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蠍凛子
2019年9月16日 01:43
ある男は大きな袋を抱えていた。その優しそうな男は、いつもいつもキラキラとした「それ」を袋からとりだしては、街角に座り込んでいる人々に与えるのだった。その座り込んでいる者たちは、男からそれを受け取ると、嬉しそうにしていた。ある者はそれを自分のためだけに使い、ある者はそれを悪いことに使い、ある者はそれをまた別の者に分け与えたりしていた。ただ、男がそれを与えるときには皆笑顔になるのだった。毎
2019年9月15日 00:04
「光の中に何が見えるんだい?」男が聞いた。「たぶん、今は何も見えないよ。だって、眩しいんだもん。眩しくてつい目を瞑ってしまう。でも、キラキラとしているから、また光の中を見たいの。」そう言って、彼女は視力を失ってしまった。「でも、どうして君は笑顔なんだい?」彼女が視力を失った後、男が聞いた。「前は見えなかったものが、たくさん見えるようになったの。目で見えるものには限りがあった