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自分で自分にレビューをしながらブラッシュアップしていくときのいくつかの問いと回答

目的を言語化せず、必要な仕様を言語化せず、なんとなくデザインソフトを触って時間を貪るそんな週末。

目的も仕様も、趣味でやる分には特に明確化する必要はないと私は考える。しかしながら、明確な目的もないままデザインソフトを触っていたとしても、やっぱり素敵なものがでてきたら嬉しい。

でも現実はそうはいかない。何時間も画面と格闘したところで、経験無きものが無から「なんかいい感じのもの」などできるわけがない。

「今まで軽視してきた自分の感性とは一体なんであったかを考えましょう。感性を解釈するということは理知的な作業です、すなわち、あなたには知識が必要なんです。それは行き詰まったときの切り札になります。」

上記は、デザイナーとして働いて、数年目で感性を失ってしまったと悩む元在学生への問に対する回答である。

最近「なんとなくおしゃれな壁紙を自分で作ってみたくて、なんとなくイラレを開いて触っていたら、とんでもなくダサいものができた」のだが、その事例から学んだことを特に宛先なく共有してみようと思う。

これは業界の知り合いには絶対に見せたくないレベルにダサい壁紙であり、私が起こした事故である。

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まずはダサいものをみたら「ああ、すっごくダサいなー」と口に出し、脳と目と耳にこの非常事態を宣告することからだ。次に、第三者でも共有できる精度にこの非常事態をまとめる必要がある。ダサくないもののスペックを確認する

1.ダサくないものとダサいものを並べて好き放題言語化する

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ダサいことがわかったら、ダサくないものとダサいものの違いはなんですか?例えばなんですか?を言語化することで、TODO化までの道を雑に耕すことができるはずだ。ここで無理やり客観的な意見は述べる必要は無いと思っていて、「自分はこういう要素にこういう印象を感じた」くらいの、感覚的情報の言語化を行う。

このときに、ダサくない参考画像を並べると言語化が捗る。事前に実現したい目的を明確にしていれば、もっと良いリファレンスを見つけてこれたのかもしれないが、今回はノリで作ったのでリファレンスは事件後、探してきたものである。

これによって、ダサいものとダサくないもののスペックの差分を導き出すことができる。今回の回答は「自然や人肌のような複雑なゆらぎがありつつ、多数のデザイン原則に従い、洗練され静寂の漂うものを作ることが、ダサくないこと」と導き出してみた。

2. 悪口みたいになったらオブラートに包む

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作業者である自分のことは、指示者である自分よりも大切にすること

レビューを行う人間と作業する人間は同じ人間である。今回はイラストという抽象的なものに対するレビューなので、客観化しづらい情報も多いが、それでも感情を理性的な言葉で言い換えるプロセスは作業モードの自分にとって集中力を削がずに済む。

3.ダサくないものの客観的情報を収集する

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つぎに、ダサくないものの客観的な情報を収集していき、ダサいものとの差分を探る。頭のリソースが最小限でもできることは2つある。

1. 描画スタイルの個数や色数をざっくりと数える。

2. コントラストの強さを比較すること。

これらは高度な思考が必要とされないので、まずはこれをやってみることにした。コントラストや色数は今開いているデザインソフト内にある画像加工フィルターをかけるだけでかんたんに把握できる。イラレならハーフトーン機能や白黒機能を使ってこの課題に回答しやすい加工ができる。

この段階を通ることで、ダサい方のスタイルはダサくないものに比べて役2倍のスタイルがあったこと、コントラストが低いことがわかった。

1と2と3で導き出した情報をつかって、TODO化する

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イラストのタッチなど、最初のTODOでは抽象的な課題への言及は避けることにした。作業がしやすいところから取り掛かりたいと思ったので、まずは原則に従ってないところは原則に従うようにしましょう、という方針にしてみた。このTODOに則って、作業を行ってみる。

アセット 11@2x

小学生が作った感じ、文房具箱をひっくり返したみたい、感はだいぶ取れてきたように思う。また、画面全体のコントラストが弱まってしまったこと、グルーピング感もまた弱まってしまった、などなど最初に参考画像とならべて比較したときよりも客観的な言語化が可能な状態までに整理されたように思う。

そうこうして何度かレビューを行って、最終的にはこのあたりに落ち着いた。

最高とは言えないけれど、私は好きだし、いいところいっぱい言える。

https://note.com/akikonute/n/n659cdfbe43b8

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「今まで軽視してきた自分の感性とは一体なんであったかを考えましょう。感性を解釈するということは理知的な作業です、すなわち、あなたには知識が必要なんです。それは行き詰まったときの切り札になります。」

もう一度本の言葉を引用してみる。イラストを扱うと、原則(理知的なもの)をどこで適用するかを決められないといった  経験不足や知識の不足による失敗が多発してしまう。道に迷う頻度や答えを見つけるまでにかかる時間は自分にとってはイラストのほうが多い。

私は、イラストを描くことを将来の夢としているが、この作業に向いていないのかもしれないし、才能がないかもしれないし、それで悲しんでいる。

しかしながら、こうやってレビューを行うことで、誇大妄想を脱し「まあ今わかることとしては、普通にお前知識不足よな」という事に気づける。

それはそれで悲しいが、正しく悲しめるわけだ。正しくコロナを怖がる、という言葉もある。

諦めずに、理知的な作業を積み重ね、理知的なデザイナーになっていきたい。

参考画像はこちらでフリー配布していたデスクトップ画像となります。画像を分析しているうちに、ちゃんと勉強をして、同じ品質にまで近づいていきたいという気持ちになった。

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