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「県境の底力」~越境学習と地域活性の観点から(妙高ワーケーションの成果(その2))

10月初旬の、妙高でのワーケーション講演&ワーケーション(coordinated by  竹内義晴さん)体験を通じて得たアウトプットその2です。
(はちゃめちゃ忙しくて、ブログ記事書くまでに時間がかかりました。すみません!(そろそろ専属のライターさんが欲しい(苦笑)))

妙高市でワーケーションをしてみて、そして常日頃、浜松市・三ヶ日(みっかび)で仕事をしていて、僕の中でぼんやりと思っていた仮説が確信に変わりました。

妙高市で実施したワーケーション講演の舞台裏。右からお二人目が竹内義晴さん

それは、県境地域のコラボレーション・ハブとしての可能性です。

「県境力」「県境思考」「県境の底力」などのタイトルで1冊本を書きたいくらいなのですが、とりあえずブログでアウトプットします。

ちなみに、僕が三ヶ日に仕事の拠点(三ヶ日ワーケーションオフィス)を立ち上げた経緯は以下の記事をご覧ください。

今回訪問した妙高市も、三ヶ日町もいずれも県境の町です。

妙高高原の町中からクルマで10分も走れば、長野県信濃町
浜松・三ヶ日も同様に愛知県豊橋市、新城市と隣接しており、東名高速道路の西側の次のインター(豊川インター)は豊川市です。

ワーケーション講演会場のハートランド妙高。景色も良く、あたたかく、広く快適でした。

三ヶ日やお隣の湖西市に関して言えば、日常的に愛知県の東三河エリアと人の行き来があり、行政区分は静岡県と愛知県とで分かれているものの、経済圏や文化圏では同一と考えて良いと思います。

竹内義晴さんお薦めの居酒屋、やまぎしさん

僕も三ヶ日ワーケーションオフィスの日常的な買い物や食事の先は、もはや浜松の中心部ではなく湖西市、豊橋市、豊川市に行くことの方が圧倒的に多いです。

このような県境の地域は、独自の中立的な文化が形成されやすい
僕はそう感じています(もちろん、中には排他的なカルチャーを形成する地域もあるようですが)。

やまぎしさんの料理。海にも近い妙高は魚も美味しい。そして僕、あさり大好物なんです

たとえば、あくまで僕の所感ですが、三ヶ日は浜松であって浜松でない

もともと浜松市ではなかった(平成の大合併で三ヶ日町から浜松市北区三ヶ日に生まれ変わった)地理的、文化的背景もあるとは思いますが、いい意味で浜松すぎないところが僕は好きです。

もちろん、僕は浜松が大好きです。
とはいえ僕のような他所から来た人間からすると、地域ローカル成分がディープすぎるのもちょっと重苦しく、絡みにくく感じることも正直あります。

その意味でも浜松でありながら浜松すぎない浜松にも湖西にも豊橋にも豊川にもなれる三ヶ日ってとても居心地が良いのです。

(三ヶ日には別荘地もあり、昔から他地域の人たちの行き来が日常的に行われている文化的背景も大きいと思います)

休暇村妙高のラウンジ。ワーキングが快適に出来るスペースがあります。

今回、妙高を訪問して三ヶ日と同じような空気を感じました。

妙高って、新潟であって新潟ではない!

気分を害されたらすみません。しかし、これが僕の率直な感想です。

大変失礼ながら、僕は子どもの頃、妙高高原は長野県だと思っていました

きっと僕以外にも、妙高は長野だと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

隣接する斑尾(まだらお)高原は長野県ですし、僕が子どもの頃は長野を思わせる「特急あさま」が東京と妙高を結んでいました。
(親の実家が佐久にあっり、よく上野から妙高高原行きの特急あさまに揺られて帰省したものです)

妙高高原ビジターセンター。いもり池を眺めながらのワーキングが可能。

妙高が新潟県か長野県か。

これまた気分を害されたら本当に申し訳ないですが、そこが何県に属しているかなんて訪れる人からしたらどうでも良いことなのです。

実際に新潟県の妙高高原と、お隣長野県の野尻湖や斑尾高原を「はしご」して帰る訪問客も少なくないと聞きました。

妙高市が運営するテレワーク研修交流施設「MYOKO BASE CAMP」

その土地や地域の価値は、相手が決めるものです。

妙高としてのブランド、あるいは隣接する長野県の斑尾、野尻湖、戸隠など同一エリアとしてストーリーや動線を作り、エリアとしての体験価値を向上させる

妙高にしても三ヶ日にしても、これら県境の都市は「実質長野県」「実質豊橋」くらいの見なしや開き直りでもって、それこそ越境思考で新たなコトをおこしていくくらいでも良いのではないかと僕は思います。

人が決めた、行政的な境界で線を引く意味は、相手(受け手)にとってまるでありません。

「MYOKO BASE CAMP」はカフェ・軽食スペースも併設。食事難民にならないのはありがたい!

このように、失礼ながら「新潟だか長野だかよく分からない」「浜松でも豊橋でもどっちでもいい」県境の土地は、別の観点でも大きなポテンシャルを秘めていると思います。

ずばり、県内の都市間連携や、近隣または同一線上(高速道路や新幹線など)の複数都市のコラボレーションのハブとして機能しやすい

ええと、ここから少し生々しくエグい話をします。

「MYOKO BASE CAMP」にオンラインミーティングに適する個室も完備。わかっていらっしゃる!

たとえば新潟県内の話をすると、新潟市と三条市と燕市と長岡市の人たちを集めてフォーラムやディスカッションをするとしましょう。

ともすれば、どこで開催するかの我田引水な綱引きになりかねません。

妙高で集まってみてはいかがでしょう? 仕事のミーティングやディスカッションに適するスポットは市内のあちこちにありますし、何より「新潟にありながら、新潟色が強すぎずともすれば長野だと思われている土地」だからこそ、抵抗感なく県内の他都市の人たちが集まってくれやすい可能性もあります。

似たような話は全国各地にあります。名古〇と〇宮とか、長〇と〇本とか、〇橋と岡〇と〇田とか、静〇と〇松とか、いや……これ以上はエグくなるのでやめておきましょう(苦笑)
別に僕は都市間の対立を煽りたいわけではないですから。仲良くしましょう(笑)

ZOOM社がスポンサーになっており、ミーティングルームにはすぐZOOM出来る設備も

同様の話は、地域広域でもあります。

たとえば北陸の広域連携のミーティングやイベントを行う場合、金沢でやるか富山でやるか、富山においても高岡でやるか富山でやるかなどでおそらく揉めるでしょう。

妙高のように、北陸各県から高速道路や新幹線でアクセスしやすい「第三の土地」で開催してみる。

このように、県境なおかつ中立的な立ち位置になりやすい土地は、地域間コラボレーションの「平和なサードプレイス」(第三の場所)として十分機能し得ます。

「MYOKO BASE CAMP」は妙高高原ビジターセンターとも隣接する、心穏やかになれる立地に

春に富山県の南砺市長と対談したとき、僕はこう申し上げました。

南砺市は、東海北陸道をベースに金沢、富山、新潟、岐阜、名古屋などの地域間連携のハブ拠点になり得る。
ワークスペースを整備したり、ファシリテーターを育てて、中核都市間連携としての機能を強化しませんかと。

どこまで響いたかはわかりかねますが、僕も地域・三ヶ日を民間の立場で東名高速道路をベースにした地域間連携のハブとして機能させていけないかなと思い、日々大学教授などの著名な有識者をお呼びしたり、企業の部門長クラスをお呼びしてコトを起こしていっています。

笹ヶ峰ダムで #ダム際ワーキング  紅葉にはまだ早かったです

三ヶ日は、三遠南信道ともつながっており全通すれば、伊那・飯田など長野県の中核都市とも動線が出来、かつ中央道を介して広範囲な都市との行き来がしやすくなります。

さらに、東名高速三ヶ日ジャンクションを起点に浜松湖西豊橋道路も計画されており、これが完成すれば豊橋や渥美半島との距離もますます近くなります。

現状でも東名高速を軸に、静岡県内の各主要都市はもちろん、愛知県、岐阜県、滋賀県、三重県などの東海エリアの中核都市やその都市の企業と連携しやすいアドバンテージは十分あると感じています。

たとえば、滋賀県と静岡県西部(浜松市、湖西市、磐田市など)の同じ課題を抱える企業が越境学習し合う、課題解決し合うなどの連携も十分アリだと思います。

竹内義晴さんと笹ヶ峰ダムで #ダム際ワーキング

三ヶ日のみならず、さまざまな県境の都市にコラボレーションのハブとなり得るポテンシャルがあるのではないでしょうか。

もちろん有機的なコラボレーションが起こるためには、仕掛け人(ファシリーダー(ファシリテータ+リーダー)となり得る人)がいてコトを起こすとか、コラボレーションする場所(ワークスペースや施設など)があり開放されているなど、仕掛けや仕組みが前提なのは言うまでもありません。

その点で、竹内義晴さんのような地域と他地域を結ぶファシリーダーがいて、なおかつ市内の各所にワーキングやコラボレーションが出来るスポットがある妙高市って本当に魅力的だと思いました。

(その点、三ヶ日はまだまだなんだよなぁ。だから僕は自分でワーケーションオフィス立ち上げてしまったのもありますけれども)

あ、ちなみにファシリーダーの教科書を近々出します。
新刊『話が進む仕切り方

笹ヶ峰グリーンハウスのビーフカレー。ダムカレーに仕立てればいいのにな。僕監修します!

……と、そんなことを思っていた矢先、長野県立科町役場の上前知洋さんのこんな投稿が僕の目に飛び込んできました。

立科町役場 上前知洋さんのSNS投稿より

塩尻をハブとした県を超えた自治体での広域連携会議。
こういうの素晴らしいじゃないですか!

そして、うさぎ企画の森田創さんはこんな投稿をされていました。

うさぎ企画 森田創さんのSNS投稿より

静岡県湖西市と、愛知県豊橋市の、県境を越えた行政連携とインフラ連携!

これぞ「県境の底力」「県境思考」「県境力」だと思い、感動のあまり膝を叩きまくってしまいました!

既にこのような行政区分にとらわれない、越境による地域間連携が始まっているのです。これぞ、越境思考

妙高ワーケーションの帰り道、野尻湖(長野県信濃町)に寄り道

僕も引き続き、県境の地・三ヶ日をハブにした越境学習や企業間交流など、知の創造をテーマにした地域間連携を、有識者やインフルエンサーを巻き込みながら仕掛けていきたいと強く思いました。

(つい先日は三ヶ日ワーケーションオフィスにて、法政大学 石山恒貴先生、関西大学 松下慶太先生、僕(沢渡あまね)の3人で対談。全国に配信したところです。三ヶ日から新たな知を創造するのだ!)

野尻湖畔のカフェで振り返り。新潟で得た学びを、長野で景色を変えて振り返る。
これも越境思考

このような貴重な気づきを与えてくださった、竹内義晴さん、妙高市グリーン・ツーリズム推進協議会の皆さん、改めてありがとうございました。

最後に1つお知らせです。

県境の地 浜松・佐久間ダムでこの冬(2022年12月と2023年1月の2回)、 #ダム際ワーキング 越境学習イベントやります!

島田由香さん(第1回)、石山恒貴先生(第2回)をお呼びし、組織開発・人材開発・キャリア開発・地域開発をテーマにした対談(with 沢渡あまね)とグループディスカッションを実施。

企業や行政の人事部門や、行政機関で地方創生や地域活性を担当されている皆様、是非お集まりください。県境の底力を体感いただきます!