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【短歌】流転に向かって飛ぶ

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きっと言葉はどこにでも転がっているはず
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#感傷リップループ

短歌まとめ

短歌まとめ

001-100
101‐200

大増量短歌

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短歌 061-065

右を見て左を向いてもう一度右を見る隙あなたの顔を

幼子の魔法の日々は泡になり魔法のように弾けて消えた

罰ゲームみたいな日々を耐え抜いてエンドロールは、だけど要らない

ゼンマイの鈍い音だけ軋んでた心動かず足だけは前

「大好き」とうそぶく声がザラついて微熱のような恋をしていた

短歌 056-060

灰色の朝を吸い込む冬の街エンドロールの夜と連れ立つ

スポイドに涙を溜めて退屈に一滴差したら騒がしき日々

覚めてれば明日以外に繋がると夢を見ていた昨日の私

振袖の裾から落ちる思い出にさよならをして未だ見ぬ私

街灯が「ほら生きろよ」と捲し立て目を塞いでも光は透けた

短歌 051-055

冷めた夜覚めれば朝だ白銀の佇む庭で命を吐いた
鐘の音が胸を打つたび君のこと一つ忘れて一つ失くした
虹彩が燻る前に目を閉じた綺麗なものは腐らせるだけ
今だけは「秘すれば花」と言い聞かせ彗星の降る夜を恨んだ
息を吸う再度吐き出す合言葉/肺で溺れた自殺願望

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短歌 046-050

酸性の雨が染み込む鉄の街/想いは溶けて融けて流れた
今はまだ橙の中/やがて来る夜の帳を願って逃げる
不確かな心に潜むズレだけを愛せたのなら許せたのなら
目を閉じて出来損ないの夜を生む/月のフォントを崩して見てた
「永遠」の真似事をする子供らの影を疎んだ砂上の私

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短歌 041-045

あなたとの隙間へできた距離感に手持ち花火で白線を引く
「久しぶり」『お掛けになった番号はーー』「あのとき私、」『ーー確認の上』
夢跡の喰い潰された残骸が宙(そら)を象る星にも見えて
追うとまた避けられるのに「それでも」と絶えず求める自動人形
苦しくて吐いた言葉が泡になり海月のようにゆらゆら揺れた

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短歌 036-040

つま先で愛を伝えるバレリーナ辻褄合わせみたいなおしゃれ
顔のせい認められずに鏡拭く辻褄合わせみたいなおしゃれ
やがて来る哀しい夜に目を閉じて枯れる花火を過去から見てた
「危ない」と自分で引いた白線の内まで下がる/壁はないのに
からからと転がる缶に重なった私の影を掬っては捨てた

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短歌 031-035

砂浜の「好き」が波間にさらわれる海の向こうの君まで届け
ふるふると星降る夜にぶるぶると繋ぐ右手が星座に見えて
号令の「右向け右」で左向く間違うフリであなたの顔を
百年に一人の君とうそぶいて作業のような恋をした
朝のない国で生まれて過ごせたら知らずに済んだ別れの夜明け

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短歌 026‐030

思い出を照らす光が乱反射/別れのようなプリズムの午後
夢沿いのサナトリウムで星を見る/サナトリウムで。サナトリウムで、
水槽を嘘で満たせば苦しくて吐いた気泡が何処へも行けず
朝方のひとつ飛ばしの座席には見えぬ「嫌い」が佇んでいて
不規則に並ぶ雨音聴きながら布団で眠る7分手前

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短歌 021‐025

ドーナツの輪から覗いた彼のこと甘い匂いがなぜか苦くて
「得意なの」占うからと手を握るあなたにふれるための口実
今だけは大人だからと都合よく子どもと大人を行ったり来たり
明けましておめでとうなど呟いて過ぎた昨日に目隠しをした
窓越しに反射する君うつむいて汚れたレンズ透明度0

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短歌 016‐020

みおつくしあなたの元へ行かぬようアクアリウムで微睡む人魚
未送信メールばかりが溜まってく指先一つ押すだけなのに
起きてても眠っていても朝は来て不安だらけの夜を隠した
街灯の明かりに縋る夜の道 月の光はなぜか不安で
アナログの時計の針を巻き戻す「過去に行けたら」なんて笑って

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短歌 011-015

こんぺいとう照らして虹を手に入れる口に含めば失う苦さ、

ダ・カーポを指でなぞってふりだしへ/たった二文字が言えないでいる

指折りでお別れの日を確かめる/閉じた手はなぜか開けず

赤い糸だらけの街で絡まってこの苦しさが愛なのですね

べっぴんさん一人飛ばしてべっぴんさん飛ばされたのが醜い私

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短歌 006-010

白い膜、掬って食べた部屋の隅 無味無臭の日々にも似てて

誰を見た鈍いレンズと煙る草フィルター越しに映した光

透明度0のラムネを飲み干した不安が肺を弾いて泳ぐ

紙の上、水彩絵の具の魚たち群れて滲んだセルリアンブルー

僕の声、君の途中で言い淀む大事なところでステレオノイズ
#創作 #短歌 #自由律短歌 #感傷リップループ

短歌 001-005

嘘つきの言葉の澱で眠る魚開けた口から泳げずにいる

月光を辿って僕ら彷徨った街灯の白は何故か不安で

蜃気楼渡り鳥の見る夢よ青い地平は未だ遠くに

店先に並ぶ綺麗な髪留めよ寝床に伏した君に似合わぬ

眠る街、夜風を羽織り星を見た君の形に空気を撫でる