見出し画像

悪性リンパ腫には、「CAR-T(カーティー)細胞療法」が有効。タイで証明、名古屋大学発表。

こんにちは、翼祈(たすき)です。

悪性リンパ腫とは血液がんの1つで、白血球の中に存在するリンパ球が、がんへと変化した病気です。リンパ球には、T細胞、NK細胞、B細胞などの種類があって、それらががん化して無制限に増殖を繰り返し、その後悪性リンパ腫へと至ります。

リンパ系組織というものは、ウイルスや細菌などの病原体を排除する働きを持つ免疫の仕組みの一部で、リンパ節を結ぶリンパ管やそのリンパ管の中を流れるリンパ液、脾臓、胸腺、扁桃などの臓器や組織を指します。リンパ外臓器とは、腸管、胃、甲状腺、肺、皮膚、骨髄、肝臓などの総称です。リンパ系の臓器や組織は全身にあることで、悪性リンパ腫は全身のあらゆる部位まで拡がる恐れがあります。

そんな悪性リンパ腫の新たな治療法が、日本を飛び出し、まずはタイで行われています。

名古屋大学大学院で医学系研究科が専門の高橋義行教授が率いる研究グループによりますと、独自開発をした悪性リンパ腫の治療法「CAR-T(カーティー)細胞療法」を臨床研究でタイの患者さん5人に施した結果、一定の効果が証明されたと明らかにしました。日本国内でもこれから、医師主導の治験を実施する予定です。

今回は名古屋大学がタイで行った、「CAR-T細胞療法」について発信します。

名古屋大学がタイで行った、「CAR-T細胞療法」とは?

悪性リンパ腫などに一定の効果が見込まれる治療法では、「CAR-T細胞療法」があります。患者さんの血液から免疫細胞のT細胞を取り出して、遺伝子操作でがん細胞を叩く力が高いCAR-T細胞を作ります。点滴などを介して、製剤したCAR-T細胞を患者さんに投与します。

ですが、遺伝子操作にウイルスを使用することから、安全性の確保などでCAR-T細胞の製剤の製造コストがかさんでしまうというデメリットもありました。

名古屋大学は信州大学との共同研究で、酵素でCAR-T細胞の遺伝子を操作する独自の技術を開発し、低コストで製剤できる様になりました。2018年にタイのチュラロンコン大学からのCAR-T細胞の製剤の要請を受け、独自開発をした「CAR-T細胞療法」の臨床研究をサポートしてきました。

タイ人技術者の2人が名古屋大学で細胞培養などの「CAR-T細胞療法」の技術を習得し、2020年に臨床試験をスタートしました。そして、チュラロンコン大学の培養施設で製造したCAR-T細胞の製剤を、抗がん剤で効果のなかった28歳〜59歳の患者さん5人に投与した結果、患者さん全員に「CAR-T細胞療法」の治療効果が確認できました。

参考:名古屋大など開発の悪性リンパ腫治療 タイの患者で成果 日本でも治験へ 東京新聞(2023年)

今回のタイで成果を受けて、名古屋大学はこれから先も、東南アジアで悪性リンパ腫の患者さんが「CAR-T細胞療法」の治療を受けられる様に体制作りのサポートを継続していきます。ベトナムが「CAR-T細胞療法」の治療の候補に挙がっています。日本国内でも医師主導の治験を行うといいます。

その後、

2023年3月27日、タイを訪れた「CAR-T細胞療法」開発者の一人の高橋教授は、腹部に15cmを超える腫瘤ができていた、悪性リンパ腫の女性患者さんと対面しました。「『CAR-T細胞療法』をした後1年経過しても悪性リンパ腫は再発していなくて、『いつもの日常に戻れました』と聞くことができて、感動しました。私たちが開発した『CAR-T細胞療法』が他の国で活用され、皆さんが喜んでくれるのは感無量の想いですね」と述べました。

悪性リンパ腫も治療が大変な病気ですが、タイで確かな効果が出たことで、後は日本でも治験が進めば良いですね。

悪性リンパ腫には、「CAR-T細胞療法を」は、もうすぐそこまで来ていますね。


この記事が参加している募集

#ライターの仕事

7,564件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?