MIND HACKS📖 Duolingoを使っているときにしか覚えた単語を思い出せないのは文脈干渉効果?
何かを習得する際、同じことをあまり続けて繰り返し練習すると、「状況込み」で覚えてしまい、状況が変わると思い出せないという弊害が起きる恐れがある。
人はものを覚えるとき、そのものを構成するコンテキスト...何かとともに同時に想起されるさまざまな事柄すべてを覚えようとする。
たとえば、「この単語を覚えたい」と思って暗記アプリに登録し、覚えたにも関わらず、実際に使おうとしたらその覚えた単語が出てこない。
という事象はこの本で言うところの文脈干渉効果によるものなのではないかと推測した。
今年はドイツに旅行するために、1ヶ月前から語学学習アプリのDuolingoを使ってドイツ語学習に励んでいた。が、Duolingoでは言えていた挨拶フレーズが現地に赴くと全く出て来ないのである。
一言言っておくと、Duolingoは決してたんなる丸暗記アプリではない。何度も発音したり、リスニングや穴埋めのミニテストなど手を変え品を変えあらゆる感覚器官を使って頭に叩き込んでくれる素晴らしい語学学習アプリなのだ。
どうやら私の頭は、このドイツ語の文字列を、Duolingoの黄緑色の画面やフラットでシンプルなイラストレーションを見ないと記憶として引っ張り出せないように鍵をかけてしまったようだった。
この本は最近読んだ本の中でもなかなか面白かった。前述した私の思考プロセスエラーや他人のソレを丁寧に紐解いて説明してくれる教科書のようだった。
他にも興味深い認知の原則を少しだけ紹介すると、
マガーク効果 ... ba, ga, paの破裂音の区別は聴覚よりも唇の動きが優先される。ガ、という唇の動きを見ながらバ、という発音を聴くと、ダ、と言っているように聞こえるらしい。
聞き手が一度にバッファに蓄える情報は少ないほうが記憶しやすく理解しやすい ...よって、文章は短く、シンプルなものがいい。特に話し言葉は、何度も前に戻って再生を繰り返すことができないので、一度に出す発言はシンプルなものがいい。
命のないものを「生きている」と知覚させる方法(なぜお掃除ロボットはかわいいのか) ... 周囲にあるものと関わる(何かを押す、何かを避けようとして進路を変える)とそれを生きているように知覚される。人間は他者の行為の目的を予測するために、他者の意志を感知することができるように進化しているからとか。
好きなページから読んでも全く問題のない気軽さがあるので、活字が苦手な人にもおすすめしたい本である。
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