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精神病は「心の風邪」なのか?

【目次】
<はじめに>
<書籍紹介>
<脳の風邪という気づき>
<最後に>

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<はじめに>

 鬱や双極性障害のことを単なる甘えとなかなか理解されない風潮は今も少なからずあるであろう事は否定できないが、それでも近年でかなりこういった心を病んでしまうことに対しての理解が進んだのではないかと感じている。筆者自身が中小企業勤めの会社員であったが、過労による不眠症から適応障害、双極性障害と悪化し、周囲に助けられながら仕事を続けていた経験があるので、そのあたりでここ2、3年の世の中の理解具合(又は理解のなさ具合)を肌で感じている。
 現在は会社をやめて体調回復のための休養期間をとっている。その休養のなかで最近とある気づきをもたらしてくれた面白い本に触れたので、同様の苦労、闘病をなさっている方々に紹介したいと思う。もし興味が湧けば書店やAmazonで手に取って貰えれば幸いである。

<書籍紹介>

『LEARN LIKE A PRO 学び方の学び方』
バーバラ・オークレー/オラフ・シーヴェ著(宮本喜一訳)
アチーブメント出版

 この本は記憶のメカニズムを脳科学的なアプローチで分析しより効率的な学習法を解説している本である。この本が与えてくれた気づきは、心や感情、記憶といわれるものはその実かなり抽象的な存在のもののように聞こえるが、その実極めて物理的且つ科学的な現象の出来事なのだと知ることになったことだ。
 人が記憶をするときの脳の神経細胞で起きている現象のメカニズムを知り、より効率的に脳を使うための知見にあふれた本である。記憶が定着することは脳の神経細胞の軸索と樹状突起がより多く連結する作用のことだと説明している。そして感情の動きとは特定の物質が脳内に分泌されて起きる現象である点にも触れている。心や感情、思考という抽象的に捉えがちな事柄を極めて科学的視点から生体現象として事細かに解説しているのである。
 これを読むと人の記憶や感情とは極めて物理的な現象の結果なのだということがわかり、自分の心というものの捉え方や向き合い方にも新しい視点を授けてくれる。

<脳の風邪という気づき>

 知識としては確かに聞いたことがありなんとなく知ってはいたようなレベルの話ではあるが、改めてこの気づきを得たことで私が提案したいと考えたことがある。心という抽象的な言葉を使って表現される「心の風邪」という言葉をもう一歩踏み込んで「脳の風邪」と表現してみてはどうだろうか?
 ストレスや時には物理的な過労状態などの外的要因から脳の生体反応に本人不都合な反応が起きているだけなのだ。花粉が飛んでくしゃみが出るのと同じである。花粉症を甘えという人は皆無だろう。同時に花粉症になっていない人をエラいとか強いと褒める人も同様になかなかお目にはかからない。
 結局の所、人体共通の生体反応なんだということがより一層理解しやすい言葉が広まれば、今以上に単なる甘えだという誤解は解消され、むしろ当然の生体反応を甘えといっている人の方が、花粉症は甘えと言っているかのごとく変わった目で見られてしまう世の中になってくれはしないだろうか?
 筆者はそのように世の中の理解が進むことを切に願う。という思いつきの話でした。

<最後に>

 尚余談になるが、本は同じ系統の本を複数冊読むことでより理解が深まるので、類似したメンタルハックものの本をもう3冊、書籍名だけ紹介して終わりとしたい。

『あなたの脳のしつけ方』中野信子 著 青春出版社

『ヤバい集中力』鈴木祐 著 SB Creative

『超効率勉強法』メンタリストDa・iGo 著 Gakken

 心を病みつつも積極的に自身の心のハンドルを握ることを諦めず、より良い生活を送る為に戦っている方々の健闘を祈る。

終わり

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