見出し画像

最近読んだデザイン教本3冊から学んだこと

言語化されてないものに頼ると死ぬ

「センスでいい感じに」という課題解決ツールは、言語化する手間と引き換えに消費MPが激しく、自分のやるきや愛に左右されるものだ。つまり気の向いたときにしか起動しない課題解決ツールであるということだ。

自分のデザインをレビューするときの筋道となってくれるのがデザイン教本

きくずれ系・こなれ系デザインを作って路頭に迷ったとき、どこから手を付けるべきかわからなくて詰んだということがある。こういうときにセルフレビュー、つまり言語化が必要になる。言語化されたものは、将来の自分自身に対して役に立てるツールにとして機能するはずだ。

そして、デザインを言語化するときに必要なのが、デザインの原則の書かれたデザイン教本だと思う。

なんで原則に立ち返ることが必要なのか

いわゆるUXの原則にあたる、プレグナンツの法則やフォン・レストルフ効果、ヒックの法則にコモン・リージョンへの言及も本の中でなされている。本家サイトでは「つまり具体的にどういうことなんだ」ということも、「いちばん面白いデザインの教科書」の中では実例が挙げられており、大変親切だ。

ルーダー・タイポグラフィというエミール・ルーダーが著した本では、余白がいかに大事かということを切々と説いている。特に「文字に気を使わないせいでダサくなってしまうこと」の表現と事例が豊富で、本の中には名言しか残っていない。

文字も同じで文字と文字の間を広げれば個々の文字が際立つし、狭くなるほど塊だったり一つの面に見えてくる
文字形像の間のスペースは、印刷された領域と交差、拮抗する見えない線の力学が作用する場となるのである。タイポグラファは印刷されていない領域に潜む装飾的な力を把握し、十分に活用しなくてはならない。
線と線の感覚が広くなるほど、線らしくなるし、狭くなるほど、線ではなく面に見えてくる

などなど。余白で苦しんだ人にはわかる滋味のある名言が散りばめられていて思わずすべて引用したくなるほどだ。

どんな本も自分の誤りしか指摘しない。何をやるかは自分で考える。

この本を含める多くの本は「なぜお前の作ったものがダサいか」を教えてくれるのみだ。多くの場合、「どう良くするか」への答えは自分で探さないといけない。そもそもデザインの教本に限ったことではなく、自分の課題解決には、自分の解釈が必要なのだ。

「原則」は実践に役立たないツールだが、道に迷ったときのサバイバルキットともいえるし、センスの大部分を言語化した課題解決ツールだと思う。「グラフィック&Webデザインがみるみるよくなる7つの法則」を読んでそう感じた理由としては、掲載されている作例がどれもパッとしないのだ。実例として出されているものはどれも私にとって魅力を感じないが、言っていることは正しく、言葉遣いも柔らかい。下記は引用ではなく、私のメモとなるが、たとえばこういったことが書かれている。

タイトルと3番目の小見出しから配色をすること。カラーパレットを作るときは、パレットの背面に背景色を敷くと良い。色相よりもトーンに注意を向けること。

課題解決ツールを自分で作る、それには自身のレビューが必要で、レビューには根拠に基づいた事例と原則が大いに役立つ

プロジェクトチーム内で同じ職種の人間が一人もいない場合、自分のデザインレビューは自分で行うしか無い。フロントエンドエンジニアがコマンドラインを使って自身の課題を解決しているように、私の課題解決ツールは私が自身で作っていかなくてはならない。

最近読んだデザイン教本は、言葉のテンポ、実用例、情報の詳細度がたまたま自分の振り返りを行うツールとしてすごくマッチしたものだと思う。これらの本以外にも、自分の課題解決に必要なツールは積極的に吸収していきたい。

まとめ
- 言語化できない手段は課題解決ツールとは言えない
- 原則は「ダサい」と思ったときに「なぜダサいか」の理由解明に役立つ
- 課題解決ツールは自身のレビューによってつくらないといけない



この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?