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母性は誰にでも備わっているわけではない

母性 (新潮文庫)

湊かなえ著の『母性』を読んだ。
久しぶりに、夢中で一気に読めた1冊だった。
そして怖かった。
ミステリーだからではなく、母娘の関係が。

※この後、ネタバレする内容を含みます。

主人公は母親と、高校生の娘の2人だが、
母親の方は自分の母親を溺愛しており、
「私は母親の分身なのだから、
  同じものを見て違う思いを抱くなど、
  あってはならないこと」
とまで言う怖さがある。
そして結婚相手にも、
母親が喜ぶ男性を選ぶ始末。

また娘の方も、母親に愛されたいと
ずっと熱望しながら生きているが、
母娘の思いが錯綜して、なかなか叶わない。
要するに主人公2人ともが女性のマザコンで、
特に母親の方は重度のマザコンなのである。

作者が一番言いたかったのは多分、下記の内容。
「子どもを産んだ女が、
  全員母親になれる訳ではない。
  母性は誰にでも備わってるものではないし、
  備わってなくても子どもは産める。
  子どもが産まれてから、
  母性に目覚める人もいるし、
  逆に母性を持っているにも関わらず、
  ずっと誰かに庇護されたいと願って
  母性を封印してしまう人もいる」
主人公(母親)は明らかに最後のタイプだろう。

私は、女性は子どもを生んでから
だんだん母親になっていく(=母性が身につく)
と思っている。

でもこの物語は、子どもを生んだ後、
母性が身につくかつかないか
というだけの話ではなく、
自分がまだ精神的に母親から独立できていない
マザコン状態の母だから、更に複雑だ。

そして私は読んでいて、この主人公(母親)が、
母子分離不安で赤ちゃん返りが起きている、
うちの娘と重なった。
うちの子もこうなってしまったら…
という恐怖を感じてしまったくらい。
主人公(母親)(娘)とも、
ひとりっ子の女の子というのも
うちの娘と同じ状況だし、何だか怖かった。

ひとつ疑問に思ったのは、
愛情たっぷりに育てられた子は情緒も安定して、
自分が育ててもらったように
子育ても問題なくできると
世間では言われている。
ではなぜ主人公(母親)は、そのように育ったのに
自分の母親から巣立つこともできず、
結婚後も母親にべったりで、
大人になってもまだ母親から
愛情を吸い取ろうとするのだろう。

ずっと誰かに庇護されたいと願って、
母性を封印してしまうタイプだから
というだけでなく、
主人公(母親)の母親の、
娘を可愛がりすぎる育て方も、
やはり問題なのではないだろうか。
育て方も性格も組み合わさってのことだから、
一概には言えないが、
いくら我が子を愛して可愛がっていても、
大人になったら自立させるのは大事だと感じた。

映画にもなったので、そちらも見てみたい。

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