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連載「カナルタ コトハジメ」#8 「森を守りたい」と動画の中で訴える先住民に、共感できなかった理由を考える

*2021年10月2日(土)より全国のミニシアターで劇場公開されるドキュメンタリー映画『カナルタ 螺旋状の夢』。僕自身がひとりでアマゾン熱帯雨林に飛び込み、かつて「首狩り族」として恐れられていたシュアール族と呼ばれる人々の村に1年間住み込んで撮った映画です。この連載では、『カナルタ』をより深く味わってもらえるように、自分の言葉でこの映画にまつわる様々なエピソードや製作の裏側にあるアイデアなどを綴っていきます*

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前回記事:https://note.com/akimiota/n/n1af7f92f6490

『カナルタ 螺旋状の夢』の話をするときに人からよく聞かれるのは、「なぜアマゾンに行こうと思ったのか」ということだ。「アマゾンに行って先住民と出会う」という決断を下した理由はたくさんある。それは何年もかけて、少しずつ僕の中に生まれてきた、自分ではいかんともしがたい欲だった。その欲は、はじめは自分ですら気づかないレベルで潜伏を続けた。少しずつ、少しずつ、それは僕の日常動作に影響を与え、僕の目が向く方向をずらし、いくつかの根拠とともに、やがてはっきりと僕の意識の中に確信として浮かび上がってくることになる。けれど、その話をする前に今改めて考えてみたいのは、逆にそれまでなぜ自分は「先住民」と呼ばれる彼らに興味を持てなかったのか、ということだ。

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