をすることなので、これを機に思い切って仕事も来月やめることにした。
完全なる無職になるため、親に30万円借りた。亡くなった母のへそくりだった。

そういえば昔も親にお金を借りたことがあった。

ラブホテルの受付で働いていた頃、
お客さんの車をエレベーターのように上下させる車庫があり、いつも外のボタンで操作をしていた。

その日は日曜日であまりにもお客さんが多く、
受付から出られなかったため、中でボタンを操作してしまった。
そこでお客さんの車を大破させてしまった。ぐちゃぐちゃになっていた。

丁度店長が出勤したので事情を説明し、
お客さんに慌てて電話してくれ、ラブホテル側で修理に出すことになった。

ちなみにラブホテルはヤーさんが経営していることが多いため、保険に入ってないことがある。
採用される時には「絶対車壊すなよ。壊したら自腹になるから」と釘を刺されていた。

私が車を壊してしまった相手は、不倫カップルっぽかった。
車を見てやけに落ち着いていた。騒げない立場だったからだろうか。
甘いセックスの時間をぶち壊してしまった。

ラブホテル側から修理代33万円を請求された。
月給7万円のアルバイトが、1ヶ月目にして大事件を起こしてしまった。

この件は親にお金を借りてきっちり払い、即日退職した。


3日目

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