字の田中

読み始めたからにゃ、最後まで付き合ってもらうよ

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最近の記事

ミドルフィンガー

21時のターミナル駅。 縦横無尽に人々が帰路につく時間帯。 ちらほらと浴衣姿の男女も目につく。 人の流れに紛れ私は改札を目指していた。 20m先から人の流れに逆行してくる男の人がいた。 20代前半くらいで、180cmくらいのスーツを着た男だった。 耳にはイヤホンをつけ、スマホを横にして歩いてくる。 このまま行くと、必ずぶつかる。 そう思いながら、私はまっすぐ進んでいた。 どうやら向こうに避ける気はない。 「あなたたちが勝手に左側通行やってるんでしょ?」と言わんばかりの太々し

    • 無理強い

      電車の座席に座って、本を読もうとした。 いつも通り、イヤホンを耳につけて音楽配信アプリを開く。 曲を流そうとした時、ふと横の若い男女の会話が耳に入った。 「この前〇〇ちゃんに会ったんだけど、その子韓国めちゃ好きで」 「最近韓国って人気だよね」 再生ボタンを押さずに会話を聞いた。 「そうそう、その子、韓国語読めるし喋れるし、聞けるし書けるぐらいペラペラでさ」 「めっちゃすごいじゃん、日本人だよね?」 「そうなんだけど、留学してたわけじゃなくて、韓国ドラマ観まくってたら、気づいた

      • 被害妄想

        私は4人きょうだいで、きょうだいとあえて平仮名にしたのは、上から兄、私、妹、妹という構成だからだ。 私は次男の立ち位置だが、上に兄がいて、下に妹2人がいることによる苦悩をお伝えしたい。 前置きすると、私は何不自由なく育てていただいたし、親には感謝しかない。 しかし、あることに気がついた時、井の中の蛙なのではないかと不安が頭から離れなくなった。 まず、兄は両親にとって一番最初の子どもである。 その誕生はさぞ嬉しかったと思う。 子どもが生まれるのは、奇跡的なことだと思っている

        • 相乗効果

          何かをしている時に、たまたま別の何かもそれに近い現象になったり、後押ししたりして、小さい火が気づいたら炎になるみたいなことがある。 電車で本を読んでいた。 読んでいたのは、重松清の「きみの友だち」。 (いつも頼んでいたのはチキンライス、みたいだなと読み返して思った) 端的に言うと泣ける。 「みんな」とつるむべきか、1人の「友達」と思い出を作るべきか。 友達の意味とか意義を考える内容で、小中学生のあの不穏な生活を思い出して、とにかく心に来る話だ。 残り20ページ程となり、物

        ミドルフィンガー

          いみふ

          己の経験則では到底理解できない、意味不明なことする人っている。 もしかしたら、私も誰かにとってのいみふかもしれないけど、それは一旦棚の上。 スーパーでバイトをしているのだが、土曜の晴れた午前はものすごく混む。 ひっきりなしにお客さんがやってくる。 しかも、土曜日は搬入があるので、品出しの品がとてつもない量やってくる。 スーパーなんてものは、ヒトで成り立っているものなので、とにかくその時のマンパワーに左右される。 単純に、労働力が大きければ、仕事の負担も分散されて、皆楽に仕事

          屁について

          この世には2種類の屁しかない。 めちゃくちゃ臭いか、臭くないか。 自分の屁は臭かろうが、臭くなかろうが可愛い。 しかしながら、他人の屁は臭い場合、突如として姿を現すガス兵器であるため、可愛くない。 果たして、どう対処していくべきなのか。 めちゃくちゃ臭い屁が出るときは、病気でない限り大抵、うんこ前である。  あれは、「もうあっし、走り出してまっせ」と教えてくれている。 つまり、めちゃくちゃ臭い屁は、「うんこのイントロ」である。 名曲「うんこ」のイントロが、あのめちゃくちゃ臭

          屁について

          R-16

          そろそろ、マスターベーションの話をしよう。 昨年の夏にオナホールという、日本が江戸切子の次に世界に誇れる伝統工芸を購入した。 男なら誰でも一度はあると思うが、私も高校生の時に一度自作したことがある。 「片栗粉X」という片栗粉から自分でレンチンで作れるオナホだ。 結果は使ってみると、ボロボロと崩れ、跡形もなく消え去った。 潤滑油も片栗粉で作るので、自分があたかもカニ玉やあんかけ料理になった気分が体験できる。 それから十余年、やっとお金を払って、既製品を買うぐらいには慎ましく生

          宣戦布告

          小さい子どもの成長を見るのが好きで、よくSNSに上がってる子どもの動画を見ている。 先日も、SNSに人工知能と会話する幼児の動画が出てきたので、心を躍らせながら視聴した。 恥ずかしながら、私はその時知ったのだが、どうやらアレクサに命令を下すことで、番組を視聴したり、別の機器を操作できるようだ。 その幼児も手慣れた様子で、アレクサに命令し色々なものを操作していた。 私は怖くなった。 この先、人工知能が身近にあるのが当たり前の子どもたちが大人になり、人工知能のように、質問に的確な

          リバーシブル

          満員電車で扉の近くのセーフティゾーンに立って、スマホをいじっている男がいた。 乗り降りの時にいじるのをやめず、「すいやせん、あっしみたいなもんがこのゾーン確保して」の顔もしていない。 乗る時、その人が前に抱えていたリュックに当たってしまった。 ガンを飛ばされる。 軽く会釈して、「すいません」と言うが、心の中ではガンを飛ばし返す。 それでも人には人の事情があり、何か急を要する連絡かもしれないので、「そんなことでムカつくな」と己を律する。 中程まで進む時に、そいつのスマホの画面が

          リバーシブル

          車旅

          前の職場の探偵仲間でほったらかし温泉に行った。 メンバーは私含め4人。 前いた会社で、全員不遇な扱いを受けたことにより仲良くなった。 それでもお互いがお互いを少し馬鹿にしているので、マウントの取り合いになる。 ただ全員、馬鹿にされてもヘラヘラしているので、なぜか心地がいいそんな人たち。 1人は、前日まで30時間ぶっ通しの現場に入ってて、いきなり1時間半の大寝坊をかました。 「遅れてすいません、きんにくバスターだけは勘弁してください」ってずっと言ってた。 そういうノリがあるの

          駄洒落

          ダジャレが好き。 思いついたら声に出さずにはいられない。 肌感男子は笑ってくれるが、女子は眉間に皺を寄せてる時が多い。 オヤジギャグはあるのに、オバサマギャグってない。 学生時代にこれ気づいてたら、卒論これで書いてた。 1人でいる時に思いついた、三途の川に放置されたままの洒落たち。 「アシタカ、明日からやるって」 あの行動力の鬼、アシタカにあるまじき。 呪い貰ってんだから、一日一日がとっても大事なのでは。 それ言ってるお前は誰なの? アシタカのツレみたいなやつ。 その報告を

          小言

          宮島・厳島神社に行った。 潮が引くと海の中にある大鳥居の近くまで歩いていくことができた。 しかし、鳥居の真ん中から陸にかけて小川ができており、皆小川を避けて斜めの角度から記念撮影をしていた。 私は旅行でハイになっていたのか、靴濡れ<正面ショットになってしまい、なるべく濡れないルートを見つけ、小川に入り正面鳥居と記念撮影した。 それを見ていたハイエナ観光客が、私が苦労して見つけ出したシルクロードを渡ってご機嫌に写真を撮っていた。 「早急潮満ちれ」と心の中で願ってしまった私は、来

          絶体絶命

          私の母は、私が子どもの頃、手芸やミシンにハマっていて私の衣服を作ってくれた。 兄のお下がりか母の手作り服を着ていたので、8才にして古着とオーダーメイドを着こなしていた。 母の作る服はそれまでは、トップスのみだったのだが、ついにズボンを作れるまでになった。 生地は覚えてないが、腰回りにゴムが入っていて、小学3年生の私には、履きやすくてありがたかった。 ただそれが、悲劇を呼ぶ。 履きやすいと言うこともあり、そのズボンをかなり愛用していた。 その日もそれを履いて学校に行った。 昼

          観想

          動画配信サブスクがなかったら、日々何してるんでしょう。 昔に比べ医療技術の発達によって人の寿命延びたけど、動画配信サブスクなかったらもう15、6年は延びてたと思う。 さ、今日も座椅子から一歩も動かないわよ。 映画ジョンウィックを観た。 マトリックスを経由せずに、初めてキアヌ・リーブスの出てる映画を観た。 めっちゃかっこいい。 プライベートで来日して写真撮られてるイメージしかなかった。 ベンチで草臥れてるおじさんのイメージだったので、覆された。 愛犬と愛車を盗られて、殺意芽生

          元は、人間の行動なんてほとんど一緒だった。 規範というでっかい幹があったのに、数人の変態が独自のヘキを突然作り出し、多岐に枝分かれして行った。 私もそんな、突然変異の変態の末裔という結論に至った。つい先程。 家で1人の時、口に痰を含んでなるべく長く過ごすという癖がある。 2時間の映画を見たり、仕事をしたりする。基本的には不快感を感じている。 ずっと、口の中に痰がある状態は気持ち悪いと思ってる。 でも、不快感が気持ちいいになる瞬間が訪れるのではないかというところが良い。 私は

          不可抗力

          人を好きになった。 同じ大学の同じ学科の一個上の先輩。 1年生の時に、全員が取らなければいけない科目の授業にその先輩はいた。 本来、1年生のうちに取り終えなければならない単位なのに、その先輩はいた。 1年生の時に取り損ねたから、再履修しているというのを風の噂で聞いた。 その先輩は、太陽のような人で、いつも周りには同じように太陽を飼っている人たちで溢れていた。 風の噂で、ダンスサークルに入っているというのも聞いた。 風の噂、いつもありがとう。 ある授業の日、グループワークで

          不可抗力