見出し画像

向こう側 あとがき

お盆と言えば皆さんどんな思い出がありますか?
僕は小さいころ、お盆に町内で開催される「地蔵盆」に参加していた想いであります。
知ってます?地蔵盆。知らない人もたまにいるんですよね。
調べたら近畿地方や北陸なんかの一部の地域の風習みたいですね。
基本的にはお地蔵様にお供え物したり読経したりってのがメインなんですけど、うちの近所の場合は町内会の行事だったので小さなお祭り感覚が強かった印象です。
大きなテントを張って、お昼は輪投げやらヨーヨー釣りをやらせてくれて、お菓子が配られたりして。
夜はカラオケ大会やら映画鑑賞があったりで、内容盛りだくさんだった記憶があります。
大人になった今思えば「準備大変だっただろうな……」と遠い目になります。歳をとったものです。

今回の「向こう側」は、最初からお盆に出そうと思っていた作品です。
着想は「写真」です。
僕は物語を考える時は、散歩をしながら色々と想像していくのですが、たまに写真を見て「これをテーマで書きたい」という時があります。今回のはまさにそれですね。
小さな踏切と「向こう側優先」という文字、一見なんの変哲もない写真でも、物語を付け加える事でその意味が大きく変わって見えてきます。
今回で言う「向こう側」は、「彼岸に帰る者」が優先という意味になります。線路はあちらとこちらの境界線、踏切から「こちら側」は死後の世界で「向こう側」は現世の世界として描いています。

今回「向こう側」をどちらにしようかは、書きながら迷っていました。
佐代子は千枝を「向こう側」へ連れて行くのか、それとも帰すのか…どちらの方がいいかなー、と思いながら書いてました。
途中までは「佐代子は千枝を連れて行く死神にしたほうが面白いか」と思っていたのですが、なんとなく書いていくうちに「佐代子は千枝をお家に帰してあげたがってる」ように感じて、死後の世界に迷い込んでしまった千枝をお姉ちゃんが帰してあげる、なんとも切ない物語になりました。
わりとこういう不思議で切ない話は大好きなので、超短いストーリーではありますが、結構気に入っています。

また、今回は「何か」の足音に少しこだわりを出しました。
砂利道を歩く時の音って「じゃりじゃり」とか「ずるずる」とかが想像しやすいとは思ったんですけど、素足で砂利道を歩いた時の音を想像したら「じゃく…じゃく…」だなって思って、その「じゃく…」って響きがなんとも不気味だな、良いなって思ってこの表現にしました。
僕はこういうオノマトペが好きなんですよね。僕の作品を読んでいただいた方はわかるかもですが、よく使います。
音の感じ方って、人それぞれだったりもするし、その時の精神状態でもかなり変わるので、それを表現出来たらいいなぁ、と思ってはいます。
うまくいってたら嬉しいな。

次回はまだ未定ですが、何もなければストックしてた作品を投稿しようと思います。
ちょっとメンタルやられてた時に書いたやつなので、少し過激?な内容ですが、僕の言葉がわりとダイレクトに籠っている文章です。
ホラーではないのでご安心を…。
ではまた次の作品でお会いしましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?