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中核都市間連携に目を向けよう←地方創生について

地方都市の関係人口創出

どの自治体もこぞって、東京など対大都市の関係人口増に鼻息が荒い様子。ですが、「それってサステイナブル(持続可能)なのだろうか?」と思い始めました。

私は最近、東京を意識しない「中核都市間連携」に地方創生のチャンスがあるのではないかと感じています。

1.対東京は「レッドオーシャン」

どこもかしこも東京の企業や人に来てもらおう、呼び寄せようとしています。競合ひしめきあう、いわゆる「レッドオーシャン」の状態。

東京の気を惹くために、税金や助成金や補助金を投じて新たにハコモノを創ったり、観光PRしたり、飲み食いお祭り騒ぎを盛り立てたり。地域によっては、それらで資力と体力を削られるケースも。

これって健全なのでしょうか? 

COVID-19の前までは、「インバウンド」の名のもとに同様のレッドオーシャンな客引き合戦が繰り広げられていました。構造的には同じで、「対海外」が「対東京」にシフトしただけと私は見ています。

こうなると、東京アクセスのよい既得権益(空港や新幹線駅を誘致できた、かつ歴史的観光地や自然を有する、など)を持つ自治体だけが優位になりがちでもあります。

2.東京に知見がなくなりつつある!?

もちろん、対東京の関係人口増はうまくいけば美味しい。お金も知識も東京に集中している現状を鑑みると、そのほうが効率が良いでしょう。

とはいえ、レッドオーシャンで勝ち続けることができる勝者は限られるでしょう。また、ただ単に人とお金を集めるだけならば、対東京で考えるのも良いかもしれません。

しかし、地域固有の課題解決も目指したいとするならば? 果たして対東京が現実解なのでしょうか?

私は以下の2つを感じています。

(1)地域固有の課題解決の知見が、東京にあるとは限らない
(2)知識もお金も東京から他都市に散らばりつつある

(1)について。その都市固有の課題は、規模感・産業構造・価値観などが合わない都市の人たちには理解されない、共感し合えないことも。もちろん、他の取り組みを知ること、取り入れることはものすごく大事です。そのための知識交流は間違いなく必要ですが、それだけではうまくいかない

(2)について。昨今のテレワーク化、リモートワーク化が後押しとなり、東京から地方への移住や多拠点居住が進み始めています(私もその一人)。

人の移住とともに、お金も知識も東京の外に散らばりつつある

そうなると、対東京のアクセスの良さはあまり意味をなさない

それよりも、同じテーマや課題感を持つ中核都市間の行き来がしやすいとか、オンラインで他都市の企業や人とつながってディスカッションしやすいなどのほうが現実的なメリットになり得ます。

3.テーマや「課題感」が合う他都市とつながって解決する

そう考えると、対東京だけで関係人口増を考えるより、むしろその都市と同じテーマや課題感を持つ都市とつながっていくほうが、ブルーオーシャン(競合が少なく)かつサステイナブルな地域活性と課題解決につながるのではないかと私は考えます。

私の変革仲間の辻村昌樹さんが、RESAS(リーサス:地域経済分析システム)を活用してこんな分析をされています↓

浜松市の輸送機器産業について。

RESASのようなデータバンクを活用しながら、自都市の規模、人口構成、産業構造、課題感などが同じ都市はどこか? 東京以外にも、どの中核都市とつながれそうか? 想定してみるのも良いかもしれません。

心理的な面でも、同じ課題感や規模感の地方都市の人たちの話のほうが共感しやすく、受け入れやすく、現実的な課題解決にもつながりやすい。 

隣り合っていない都市や他県の都市など、「お互いしがらみのない」都市と連携するのも良いかもしれません。

同じ文化圏・経済圏だったり近すぎたりすると、いろいろ面倒くさいこともあるでしょう。たとえば同じ〇〇県内の△△市と□□市とか……おっと、やめておこう(苦笑)

4.高速道路ネットワークに目を向けよう

中核都市間連携を志向すると、対東京アクセスの呪縛から自由になれます。

高速道路やバイパスが、意外な中核都市との連携の可能性を広げてくれることも。

同様のことを最近、私は南砺市長、磐田市長、湖西市長との対談や、滋賀県庁の産業活性セクターの方との対話でもお話ししました。

以下の記事でも、似たようなことを綴っております↓

多くの地方都市は仕事も日常生活もどうせクルマ移動です。そう考えると、行き来しにくくかつ駐車場のない大都市より、むしろ高速道路アクセスの良い都市のほうが交流しやすかったりします。

意外な都市が、中核都市連携のハブとして輝けるかもしれないのです。

5.ファシリテーション能力を身につけよう

とはいえ、ただ中核都市同士の人を集めただけではコトは前には進みません。ファシリテータ役が間違いなく必要です。

・ファシリテータ役を地域で育成する
・ファシリテータ役を立てる

それこそ、ファシリテータ役は東京の企業や人にお願いして、中核都市間連携を後押ししてもらうのもありだと思います。

そうすれば、地域と他の中核都市と東京がつながり、知識やお金も相互に落ちともに発展しますよね。いろいろヘルシーです。

これからの時代、つながるスキルやマインドとファシリテーションスキルは、産業活性や地域活性の必須スキルと言っても過言ではないでしょう。

コラボレーションの時代。都市間連携+ファシリテーション能力で、地域の課題を立体的に解決していきましょう!

私もただ叫んでいるだけではなく、まもなく一歩踏み出します。3月後半頃にお話しできる予定です。

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