もらった恩は倍返し!極上TKGに感動するOMGな夜
サッカー選手で「ブラジルの貴公子」と呼ばれるカカにそっくりなイケメン、「バルセロナオフィスの貴公子」アレックス。
そう、私が上司に頼まれたお土産のために、バルセロナ中を駆け回って、貴重なパリージョ(つまようじ)を探し出してくれたヒーロー、あのアレックス、そして日本のマンガとアニメが大好きな、あのアレックスです。
(アレックスが大ファン!オリベルとアトムの本名は、こちら↓)
私のnoteでも、すっかり準レギュラー入りした(笑)生ハムをつまむ仲の、アレックス(スペイン人)が、初来日!
(生ハムと鍋の共通点って?詳しくはこちら↓)
普段は、海外からビジネスパートナーが来日するときは、必ず事前にレストランを予約しておきます。
長く滞在される場合は、同じ種類の食事が被らないように、お料理だけではなく、お店の雰囲気、街の雰囲気なども考えながら、彼らの思い出に残り、喜んでもらえそうなお店を選ぶのです。
今回も、憧れの国、大好きな日本に初めてやってくるアレックスに、美味しいものを食べてもらおうと、アレコレ考えていたのですが、日本に詳しいアレックス本人が、食べたいものを食べさせてあげよう!
ということで、あえてお店は決めず、そのときの流れに任せる作戦にしました。
いま、考えると、この作戦は大当たり☆だったと思います。
なぜなら、アレックスには喜びだけではなく、感動も与えることができたからです。
TKGとSliver Spoonとは?
アレックスと私は、その日は1日中、会議でした。
貴公子アレックスをひと目見ようと、彼と私が仕事をしている会議室(壁はガラス張り)を横切りながら、チラ見する女子たち。
いつも人通りが少ない会議室エリアなのに、今日に限って、やたら人通りが多い(しかも女子のみ)という事象を生み出した、罪なアレックス。
話が逸れるので、この話はまた別の機会に(笑)
さて、1日中、仕事に集中し、お腹もすいてきたので、私は彼に、早めのディナーの提案をしました。
「アレックス、少し早いけど、ディナーに行かない?
アレックスが食べたいものを食べに行こうよ!」
「ありがとう!
僕、日本に来たからには、絶対食べたいものがあるんだ。」
「じゃ、話が早いね!
おいしいお店を探して予約するよ。
で、何が食べたい?
お寿司?ラーメン?それとも天ぷら?」
「あのね~、TKG!」
「TKG?なぁにそれ?」
「akkie、TKG知らない?
シンプルなたまご料理。
日本では超メジャーでしょ?Silver Spoonにもあるよ!」
「シンプルな卵料理、そして"Silver Spoonにもある"とは・・?
オムレツ・・違うよね~、卵焼き?」
TKGもSilver Spoonも意味が理解できません。
日本で、超メジャーな料理らしい「TKG」・・。
いったいなんだろう?
私は、周辺にいた日本人の同僚たちに「TKGという名前のシンプルな卵料理」と「Silver Spoon」を知っているか、聞いてみることにしました。
TKGはどこで食べられる?
すると、TKGとは、
Tamago Kake Gohan:卵かけごはん
であることが判明!
私は知らなかったのですが、「卵かけごはん」のことを、日本でも一般的にTKGと呼んでいるようです。
そして、Silver Spoonとは、「銀の匙」という学園マンガのタイトルであることが分かりました。
その銀の匙のエピソードに、卵かけごはんが登場するらしいのです!
銀の匙は「Silver Spoon」というタイトルで海外でも知られており、アレックスもファンのようです。
さすがマンガ・アニメ好きのアレックス!
ここで、私はハタと思いました。
(だけどTKGって、レストランで出てくるご飯なんだろうか・・?)
日本人の同僚に
「TKGがメニューにあるレストランって知ってる?」
と質問していると、上司が通りかかって会話に入ってきました。
「TKGってなに?」
上司もTKGを知らないようです。
「卵かけごはんのことです。
最近では略してTKGって言うらしいですよ。
アレックスがTKGをどうしても食べたいらしいんですが、どこのお店でTKGを出してくれるか、探そうと思ってて・・。」
私が言うと、上司が
「akkie、僕が見つけておくから少し待ってて。
アレックスにはパリージョの件でお世話になったから、任せて!」
頼もしいことを提案してくれる、グルメな上司!
私は、上司にお店選びをゆだね、アレックスのいる会議室に戻りました。
しばらくして・・
「akkie、このお店に行ってごらん。
予約したから、すぐ向かっていいよ。」
と、住所とお店の名前をメモした紙を、手渡してくれました。
極上TKGにOMG
私は、上司にお礼を伝え、すぐにアレックスとタクシーに乗り込みました。
タクシーが止まったところは、一軒家で「割烹」と書いてあるではありませんか。
着物の女性が、外で待ってくれています。
「akkieさまとアレックスさまですね。ようこそお越しくださいました。」
お辞儀で丁寧に迎えられたアレックスは、
「akkie、TKGってこんなすごいお店で出てくるの?
ごめん知らなかった・・。」
と、申し訳なさそうにしています。
私も、TKGを食べるためにまさか、「割烹」に行くことになるとは思いませんでした。
中に入ると、別の着物姿の女性が
「ようこそ、お越しくださいました。」
と、部屋に案内してくれます。
私は、本当にここでTKGが食べられるのか、若干不安になり、
「あの~、彼が卵かけごはんが食べたいと言うのですが、お聞きになっていますか?」
と、確認すると、
「もちろんでございます。
最高の卵かけごはんをご用意しておりますよ。」
と、笑顔で答えてくれたので、ホッとしました
部屋に入ると、
初めての日本の家屋・畳の和室・料理人・着物姿のお店の人・・・アレックスはすっかり恐縮してしまっているものの、慣れない姿勢で座布団の上に座ります。
そして私たちの目の前には、ホンモノのTKGと、マンガでない方の「銀の匙」、つまりシルバーのスプーンがお膳の上に載っています!
「産地直送の烏骨鶏の卵を使った、シンプルな卵かけごはんでございます。
アレンジができますので、まずはこちらをお召し上がりくださいませ。」
ご飯も、もちろん産地直送、そしてお醤油も卵かけご飯専用の特別なものらしく、アレックスも私も少し緊張しています。
お店の人が部屋から出て行くと、アレックスは私に向かって
Oh My Goodness・・
そう言ったまま、圧倒されているのか、次の言葉が出てきません。
私も、まさかの演出に圧倒されていましたが、せっかくなので、冷めないうちに、とアレックスをうながして、シルバーのスプーンで生卵を崩して白いご飯に絡ませ、醤油を少しかける「食べ方」を教えました。
そして、アレックスが、緊張の面持ちで、ひと口目のTKGを口に運びます。
Oh My Goodness・・
デリシャス・・
今度は感動のOh My Goodness(OMG)を静かにささやきながら、憧れのTKGをシルバーのスプーンで少しずつすくって口に運び、ゆっくり味わうアレックス。
以前記事にした、WAGYUのスキヤキ会食での失敗の経験もあり、まさか、ザ・生卵の代表格、TKGをリクエスされるとは思ってもいませんでした。
でも、そんな私の心配は杞憂でした。
アレックスは、何の抵抗もなく、それはそれは幸せそうにTKGを食べています。
その後、トッピングとしてカラスミやお肉などが出来て、TKGが主役のコース料理のようなディナーとなりました。
贅沢を極めたTKGコースを、思う存分に満喫した帰り際。
「また日本に来られたら、ぜひお店にいらしてくださいね!
アレックスさまに、日本のお土産でございます。」
と、アレックスに、小さな白い包みが手渡されました。
アレックスと私は、素晴らしいお食事・おもてなしに感動したまま、お店を出ました。
恩返しは倍返し!
帰り道。
アレックスは、極上TKGのディナー体験の余韻に浸ってます。
そして、ふと我にかえり、バッグにも入れず、手に持ったままの、お土産にもらった白い包みの存在に気づき、
「これ、なんだろ?」
と、言って、ラッピングを破り、中を開けました。
すると、アレックスがビックリしています。
何をそんなに驚いているのか、私も中を確認しようとすると、アレックスが大笑いし始めました。
Oh My Goodness・・
akkie見て!ほんと、ニッポンって最高!
白い包みの中身はなんと、日本のつまようじ。
どうやら、上司がお店の人に、お土産まで指定していたようです。
こんなにも粋な恩返しをする上司に、私も誇らしい気分になりました。
アレックスは、感動のあまり、大笑いしながらも、ちょっと涙ぐんでいます。
そんなアレックスを見て、私も目頭がじわっとしてきます。
そして、2人で泣き大笑いしながら、東京の夜道を歩いたのでした。
後日
アレックスがバルセロナに帰ったあと、彼から
「ニッポンのパリージョを、当時一緒にインポッシブルなミッション遂行のために奔走した、チームメイトと分かち合ったよ!」
と、メールをもらいました。
そして、アレックスをはじめ、彼の上司のイアン、そしてチームメンバーそれぞれがつまようじを片手に、キメのポーズで撮った記念写真が添付されていました。
(アレックスが大活躍した、バルセロナのミッション・インポッシブルはこちら↓)
その写真を見ながら、また少しじわじわっと目頭が熱くなり、素敵なビジネスパートナーたちに恵まれたことを、心から感謝したのでした。
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