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#特撮ヒーロー

THE 戦闘員  最終話

THE 戦闘員  最終話

【仮面バスターと最後の闘い】

とある採石場にて。

小野剛と仮面バスターは対面している。全身タイツに覆面、戦闘員の正装でそして並々ならぬ気合いをもって、仮面バスターを睨みつけている。一方、変身はしているが今にも鼻くそをほじりそうな態度で、仮面バスターはその場にいる。

仮面バスター「お前か?俺にこんなもん送り付けてきたの?」

くしゃくしゃの果たし状を掲げた。

剛「そうだ」

仮面バスター「な

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THE 戦闘員 第8話

THE 戦闘員 第8話

【仮面バスターの家 イビキ 息子への伝言】

もう夜中、世間は寝静まっている。街家の電気は消えており、街灯だけが数個光っている。小野剛は、サタン首領から電話で聞いた住所に向かっている。

「ここか」

たどり着いたそこは、ごく一般的な3階建てのアパート。

「意外と稼いでないんだなー。えーと102だな」

小野剛は102号室の玄関前まで行った。表札があった。「鬼瓦」と書いてある。

「鬼瓦って!仮

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THE 戦闘員 第7話

THE 戦闘員 第7話

【元妻 女戦闘員登場 サタン首領へ電話】

「お久しぶりね。あなた変わってないわね」

小野剛の元妻、女戦闘員の奈緒子だ。やはり家だというのに、タイツを履いている。そして覆面をしている。

剛「お前も変わってないな。ところで悪いな、正利がお邪魔しちゃって」

奈緒子「別にいいわよ。私の息子でもあるんだから」

「小野さん」

奥から声が聞こえてきた。何か聞き覚えがある声だった。

「こんばんわ」

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THE 戦闘員 第6話

THE 戦闘員 第6話

【ケンカ 息子にバレる ダイナミックな走りで追いつけない 再会】

「はい。…ええ、そうですけど。…え?正利が?…はい、今から向かいます」

小野剛は電話を切り、家を飛び出した。

小野剛は走った。正利が通っている小学校へ走った。パラパラと雨が降っていたが、傘もささずに走った。メロスのように走った。読んだことないけど、読んだことあります風に走った。もう一層のこと太宰治のように走ってみようか?そうし

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THE 戦闘員 第5話

THE 戦闘員 第5話

【息子の熱 家の側で戦闘 仮面バスターにキレる 土下座】

体温計がピピピッと鳴った。38℃を表示していた。

小野剛は悪の秘密結社サタンの戦闘員である。その小野剛には一人息子がいる。正利、8歳、小学2年生、38℃だ。

いつもは元気いっぱいだが、今日は顔を真っ赤にして横になっている。

「今日は学校休みなさい。お父さん連絡しとくから」

小野剛は携帯を取り出すとメールが鳴った。

「なんだこんな

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THE 戦闘員 第4話

THE 戦闘員 第4話

~戦闘員の仕事 斎藤という戦闘員 辻という戦闘員の改造手術結果~

テーブルに置かれた携帯電話がブーンと揺れた。

小野剛は携帯を見る。仕事だ。いつもメールで、秘密結社サタンから仕事の依頼がくる。今日の仕事は、秘密結社サタンへの勧誘だ。街中に出て、ビラ配りをする。時給1000円の仕事だ。小野剛は現場へ向かった。

「小野さん、おはようございます」

元気な声で斎藤が挨拶してきた。斎藤も戦闘員である

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THE 戦闘員 第3話

THE 戦闘員 第3話

「元気にしてたか?」

走ってきた息子を剛は抱きかかえた。

小野正利、8歳、小学校2年生。小野剛の一人息子だ。

正利はキラキラした目で聞いた。

「今日はどうだったの?」

剛「ん?あー、もちろん、ビシッと勝ってきたぞ」

正利「パパすごーい」

剛「あまりにも謝るから許してやったけどな」

息子の前では仮面バスターに全勝しているのだ。

正利「僕もパパみたいに強くなりたいな」

剛「頑張れば

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THE 戦闘員 第2話

THE 戦闘員 第2話

商店街を抜け、細い路地に入り、くねくねと進んでいくと、アパートがある。その外観はエグイ。壁一面にわざと生やしてない草が生えていて、階段は元は何色なのかわからない錆びきった茶色をしている。その階段にもわざと生やしてない草が絡みついている。その茶色にその緑、なんとも言えない不協和色なのである。

そして、鍵なんて必要ないくらいの、強引に押したら開きそうなドアの前に小野剛は立ち止った。

ここが彼の家な

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