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ライフスタイル系実用書がくれるキラキラした高揚感が好き

身の回りのうつくしい植物が、自分の不調を癒やしたり、血行を良くしたり、怪我の治りを良くしたりしてくれる。自分のつまらない生活のワンシーンに、実はすごく価値をもったものがある、そんな発見をしたとき、こどもにかえったようなキラキラした高揚感が湧いて出てくる。

小説「西の魔女が死んだ」は、表紙がボロボロに破れてしまうくらいに惚れ込んでいる私のライフスタイルの教科書だ。

洗いたてのシーツをラベンダー畑の上に置いておくと、夜眠るときにラベンダーの香りが鼻腔をやわらかくつつみ、ぐっすり眠れること。ミントティーを濃い目に煮出すことで、花壇の土に飲ませる虫よけの薬にもなること。夜ふかしして焼きたてのクッキーを食べる幸せ。ベッドから起きたらまず鶏小屋に卵を取りに行き、ハーブや野いちごを積み、朝の時間を豊かに過ごすこと。

イギリス出身のおばあちゃんが主人公に教えてくれる、身の回りの植物を使った生活の知恵と、その質素だがうつくしさのある暮らし方が自分の理想を描いてくれている。

この小説が好きな人はきっと、この植物オイル・ハンドブックにも同じような雰囲気を垣間見れて嬉しくなるかもしれない。

今では日本に認知されているαリノレン酸を豊富に含むアマニ油や、最近注目されつつある高い抗酸化作用を持つラズベリーシードオイルなどなど、さまざまなオイルを薬効成分や禁忌、活用法がテキストで丁寧に綴られている。写真がほぼ無く、大学の教科書のようにテキストでみっちり埋まっているのがまた楽しい。

スイスの自然療法に精通した人物が書いている本だからか、活用事例として紹介されているものはなんともファンタジーだ。例えば、生のユリの花の成分をホホバオイルを使って浸出させるというもの。なんだその組み合わせ。どんな匂いがするんだろう、肌につけるとどうなるんだろう?どんなふうに自分の体が回復するんだろう?

近所の田畑や森林に新しい花やきのみを見つけ、興奮し駆け回った子供の頃のような、キラキラとした好奇心が湧いてくる。

課題解決をスマートに教えてくれるビジネス書に飽きたとき、こういう課題解決の手段やプロセスを丁寧に美しく描写してくれるコンテンツは、息抜きにいい。美しいツールがもたらすうつくしい所作は、なんの結果も出していない自分をなんの疑いもなくポジティブに導いてくれる。

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