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雨はまだ降らない あとがき

この作品は2020年にTwitter上で公開していた「雨音をさがして」という連続ツイートドラマの前日譚的なものです。

本編はモーメントにしておりますので、興味ある方は読んでみてください。


そもそも元になっている「雨音をさがして」は、フォロワー参加型のストーリーで、毎週末分岐を投票で決めるマルチエンディングシステムにしてました。
私と同世代か上の世代の方はわかると思うのですが、「ゲームブック」を参考にしています。あとはサウンドノベルゲームですね。
エンディングはファンタジールート、青春ルート、サスペンスルート、ホラールート、そして隠しルート一つの全5つ。
さらに隠しルート以外は全て、最後の選択肢でエンディングをグッドエンド、トゥルーエンドをそれぞれ用意していたので、実質9パターンのエンディングが存在していました。
今思うとそんなに風呂敷ひろげて、ちゃんとまとめ切れていたのかは謎です。
投票の結果は一番王道の「青春ルート」、その中のトゥルーエンドにたどり着きました。
登場人物たちが一番幸せなまま終われるルートはこれだけの予定だったので、導かれるようにこのルートに入ったことに少し感動を覚えた記憶があります。
別ルートだとアメコがもう死んでいたりとか、雪洋がもみじに監禁されたりとか、異世界に転生したりとか、わりと波乱万丈な設定にしてたので登場人物全員が幸せになれて良かったな、と思っています。


前置き長くなりましたが、そんなエンディングを迎えた物語のエピソード0となります。
ずっと書きたいな、と思っていたので今回挑戦してみました。
ただなんせ登場人物が多いので、読みやすいサイズに収めるのに苦労しました。
短い中に全員の特徴を織り込まなきゃいけなくて、そうするとどんどん文字数が伸びていく……。
なので最後は少し強引な終わり方になってしまったのが、少し心残りです。
いつか加筆修正して、ちゃんと満足いく仕上がりにしたい。

私は書いている時、キャラクターが喋りはじめると流れに身を任せて書く事が多いのですが
今回、本編主人公の北見雪洋くんがびっくりするくらい喋らなくて、少し苦戦しました。
みうや春人がおしゃべりなのと、今作主人公の雨子さん事雨宮美奈子がわざわざ人と関わらない性格なのが相まって、誰も北見に触れないまま物語が進行していく、という事態になりかけました。
結果、私がそんな北見に必死で「ほら、喋れよ!」とちょっかいをかけ、ようやく喋り出した、みたいな気分です。
あと栗原さんはもっと前に出てでしゃばってほしい…ルートによっては主役級の動きをしている人なのに、この物語では本人の性格通り引っ込み思案な印象でした。

こういうキャラクターちっくなものを書く時、私は声に出しながらセリフを考えます。それは台本を書いてる時もそう。
なるべく会話のリズムを大事にしながら書いています。
キャラクターが定まってくると、だんだんキャラは私の口を借りて好き勝手に喋り出す瞬間があります。
私も想像していなかった方向に物語を進めていくのです。
自分でない誰かに脳と口をジャックされている感覚、私はそんな瞬間が大好きです。多分自分が役者だからでしょうね。
他の誰かに成る、というのは私の芝居の大基の一つです。物語を書くのも、ここではないどこかの、自分ではない誰かに成りたいという願望の表れなのかもしれません。

今回「雨はまだ降らない」を書くにあたって、改めて「雨音をさがして」のプロットやフローチャート、キャラクター設定を読み返してみました。
これだけ色々考えてたなら、そりゃ思い入れもあるよな、と再認識。
自分の作品をちゃんと大事にできているのは、自分にとってとてもプラスな事なので、なんだか過去の自分を少し誇らしく思えました。
ここまで熱意をもって、これからも書いていきたいな、と思う今日この頃。
とは言え、さらっと書いたものもそれはそれで面白いし発見もたくさんだから良き良き。
色んなスタンスでまったり書いていきたいと思います。
次書くのはお盆近いので、ちょっと綺麗で少し怖い話にしようと思っています。
彼方と此方が近くなる時期なので、そういう話はうってつけですね。
また次の物語でお会いしましょう。
おやすみなさいませ。

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