目の前に現れては消える足跡。
こんにちは、天音です。
今日の書籍紹介は川端裕人さんの『ドードーをめぐる堂々めぐり』(岩波書店)です。
皆さんはドードーについて、どんなことを知っていますか?
もしくはドードーと聞いてどんなことを思い浮かべますか?
頭でっかち。飛べない。ノロそう。重そう。嘴がでかい。
絶滅した鳥。🦤。
……こんなところでしょうか。
この本を読むまでは、わたしのドードーについての知識はこの程度のものでした。
ですがご安心ください。
この本を読めばドードーについて、全てわかります。
モーリシャス島にいたドードー鳥🦤
何を食べていたか。
どんな色でどんな卵を産んで、どんなふうに子育てをしていたかまで!
丸わかりなのです!
……すみません嘘です。
ドードーは17世紀末に絶滅しています。
理由は入植者の捕獲や、持ち込まれた外来生物による卵の捕食、生息地の減少など。
人が“種の保存”“絶滅”という考えに至る前に、この地球から消えてしまったのです。
当然、情報は多く残っていません。
『ドードーをめぐる堂々めぐり』は、タイトル通り堂々巡りです。
第一章では、江戸時代初期に出島にオランダ人が持ち込んだとされる一羽のドードーを追いかけます。
第二章では、主にヨーロッパに連れて行かれたドードーたちを。
第三章では、ドードーが住んでいたモーリシャス島に立ち返って。
偶然わたしたちの前に現れた、小さなドードーの足跡(情報)をひたすら追いかけていくのです。
追いかけては見失い、落胆しかけては新たに僅かな手がかりを探り当てる。
始まりも終わりもない。まさにドードーとコーカスレースをしているよう。
優勝商品は指貫ではなくドードーにまつわる新発見ですが。
結論がはっきり書かれているわけではないので、「ドードーはこういう鳥だ!」というのが読みたい人にはあまりおすすめしないかも。
しかしこの本を読み始めてから読み終わるまでずーっと、わたしは著者の並々ならない情熱を感じていました。
もう、よくここまで根気よくあるかもわからないものを追いかけられたなと。感動しました。
情熱を感じつつ、文章は特に暑苦しくもなく淡々とかかれています。
専門的な部分・解説はとても充実していて、それでいて素人のわたしでも読み進められる軽快さ。
一つ言うのであれば、わたしに日本史の知識がもう少しあればもっと面白く読めたかもしれません。日本史を大部分スコンと忘れていたので、ドードーにのめり込む前に「あれ、この時代どんなだっけ」と邪魔な思考が入ってしまいました。
視覚的に説明してくれているところが多いです。
読んでいると、わたしも出島を闊歩するドードーや、モーリシャス島で子育てをしているドードーを想像していました。
ハトの近縁なら、首を振ってたりするんですかね。お尻が大きい感じなので揺れながら歩いてるのは愛嬌があります。
消えたドードーを追いかけていると、必ず行き着くのはドードーの消失は「人間が引き起こした絶滅」という事実です。
それにも拘らずほとんど記録が残っていなくて、読んでるとわたしまで焦れてきます。登場する研究者や川端さんのドードーに対する熱意を知るほど、歯がゆいだろうなと思ってしまいました。
絶滅種が見つかることは稀にありますが、生きたドードーの再発見はあり得ないでしょう。
しかし、これからも彼らの足跡は見つかるかもしれません。
例えば巻物に書かれた変な鳥がいたとして、見る人が見ればドードーに関する何かだとわかるかもしれないのです。
ドードーの“新しい再発見”があるといいなと期待しているので、もし蔵に資料や巻物がある人は今後注意していただきたいと思います。
日本やヨーロッパ。
世界中を巡ったもういないおかしな鳥について、堂々巡りをしてみませんか?
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