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鉱物備忘録

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今まで集めてきた鉱物についてただ語るだけのエッセイ。
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#宝石の国

No.75 ヘミモルファイト

No.75 ヘミモルファイト



ヘミモルファイト。
通常は霜のような無色の鉱物なのだが、今回の個体のような水色で丸々としたものもあり人気が高い。宝石としても水色のものがメジャーなようだ。
2019年の東京ミネラルショー。
私は水色で丸々としたヘミモルファイトを探していた。
この年の東京ミネラルショーはお買い得品が多かったものの、目新しいものは少ないと感じていた。その証拠にヘミモルファイトを含むお目当ての鉱物のほとんどが見つか

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No.73 ベニトアイト

No.73 ベニトアイト



高級感のあるロイヤル・ブルーと品のある輝きが印象深いベニトアイトのルースだ。大きさは米粒ほどしかないが大きさ以上の存在感があり、凛とした強さがある。
ベニトアイト。
この鉱物はダイアモンドを凌ぐ希少石として有名だ。
市場に出回ればダイアモンドよりも高額で取引されることが多い。
このルースも小粒であるにも関わらず1万円以上の値段がついていた。
何故底まで希少なのか?
ベニトアイトは大粒で産出しに

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No.49 ユークレース

No.49 ユークレース



南極の氷をそのまま石にしたかのようなユークレースだ。
透明感が強く青い色もきりっとアクセントに入っていてクールな印象を強めている。爽快感を感じる美しき原石だ。
もともと、私はこのユークレースを買う予定はなかったのだ。つまりこれは想定外の出費である。
ことの発端は2019年の夏。私が行きつけにしている店の一つ、群馬にある鉱物店の店主が病に倒れてしまったという情報が舞い込んできた。幸い一週間程度で

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No.48 フォスフォフィライト

No.48 フォスフォフィライト



フォスフォフィライトといえば、市川春子氏の漫画「宝石の国」の主人公として有名だ。私は1巻の時点で「重い」と感じて読むのをやめてしまったのだが、とても人気が高い作品で多くの方から支持されている。
また近年ではこの漫画がきっかけで鉱物に興味を持ったという方も多いようだ。実際私も漫画にはハマらなかったが、1巻を読んで「フォスフォフィライトってなんだ?」と検索したことにより鉱物の魅力にズルズルとハマっ

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No.46 ジルコン

No.46 ジルコン



「イエロージルコン」として売られていたが、完全にブラウンである。
色は地味だが質は一級品で多少インクルージョンが目立つが光に当てると高貴な輝きが溢れ出る。
ところでカンボジア産のブラウンジルコンは加熱すると青や無色に変化することをご存知だろうか?市場にはブルージルコンやカラーレスジルコンが売られていることがあるが、そのほとんどが加熱処理したブラウンジルコンである。天然でブルーや無色のジルコンが

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No.39 アポフィライト

No.39 アポフィライト



アポフィライトは無色のものが多いが、このようなグリーンの物も結構出回っていて、人気の高い品となっている。
今回の標本はミントキャンディーのようなグリーンで、爽やかで淡い色合いは見ていてとても心地よい。加えて透明感が強く、時々アポフィライト特有のギラリとした光沢を味わうことができる。
漫画が好きな方の中には「あれ?」と思う方もいるかもしれない。
そう、市川春子氏の漫画「宝石の国」の主人公として登

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No.30 ルチル

No.30 ルチル



珍しいルチルの結晶だ。ルチルと言えばルチレイテッドクオーツという名でクオーツの中にインクルージョンとして入っているのがメジャーだが、単体だとこのような赤黒い色をしている。しかし不透明なわけではなく、光に透かすとワインのようなコクのある赤色が浮かんでくる。
この赤色は純粋なルチルの色ではない。またルチレイテッドクオーツで見られる金色もルチル本来の色ではない。
じゃあ純粋なルチルって何色なの?

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No.28 ユークレース

No.28 ユークレース



クールなユークレースだ。透明感があって非常に美しいのだが、クラックが多くそこから輝きが溢れてくるため写真を撮るときピントが合わせにくく苦労する。
ユークレースは青や無色、黄色などのカラーバリエーションがあるが、一番人気は青と無色のバイカラーな個体である。この個体はほんの少し青い部分がある。小粒であるが個人的には大満足なユークレースだ。
ユークレースは鉱物コレクターであれば一度は憧れる代物だ。日

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No.25 シナバー

No.25 シナバー



日本では辰砂(しんしゃ)と言う名の方がポピュラーだろう。
赤い岩のような状態で産出することが多く、不透明な個体がほとんどなのだが、この標本は小ぶりながらも透明感のあるかっちりとした結晶である。シナバーはとにかく目で確認できる大きさの結晶で産出することが少なく、このシナバーも小豆ほどの大きさしかない。それでも、大きくしっかりとしている方なのだ。そのため割と近くでこのシナバーの標本が売られていると

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No.16 スフェーン

No.16 スフェーン



渋いグリーンの味わい深いスフェーンだ。少し傷やインクルージョンがあるが、質が良くよく輝き美しい。
私は宝石の中でスフェーンが一番好きだ。
その魅力について解説すると、スフェーンは分散率が高くその力はダイアモンド以上、また屈折率もダイアモンドには劣るものの1.9~2.034とかなり高い。そのためダイアモンドとは異なる華やかな輝きがあり、上品で幻想的な美しさを味わえるのだ。
また、スフェーンはサフ

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