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散文・詩

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2024年4月の記事一覧

【詩】お湯が沸くまでの時間

【詩】お湯が沸くまでの時間

コーヒーを淹れる間
お湯が沸くまでの時間
キミのことを考える

夕食をつくる間
パスタが茹で上がるまでの時間
キミのことを考える

だけどキミといる時は
ほかのことを考えて
キミとの時間を大切にしていなかった

いつも目の前のことに集中せず
隙間時間だけ
思い出したようにキミのことを考える

目の前のものと向き合うのはいつも怖い
だけどキミのことは心の底で
いつも大切に思っていたんだ

でももう遅

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【詩】幸せなんてつまらない

【詩】幸せなんてつまらない

幸せなんてスリルもないし
平凡な毎日でつまらない
波瀾万丈な毎日の方が
変化があって楽しいに決まってる

そう言い捨てて
私は家を飛び出した
優しい夫を置いて
わくわくする毎日を探して

やっとつかんだ幸せだったのに
あの頃の自分はどうかしてたね
でも後悔はしていない
時が戻っても多分私は同じことをする

あの頃の私はセピア色の桜
ちょっと色褪せた花びらは
風とともに自ら散り行く
桜色の花びらを枝

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【詩】春風が運んできた恋

【詩】春風が運んできた恋

背伸びして入った高校
希望で胸を膨らませていたけれど
授業が始まっていきなり躓いた

「こんばんは」
入ってきた家庭教師は
反則級の好みのタイプ
でもそれっきり何も喋らなくて
無口な人と思った

彼はだんだん話し始めて
笑顔も出てきた
気が散って勉強どころじゃない
彼が帰る頃には兄妹みたいに
ふざけあっていた

彼が帰って行くのを
ベランダに出て見送った
生暖かい春風に吹かれながら
彼が見えなくな

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【詩】所有するということ

【詩】所有するということ

何かを手に入れたいと願う
手に入れた瞬間は嬉しい
でもその瞬間から
それを失うかもしれないという
恐怖が伴うようになる

それでもそれが欲しい?
たとえ失っても
一度はそれを手に入れたという
栄光が欲しい?

私はもう何もいらない
何も失いたくないから
何も欲しくはない

私はただ好きなものを
眺めているだけでいい
それで十分幸せ

©2023-2024 alice hanasaki

※この作品

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