小言

宮島・厳島神社に行った。
潮が引くと海の中にある大鳥居の近くまで歩いていくことができた。
しかし、鳥居の真ん中から陸にかけて小川ができており、皆小川を避けて斜めの角度から記念撮影をしていた。
私は旅行でハイになっていたのか、靴濡れ<正面ショットになってしまい、なるべく濡れないルートを見つけ、小川に入り正面鳥居と記念撮影した。
それを見ていたハイエナ観光客が、私が苦労して見つけ出したシルクロードを渡ってご機嫌に写真を撮っていた。
「早急潮満ちれ」と心の中で願ってしまった私は、来世きっと藻や何かだろう。
店に自分が入った途端に、お客さんが押し寄せるのをパイオニア状態と呼んでいるのだが、まさか世界遺産でなれるなんて。
特許を申請する人の気持ちを知る。


奄美大島料理屋に行った。
そこは店の中に簡易ステージがあり、週末には沖縄出身の歌手がライブをやってくれる。
店に入る時に、皆一律チケット代として1500円をとられる。
純粋に料理を楽しみたい私にとっては、要らぬ出費だったが、面白そうではあったので席に着いた。
その日は、西表島出身の男性歌手とその友達のギタリストが登場した。
歌手の方は、昔私がバイトしていたファミレスにいた従業員、栗原さんに激似だった。
栗原さんが鉢巻をして三線を弾いていると錯覚できたので、1500円余裕でペイできた。
ギタリストは、食べ過ぎの浅野忠信みたいでさらに
期待が高まった。
しかし、ステージが始まると、栗原さんが開口一番、「わりいけどみんなが知ってるような曲はあんまりやんないから」と謎の尖りを見せた。
1曲目は流石に、「島唄」を歌ってくれて会場はこれでもかというほど盛り上がった。
ただクセが凄く、もうほぼアクだったため私は今ひとつ乗れなかった。
しかしその後、うちなーんちゅ以外馴染みのない民謡二曲。
そして、栗原さんのオリジナル曲を披露してくれたのだが、「島人ぬ宝」の二番煎じだった。
皆ここぞとばかりに飯を食らい、酒を流し込んでいた。
つまんないやつが喋り出した途端、スマホ確認しちゃうあれだ。
最後に、ちゃんと一番搾りの「島人ぬ宝」をやってくれて、さっきまでポテサラをいじくってた多くの観客が、歌いながら店の中をぐるぐる盆踊りの要領で踊り歩いていた。
文字通りの狂喜乱舞。
結局皆聞きたいのは有名な知ってる曲で、知らないやつの新作やオリジナルはたとえ良くてもウケが悪い。
私は、どこか他人事じゃないなと、皆が狂うのをポテサラをいじくりながら眺めることしかできなかった。

映画「MEG ザ・モンスター」を観た。
海底調査してたらでっけえサメが出てきて、さてどうするの物語。
シンプルで面白いのだが、ヒロインの正義感溢るるというか、正論言いみたいなのが、正論アレルギーの私にとってはむず痒かった。
やめろと言われているのに勝手に仲間を助けに行ったり、仲間を食い殺したサメを放っておくのは危険だから始末しようと話し合ってると、「殺さない道はないの?」と言ったり。
一緒に観た人が、「フェミが作った映画」と腐していて、今後表で売れたいから、静かに目を閉じて「そういう意見もあるね」と頷いた。

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