【後編-6 ヒンドゥー教:シェアのお作法】あなたの大切な人の「アイデンティティ」を守る「お食事の要件」
宗教のダイエタリー リクワイアメント、つまり「お食事の要件」のお話を、ご紹介しています。
前回は、ヒンドゥー教の食材、3つの要件である、タマシック、ラジャシック、サトヴィックについて、ご紹介しました。
(タマシック、ラジャシック、サトヴィックってなぁに?ヒンドゥー教の「お食事の要件」はこちら↓)
今回は、ヒンドゥー教のお食事のお作法2つついて、お話します。
ヒンドゥー教の、代表的なお食事のお作法は、次の2つです。
1)右手を使って食べる
2)食べものをシェアする
ひょっとして、聞いたことのある方も多いかも知れませんね!
せっかくの機会ですので、この記事で、おさらいしましょう。
右手のお作法
イスラム教とおなじく、ヒンドゥー教でも食事をするときは、必ず右手を使います。
イスラム教では左手は必ずしも「不浄の手」であると、定義はされていない(排泄や不純物を取り除くことは左手で行うので、「不浄の手」と解釈されている傾向がある)とお話しましたが、ヒンドゥー教では左手は「不浄の手」と定義されているようです。
左手は乾いたままの状態とし、カップや道具を持つときに使うことはできるようですが、左手で食事をしたり、食べ物を渡したり、口を拭いたりしてはいけません。
なお、食器を運ぶときも、右手で提供します。
◆お食事のお作法 ◆
● 料理の前と後には、必ず手を洗い、乾かします。
● 手首をひねるようにして、食べもの(通常、カレー、野菜や肉)を平べったいパン(ナン、ローティ、チャパティ)の上にすくいます。
● 皿を口に持ってこないように、頭を下げて、少量ずつ食べるようにしましょう
● 親指を使って、食べものを口の中に押し込みましょう
● 指先だけで食べるようにしましょう
インド料理の場合、食べものを食べるときには、ナイフやフォークなどのカトラリーは使わず、指で食べますが、カレーなどの液体料理を食べるときには、スプーンを使います。
ナイフを使うことは、あまり推奨されていないようですが、一口サイズの食べものが多いことが理由のようです。
前回お話した、私の周りのイスラム教のビジネスパートナー同様、ヒンドゥー教のビジネスパートナーたちも、ナイフやフォーク、お箸を使って、右手でも左手でもお食事をしています。
ただ、手で食べるお料理(ナンなど)は、右手を使ってお食事をされていました。
シェアの文化
これは、ヒンドゥー教に限ったことではないのかもしれませんが、インドの文化では、ほかの人と料理をシェアすることが、とても美徳とされています。
たとえばあなたが、インドの人とインドレストランで食事をすることになって、2人とも別の料理を注文した場合、自分の注文した料理は、自分だけで食べるのではなく、相手の人とシェアするのが習慣です。
ただし、穢れに対する意識が非常に高いため、自分の皿から直接シェアするのではなく、提供された料理の大皿やボウルなどからのみ、シェアしましょう。
同様に、相手の人のお皿から、直接料理を取らないように気をつけましょう。
飲みものは、回し飲みではなく、人の口が触れていないボトルから、その人のカップやグラスに注いであげましょう。
大皿料理を、みんなでつつくのではなく、取り分け専用お箸やフォーク、トングなどで料理を取り、取り皿に載せるスタイルでシェアしましょう。
日本のお料理に置き換えると、鍋料理やすき焼き、もんじゃやきなどの料理は、好まれない可能性が高いので、もし誘ってみたい場合は、どのような食べ方で食べるのかを、事前に説明しましょう。
※すき焼きは、そもそも牛肉なので、ダブルNGですが・・。
なお、自分のお皿に盛った料理は、残さず食べましょうね☆
ちなみに・・
(ヒンドゥー教を信仰しているかどうかは別として)インドのホームパーティに呼ばれたら、どんな驚き楽しいことが巻き起こるか、ころさんの記事が教えてくれますよ~☆
いかがでしたか?
なが~くなりましたが、ヒンドゥー教の人たちの、「お食事の要件」、いつかどこかであなたのお役に立てることがあったら、嬉しく思います。
さて、インドには、信仰する人の数が、世界ナンバーワン!のメジャーな宗教が、あと2つあります。
そのうちのひとつは、世界の宗教第5位、そしてインドで世界最大の信者数を持つ、シーク教(シク教)。
あなたは、シーク教のこと、聞いたこと、ありますか?
シーク教のことは知らなくても、ターバンを巻いているインドの人、と言えば、少しイメージができるかも知れませんね!
次回は、シーク教の「お食事の要件」についてお話します。
そして、あなたがゲストをおもてなしすることになったら、役に立つ・・かも知れませんので、来たるべき日にそなえ、一気に参照できるよう、「お食事の要件」をマガジンにまとめておきますね☆
この記事が参加している募集
サポートありがとうございます。 いただいたサポートは、誰かをサポートするために使わせていただきます!