【怖い話】似顔絵(ショートショート)
良枝は窓の外から聞こえる騒音で目を覚ました。時計を一瞥し、まだ早い時間であることを確認すると、ベッドから起き上がり、そのまま部屋の隅に置かれた机に向かった。
机には開いたままのノートパソコンと使いかけのオイルパステルが散らばっている。早く起きたのは納期の迫った仕事があったからだ。ふぅと深呼吸をし、集中するために髪をひとつにまとめた。
良枝は幼い頃から絵を描くことが得意で、親の反対を押し切って東京の美術大学に進学した。卒業後はプロのイラストレーターとして独立する夢があったが