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140字小説3編「女優・名前・塩の瓶」

女優

水野真紀、水野美紀、坂井真紀、酒井美紀のドラマを作りたい。テレ朝木曜9時の層。セレブの奥様(水野真紀)が貧乏になり働きに出、他3人と絡みながら成長する、内館牧子風味の内容。20年前から持ち掛けているが企画が通らない。時は過ぎ…願い叶って20年後、老人ホームに舞台を移し採用された。


名前

私の名前は定子。あの貞子と同じという事で苛められた。そこで読み方を「ていこ」に変えたが6年になり歴史を学ぶと藤原定子と同じと言われやっぱり苛められた。教科書の平安しもぶくれ顔そっくりだからだ。そこで帝子に変えるとみるみる筋力がつき、苛めっ子共を強烈なパンチで滅多打ちにしてやった。

※帝子という名前の女性が知り合いにいました。確かに強そうでした。


塩の瓶

私の仕事は塩の調合。天然色素で染めた塩を瓶に詰めてゆく。外から見てパンダやこけしになるように。素敵でしょ。ある日老夫婦から幼女の写真を預かった。人の似顔絵は難しい、まして白黒の写真だ。何とか期限に間に合った。恐る恐る差し出すとにこやかな笑顔。写真と交互に眺めながら娘も喜ぶわ、と。

※ベリーオーチャド下北さんのベリーソルト&シュガーを題材にさせて頂きました。