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パンを食べるように本を読む

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「読書は、パンを食べるようなものだからね。走るときに備えての栄養なんだ。」ポール・ランド デザインの授業という本にあった言葉を抜粋し、このマガジンのタイトルとしました。気になる章… もっと読む
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自分で自分にレビューをしながらブラッシュアップしていくときのいくつかの問いと回答

目的を言語化せず、必要な仕様を言語化せず、なんとなくデザインソフトを触って時間を貪るそんな週末。 目的も仕様も、趣味でやる分には特に明確化する必要はないと私は考える。しかしながら、明確な目的もないままデザインソフトを触っていたとしても、やっぱり素敵なものがでてきたら嬉しい。 でも現実はそうはいかない。何時間も画面と格闘したところで、経験無きものが無から「なんかいい感じのもの」などできるわけがない。 「今まで軽視してきた自分の感性とは一体なんであったかを考えましょう。感性

比べることで、何が素敵かわかる

「デザインを構想する」という本で、祖父江慎がデザインをする上で重要なのは「うっとりする力」だそう。花だとか、シダの葉の規則性だとか、とにかくなんにでも自分を忘れて対象に感動してみることが大事なのだ。 なんにでもうっとりする...つまりなんでもあるがまま・肯定的・マインドフルに捉えることは、難しい。今画面に写っているフォントの美しさにうっとりするのは、今の自分では難しい。 そこで祖父江慎が提示してくれたヒントは「比較すること」だった。 「具体的にこういうスペックとは言えな

舌打ちとひとり言が多いとき、その体はカチコチかもしれない

トゥレット症候群はチックという一群の神経精神疾患のうち、音声や行動の無意識な運動がとまらない症状のことである。例えば、汚い言葉を発することが止められない、鼻を鳴らしたり、指をたてたり、震えが止まらない、といった症状が挙げられる。 トゥレットであると診断されたわけではないが、私にも独り言をいったり、夜中に汚い言葉を叫んだりする癖がある。仕事や公共の場でそれらを行うことは無いため深い問題として捉えているわけではないものの(自覚してないだけかもしれないが)、それらがどんなときに起

読解力はボキャブラリーを豊かにすることで鍛えられる

新しい仕事をするとき、読んだことのないドキュメントを読まないといけない。 読解力とは、文章の主張を理解する力のことである。「AI VS.教科書が読めない子どもたち」には、日本の小中高校生の読解力が年々低下傾向にあることが書かれていた。 この低下傾向にある「読解力」の定義とは、「ある文章を読んで、かかり言葉と主語を照らし合わせ、その文章の主張を理解する力」である。 読解の力を低くした原因はなんだろうか。実は「貧困との負の相関」以外見つかっておらず、例えばスマートフォン利用

同じ言葉と知識を持たなければ、対等な関係は作れないし、アイデアも生まれない

使う言葉と知識の量が違うのって何が駄目なんだろう、を考えてみた。で、いわゆる言葉遣いだったり知識の立場の非対等性が強まっちゃうと、嫌でも上下関係が発生してしまい、結果としていいアイデアが出づらくなるよね、ということなんじゃないか。 デザイナーなら、デザインスプリントという言葉を耳にしたり、実践したりした人は多いかもしれない。上記に紹介した本は、個々人が持つたくさんの情報を発散し、まとめ、最適解を選択していくものづくりの手法について言及している本だが、実際に中を見てみると思っ

企業イメージはなんで作らないといけないの?

なんでロゴを作るのにこだわらないといけないのか。なんで企業イメージが大事なのか。なんでカラーは統一しないといけないのか。 恥ずかしながら、少し前まではそれらの重要性...は知っていても、「そこまでお金や時間をかけてやるものではないんじゃない」と思っていたのである。そんな温度感がシビアになったのは、とある仕事の話がきっかけだ。 自社にある商品内容をそっくりそのまま他社にパクられてしまい、気づけばパクリ元のほうが本家よりも知名度が上がってしまったと聞かされたのである。 でも

衝撃的な取捨選択 / ロバート・ハインデル ダークネスアンドライト

「絵画はすべて偶然の賜物か、いやそうとも言えない。そこから何を残すべきかを判断し、選び取るのだから」フランシスコ・ベーコン(芸術家 1909 -1992) ロバート・ハインデルの絵を見て驚くのはコンプレックスハーモニー配色で構成される面、ファッションイラストレーションのような斬新な構図、そしてアカデミック絵画としての熟練さが組み合わさっていることだろう。 この図録に手をとるのはもう3度ほどだが、彼が最終的に選び取り、キャンバスに残したものに敬意と感動を表さずにはいられない

ライフスタイル系実用書がくれるキラキラした高揚感が好き

身の回りのうつくしい植物が、自分の不調を癒やしたり、血行を良くしたり、怪我の治りを良くしたりしてくれる。自分のつまらない生活のワンシーンに、実はすごく価値をもったものがある、そんな発見をしたとき、こどもにかえったようなキラキラした高揚感が湧いて出てくる。 小説「西の魔女が死んだ」は、表紙がボロボロに破れてしまうくらいに惚れ込んでいる私のライフスタイルの教科書だ。 洗いたてのシーツをラベンダー畑の上に置いておくと、夜眠るときにラベンダーの香りが鼻腔をやわらかくつつみ、ぐっす

最近読んだデザイン教本3冊から学んだこと

言語化されてないものに頼ると死ぬ「センスでいい感じに」という課題解決ツールは、言語化する手間と引き換えに消費MPが激しく、自分のやるきや愛に左右されるものだ。つまり気の向いたときにしか起動しない課題解決ツールであるということだ。 自分のデザインをレビューするときの筋道となってくれるのがデザイン教本 きくずれ系・こなれ系デザインを作って路頭に迷ったとき、どこから手を付けるべきかわからなくて詰んだということがある。こういうときにセルフレビュー、つまり言語化が必要になる。言語化さ

ラフドローイングのコツ / シャルル・バルグのドローイングコース

19世紀にフランスで出版された画家シャルル・バルグの著したドローイングの入門書。プロのアカデミックドローイングアーティストとなるために必要なドローイングテクニックが記されている。 知りたいこと:ラフドローイングのコツをしりたい 答え:点や線を使って骨格にアタリを付ける前に、私達は弧を描きがちである。重要なのは対象をよく観察することだが、その観察がなされているかどうかは、弧を描く前に垂線をおろし、点をとってアタリをつけているかどうかで判断できるとのことであった。 ドローイ

リズム曲線のない絵の残念さ / 古典に学ぶ人物デッサン

どんなデジタルイラストレーションであっても、うまく・よく描くには、技法をわざわざ自分の体と頭に焼き付ける必要があるのだ。この現実を受け入れながら、私は空き時間を見つけてはせっせと練習を行っている。 自分がペンツールで作ったイラストがなんだか変!に見えるのは、リズム曲線を意識していないからかもしれないIllustratorの話でいうと、何も考えずにペンツールで絵を描いたときに「なにか惜しいストローク」が最初にできてしまう。 ざっくりとペンツールを使って描かれたものは、リズム

コンセプトアーティストのための人体ドローイング📖

ラフドローイングを効率よく上達させるためにできることは「失敗しないこと」 「あなたはデジタルアーティストですか?」 これは、ゲームのキャラクターデザインの仕事をする著者が、知人に実際に問いかけられた言葉だ。 そして質問の意図は案の定、耳が痛くなるようなものだった。 「あなたは乱雑な中から何かが生まれるのを期待して、闇雲に手を動かしているだけなので。」 ゲームキャラクターデザイナーとして活躍する著者が、人体ドローイングのテクニック向上に必要なマインドセットや手段を、実例

MIND HACKS📖 Duolingoを使っているときにしか覚えた単語を思い出せないのは文脈干渉効果?

何かを習得する際、同じことをあまり続けて繰り返し練習すると、「状況込み」で覚えてしまい、状況が変わると思い出せないという弊害が起きる恐れがある。 人はものを覚えるとき、そのものを構成するコンテキスト...何かとともに同時に想起されるさまざまな事柄すべてを覚えようとする。 たとえば、「この単語を覚えたい」と思って暗記アプリに登録し、覚えたにも関わらず、実際に使おうとしたらその覚えた単語が出てこない。 という事象はこの本で言うところの文脈干渉効果によるものなのではないかと推

クリエイティブ・マインドセット📖自尊心を傷つけずに他人からフィードバックをもらえる定型文

アメリカの会社を経営する二人の兄弟が提案する、創造的なチームを作るためのマインドセットとアクションリストがこの本に書かれている。これから紹介するアイデアは、以前参加したUXMilkFestのワークショップでも取り入れられていたものだ。 Q. 自尊心や自己防衛の感情に振り回されることなく、貴重な教訓が潜んでいるかもしれないメッセージに耳を傾けるのは大変。この問題を解決するいいアイデアは? I like / I wish定型文を使って、建設的な批評をもらいやすくする私達は誰で