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「現代アート、超入門!(著:藤田令伊)」で現代アートへの第一歩を踏み出してみた

育休で、生活全般への関心が急激に高まって、さまざまな食器や家具なんかのデザインに興味が湧いて、

なんでこの花瓶は前に持っていたやつよりも心惹かれるんだろう?
なぜこの食器に盛るとちょっとテンションが上がるんだろう?
明るい色の靴下を履くとちょっと嬉しくなる

みたいな小さな発見と歓びを積み重ねていたら(ヒマか!)、次第に現代アートの世界に目が向いていた。むりやりなこじつけかもしれないが、なんとなく良いタイミングなので学んでみよう。

そこで、この本を買ってみたけれど、ややタイミングを間違えた感があったので、もっと手前から・スピーディに見識を深められる本を探したところ、noteで見つけたのがこちらの本だった。

これ、作りとしてはすごく親切な本だと思いました。まさに僕のような現代アート初心者がぶつかりがち(というか必ずぶつかる)7大「わからない」を入り口にして、具体的な名作を参照しながらその答えを優しく探っていく。しかも、その作品の背景知識も必ず各章の終わりにまとまっている。超入門!のビックリマーク具合にふさわしい、マジでマジの入門書だった。

ただ、読み終わった後の感想で言うと、自分としては「マジでマジの入門」フェーズは、実は終えていたんじゃないかと感じた。現代アートで「名作」と呼ばれる作品の共通項は、どれもその時点でのイノベーションを起こしていることだってことが、もう体感としてわかっていたからだ。某アーティストにいろいろ教えてもらったからかもしれないし、昔ある仕事でデュシャンの「泉」を結構リサーチしたことがあったからかもしれない。現代アートの基本スタンスはぼんやりわかってきたから、もう少し実際的な、現代の状況の噛み砕き方が知りたいな。

それにしても、現代アート入門を志したばっかりだけど、ある意味絶望して、ある意味気楽になった気がする。

現代アートは、既存の枠組みを超えることを至上命題としている。具体を超えて抽象へ。美術館を超えて屋外へ。現実を超えて超現実へ。とにかく既成概念を超越して、その上で人の心を動かすことへの追求をやめないのが現代アートだ。
・・・ということは、逆から見れば、何が既成概念なのかを理解しないとその価値は永久にわからないということだ。文脈の理解がほぼマストなのだ。それって、シンプルに、大変じゃん・・・。ある程度は、知的に勉強しないといけないよね。しかも、形式が無数にあるし、ライブなものも多いから、めんどい。

ただ一方で、全ての作品は偉大な先人や人々の議論の上に生まれているっていうことだから、まあスタート地点はどこでもよいってことでもあるだろう。音楽でも、好きなアーティストに影響を与えたアーティストを芋づる式に掘っていくことがあるけれど、現代アートの方がその芋づる(芋づるというか反発?)がより強い気がする。価値の源が「考え方」に近いからかな?

んだもんで、まずはスタートを切るべしということで、ここ数日鴻池朋子さんというアーティストの情報を漁っている。彼女の作品からは、

自然 / 超現実 / 神々 / 民話 / 生と死 / 生命 / 民俗学 / ・・・

みたいな、なんとなく生命感のあるキーワードが浮かんできて、 目が惹かれてしまう(疲れてるのかな?)。彼女がどんな文脈の中にいて、何を乗り越えようとしているのか、まだわからないけれど、すべては繋がっていると信じて船を漕ぎ出してみようと思っている。別に誰かと競う話じゃないし。そう考えると、楽しくなるよね。

※ただ、いきなり残念なのは、鴻池さんの気になる作品が、展覧会用の巨大なものだったりして、既に触れられないものが多数あることだ。これも現代アートということか!

おわります。






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