八木 タケル

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八木 タケル

趣味で書いた文章をアップしていきます。 私個人のプロフィールは、Twitterアカウントをご参照ください。 感想は#八木図書館 でお気軽に呟いてください

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#八木図書館 開館(まずは始めに)

皆様、はじめまして。 八木タケルです。 この度、noteを使って短編を公開する事にしました。 主に短編小説とボイスドラマ用脚本になります。 超短編に関しては基本無料で公開。 短編より長いものに関してはお気持ち程度の有料にしようと思っております。 少しでも多くの方の目に留まれば嬉しいな、と思います。 ご利用いただくにあたり、お願い事として以下の内容をご一読くださいませ。 ①著作権を放棄したわけではありません。戯曲の使用、短編小説を朗読などで使用する際は以下の事項

    • 何も成せなかった自分への賛歌 あとがき

      こちらの作品は、あるメンタルがめためただった日にふと思いついて、衝動的に書いたものです。 なので、あまり文章として考え込まれてたり、表現を凝ったりはしていません。 ある意味素材そのまま。今が旬の夏野菜丸かじりって感じの文章です。 たまにこういう文章書きたくなるんです。大体は疲れていたり、メンタルが疲弊している時なんですけどね。 もはや黒歴史なのですが、学生の頃は落ち込んだ自分の気持ちを詩で表現する、等という中二病の極みみたいな事をしていました。 当時から僕にとって書く行為っ

      • 何も成せなかった自分への賛歌

         生まれてこの方、僕は何かをやり遂げたことがなかった。  思い返せば何かあるのだろうし、「あなたはあれをやり遂げたじゃない」という人はいるのだろう。でも違う、「僕が」認められる「僕の」やり遂げたことがないのだ。  時刻は23時を回ろうとしている。夜のS駅は帰宅する人であふれかえっていた。僕は自宅へ帰る電車を待って、駅のホームの黄色い点字ブロックの手前に立っていた。  ひどく疲れていた。仕事が立て込んでいて、明日の事も考えなくてはいけなくて、今日あったミスも反省しなくてはなら

        • 向こう側 あとがき

          お盆と言えば皆さんどんな思い出がありますか? 僕は小さいころ、お盆に町内で開催される「地蔵盆」に参加していた想いであります。 知ってます?地蔵盆。知らない人もたまにいるんですよね。 調べたら近畿地方や北陸なんかの一部の地域の風習みたいですね。 基本的にはお地蔵様にお供え物したり読経したりってのがメインなんですけど、うちの近所の場合は町内会の行事だったので小さなお祭り感覚が強かった印象です。 大きなテントを張って、お昼は輪投げやらヨーヨー釣りをやらせてくれて、お菓子が配られたり

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        #八木図書館 開館(まずは始めに)

          向こう側

           気がつくと千枝は、姉の佐代子に手を引かれながらまだ舗装されていないじゃり道を歩いていた。  空はすっかり夕焼けに染まり、太陽が山々の向こうにゆっくりと落ちていく。その反対側の空は一足早く夜の準備がはじまっていて、白い月と藍色の空が少しずつ夕焼け空をおしやっている。 「ほら千枝、急いで」  姉の佐代子が声をかける。佐代子は千枝の6つ年上で、中学生である。面倒見がよく、両親が仕事で家を空けがちだったこともあり、千枝の面倒は昔から佐代子が見ていた。 「早くしないと、日が暮れ

          雨はまだ降らない あとがき

          この作品は2020年にTwitter上で公開していた「雨音をさがして」という連続ツイートドラマの前日譚的なものです。 本編はモーメントにしておりますので、興味ある方は読んでみてください。 そもそも元になっている「雨音をさがして」は、フォロワー参加型のストーリーで、毎週末分岐を投票で決めるマルチエンディングシステムにしてました。 私と同世代か上の世代の方はわかると思うのですが、「ゲームブック」を参考にしています。あとはサウンドノベルゲームですね。 エンディングはファンタジー

          雨はまだ降らない あとがき

          雨はまだ降らない

           教室の窓から見える空は、薄く雲が覆う曇り空だった。  自分の希望と友達のみうの勧めで高校に進学したものの、生まれつき欠陥だらけの私の身体はすぐに体調を崩していた。他の人に助けを求めたり、保健室に行ったりはしたくなかった。どうしようもない自分の事を同情されるのはまっぴらだった。だから身体が辛い時は、それをごまかすために窓から空を眺めていた。  季節は春、まだやわらかな暖かさを残しつつも、少しずつ夏の湿気が感じられる日々。天気予報では近日中に梅雨入りだろう、と一際残念そうにキャ

          雨はまだ降らない

          親ガチャ あとがき

          8月一本目のSS ホラーは苦手な方もいると思って避けようとしたのですが、やはりホラーチックな内容になってしまいました…ごめんなさい…。 設定は怖いのですが、内容的にはホラー要素は少ないと思うのでもし良ければ苦手な方も触りだけでも読んでいただけると嬉しいです。 この作品は、今回の企画を考えながら散歩していた時に「親ガチャ何回も引けたらどうなるんだ?」→「ガチャ引いた後、いらなくなった親はどうなるんだ?」→「それが当たり前の世界って怖くない?」という感じで作り出しました。 雰囲

          親ガチャ あとがき

          親ガチャ(超短編 微ホラー)

           ママと喧嘩した。  理由はほんとに些細な事、最近夜更かしして友達と電話してたのを怒られた。別に迷惑かけてないのに、うざい。 昨日も帰ってきたら「最近帰りが遅い」とか文句言われてすごいムカついた。  パパは私が怒られてるときはいつも知らん顔。あとから携帯でフォロー入れてくる。ママも言い過ぎだよな、パパからママに言っておくから———どうせ実際には何にも言ってくれないくせに。パパはママが怖いから、ママに言い返すなんてできない。ヘタレで鬱陶しい。 「ちょっと!話聞いてるの!?」

          親ガチャ(超短編 微ホラー)

          じゃぐち(短編)※微グロ表現あり

           マンションの隣に住むユリコから声をかけられたのは、午後五時を少しまわったくらいだった。買い物を終えたマサミがカギを探していると、ふいに「マサミさん」と声をかけられたのだ。驚いて振り向くと、ユリコが隣の扉の前にぽつんと一人立っていたのだ。 「こんばんは、ユリコさん。そちらもお買い物?」 「いいえ、買い物はもう終わりました。実はマサミさんに少しお願いしたい事があって…」 「お願い?」 「ええ。立ち話もなんですし、もし良ければ家で少しお茶でもしませんか?」  ユリコはそ

          じゃぐち(短編)※微グロ表現あり

          ある探偵の楽しみ(ワンシチュ台本)

          ワンシチュエーションの台本です。 こちらの台本はどなたでもご自由に使って頂けます。 なお、お使いになる際は下記をお願い致します。 ①こちらの台本を使う旨をコメントなどで良いので教えてください ②もし動画形式で使われる場合は「八木タケル」の名前と、こちらのノートのURLの掲載にご協力をお願い致します https://note.com/alice5634 脚本 ある探偵の楽しみ 必要人数:お一人様用 所要時間:約2分

          ある探偵の楽しみ(ワンシチュ台本)

          四辻で呼ぶもの(短編)

           兄の栄太と弟の慎也は、手をつないで暗い道を祖父の家に向かって歩いていた。道は舗装されておらず、ところどころでこぼこしていて歩きにくかった。  左を見るとすぐに山の急斜面と深い林があった。細く曲がりくねった木が幾重にも重なり、目を凝らしても木立の陰で奥はまったく見る事ができなかった。右を見れば緩やかな下り坂があり、その先で水の流れる音がかすかに聞こえている。昼間に見ればこの坂の下にはとても綺麗な川が流れており、そこでたくさんの子供が泳いだり、魚釣りをしたりしている。しかし月明

          四辻で呼ぶもの(短編)

          あの部屋の景色 #6(短編連載:最終話)

          #5はこちらです。 ※この物語はフィクションであり、実在の人物、場所、出来事とは一切関係ありません。 どうぞ創作物としてお楽しみください。 「じゃあ、そろそろいきますね」  麻衣子は名残惜しそうに妹尾の手を離し、椅子から立ち上がった。丸椅子を元の場所に戻すと、もう一度妹尾に向き直り、深々と頭を下げた。 「妹尾さん、今まで本当にお世話になりました」 「こちらこそ、まいちゃん先生には世話になりっぱなしだったな。ありがとう」  妹尾も少し居住まいを正し、深く頭を下げた。 お互

          あの部屋の景色 #6(短編連載:最終話)

          あの部屋の景色 #5(短編連載)

          #4はこちらです。 ※この物語はフィクションであり、実際の人物、場所、出来事とは一切関係ありません。 どうぞ創作物としてお楽しみください。  その日から、麻衣子は異動に向けて準備を始めた。通常の仕事に加えての準備だったので大変だったが、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。むしろ、忙しい事を前向きにとらえられるようになり、慌ただしい中にも充実した日々が続いた。  麻衣子はどんなに忙しくても、患者と触れ合う事をやめなかった。忙しい時ほど親身になって彼らの言葉に耳を傾けるよう

          あの部屋の景色 #5(短編連載)

          あの部屋の景色 #4(短編連載)

          #3はこちらです。 ※この物語はフィクションであり、実際の人物、場所、出来事とは一切関係ありません。 どうぞ創作物としてお楽しみください。 「おお、まいちゃん先生、久しぶりだな」  麻衣子は吸い込まれるように妹尾の近くに行き、ベッド脇にあるパイプ椅子に力なく腰かけた。そして黙ったまま何も言えず俯いてしまった。妹尾はそんな麻衣子に声をかける事もなく、ただ静かに麻衣子の傍らに座っていた。 「私…——」やがて、麻衣子がおずおずと喋り出した。妹尾は麻衣子のほうを見ないまま、黙っ

          あの部屋の景色 #4(短編連載)

          あの部屋の景色 #3(短編連載)

          #2はこちらです。 ※この物語はフィクションであり、実在の場所、人物、出来事などは一切関係ありません。 ぜひ創作物としてお楽しみください。  それから毎日、定期回診の一番最後に妹尾の病室へ行き、そこでチェックをしながら立ち話をする事が麻衣子の日課になった。 妹尾の部屋はいつ行っても西日のセピアに彩られ、そこではすべての時間が止まっているように感じられた。妹尾は麻衣子の問いに答えながら、時折自分の話をするようになった。妹尾には娘が居り、良く見舞いにきては色々と世話をしてく

          あの部屋の景色 #3(短編連載)