コーチングの力

 最近になってようやく、少ーーーーーーしだけコーチングについて理解が深まってきたような気がする。よく「プレーヤーズファースト」「主役は選手」という言葉は耳にタコが出来るくらい聞いてきました。だから自分も「そんなのわかりきっている」と心の中では思っていましたが、頭では分かっていても、全く出来ていなかったのではと思うようになりました。

 自分は大学でスポーツ系学部の「コーチングコース」を専攻していました。そこで口酸っぱく言われてきたのが、

「ティーチングばかりではダメだ、コーチングで選手たちを導いていくのが、コーチの仕事だ」
「先生はティーチャーだから教えることが仕事、だけどコーチの語源は、馬を手綱で導くこと。選手たちを導くことをしていかなければいけない」

 そう、「導く」という言葉がすごくキーワードになっていました。ただこの導くという言葉の意味も少し勘違いしていたかもしれません。これまでの自分は、確かに指導者からの一方通行にならないよう、質問を中心に対話することで、子どもたちの発言する機会を多くしようと意識していました。子どもたちが発言に困っていたら、自分の質問の仕方が良くなかったのかなと思い、もう少し簡略出来なかったかな、もう少し子どもたちが理解しやすいワードを使えなかったかなと思うこともありました。

 けれど、ここでひとつ重要な落とし穴にはまっている自分がいました。

「結局、自分が用意していた答えに導こうとしていた」のです。

 質問して、あまり自分が期待していなかったことが返ってきた時、表向きでは、「そうだね、そういう考えもあるよね」と言いつつ、結局、「でもさ、〇〇のことを考えたら△△の方が良くない?」と自分の頭の中で描いている枠で導こうとばかり考えていたのです。

 それも経験豊富の指導者でその頭の中の枠というのが、広大であれば話はまた少し違う気もしますが、全くもって自分はそんなレベルにありません。そんなことばかりしていたら、子どもたちは自分の思っていること、考えていることを理解してもらえなかったと怪訝な顔をするか言われた通りにしか動けなくなるロボットのようなプレーになってしまいます。

 ある指導者との出会いで「コーチングとは」ということをもう少し考えてみるきっかけとなりました。その方自身、コーチングについて深く勉強されている方で、いままでの自分に足りなかった視点に気づかせていただきました。

 そもそもコーチングとは、何もスポーツ指導者の人のみが活用するものではなく、会社で、学校で、仕事で、家族で、人と人との付き合いの日常生活でもたくさん見られるものでもありました。最近はコーチングという職業もあり、1対1で対話をして、クライアントの課題解決や人生をより豊かにするサポートをされている方もいます。

 少し話がそれましたが、私が指導を見つめ直すきっかけとなったコーチングの出発点の考え方があります。

それが、「答えはその人自身が持っている」といことです。

 どうしてもこれまで、導こう、導こうと思っても、結局こちらが用意している答えに、いわば誘導しているところがありましたが、それでは、本当の導きとは言えません。

 このことに気付いてから、自分はこれまで、こんな練習がしたいな、試合ではこんな風にプレーしてほしいなと指導者主導でしたが、視点を変え、いまこの瞬間、彼ら彼女ら頭の中にどんな答えを持っているのか、何を考えているのか、と選手主導で考えるようになってきました。そうすることで、この子はなぜ今、このプレーを選択したのか、実際に行ったプレーではなく、その思考回路、心理状態に目を向けるようになっていき、自然と子どもたちへの声掛けも変わっていきました。すると、子どもたちのプレーも以前より活き活きとしだしたように感じます。

 コーチングを教えていただいた方も、何もコーチングが全てと言っているわけではなく、指導の中で「コーチング」「ティーチング」「カウンセリング」「コンサルティング」その時の状況に合わせて、一番効果的な方法は何かを考えアプローチすることが大事とも仰られていました。この4つのアプローチ法については、ご興味ある方はぜひお調べいただけたらと思います。

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